「アドルフ・ヒトラー」という人物は、人類史上もっともその取扱いが難しい。「演劇」という「フィクション」に登場させる場合であっても、その “表現” や “位置づけ” には、格段の配慮が要求される。
今回、主催者は、【当作品は、「ナチスの思想」を支持する目的で作られたものではありません】という「断りの文言」を入れている。無論、【あらすじ】だけでは、その最終的な主張内容は解からない。
というより、「芸術的表現」として、「最終的な内容」を明かすことなどできないのであり、あとは「作・演出家」をはじめ、「キャスト・スタッフ」諸君の才能と良識に委ねられている。
ことに「作者」や「演出家」には、いっそう深い “思想哲学性” や “歴史認識力” が求められ、当然それを承知の上での “創作” そして “演出” に違いない。筆者はそれを固く信じて、観劇に臨みたい。
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《大学での演劇》……とくれば、筆者はいつも『東大ポポロ座事件』が頭の片隅に残っている。憲法を学んだ人には、その重要性はよく理解できると思う。日本国憲法第23条が保障する「学問の自由」と、そこに含れる「大学の自治」が問題とされた事件であり、「最高裁の判例」としても知られている。
ここから導き出されることは、「学問の自由」や「大学の自治」、さらには「表現の自由」なるものは、かなり保障されているということ。
とはいえ、そこには自ずから “一定の制約” があることも事実。ことにそれが、人類全般の人間の尊厳に関わるものであればなおさら……。
ともあれ、以上のことを充分承知の上で、今回の「舞台公演」を企画した「九州大学演劇部」の勇気と creative spirit に敬意を表したい。
……とはいうものの……
♪ chottomate chottomate onii-san ♪
……てなことにならないように、神の祝福あれ!……
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九州大学演劇部 2015年度前期定期公演
『ヒットラーの言うとおり』
●作・演出 木下智之
【あらすじ】
20世紀ドイツ、愚かな独裁者《Adolf》と、彼を愛した一人の男《Adolf》がいた。そして、彼らの元に集まる様々な人々。
膨張する欲望と熱狂が、時代の狂気を加速させる。
しかし人々の思惑と純粋な願いは、徐々に《Adolf》を狂わせていく……
歪み、拗れて、道化は謳う。
※当作品は、「ナチスの思想」を支持する目的で作られたものではありません(主催者)
【日時】 (開場は開演の30分前)
・7月18日 ・14:00~ ・18:00~
19日 ・13:00~
【場所】 九州大学伊都キャンパス
学生支援施設音楽練習室4(大音楽室)
クリック! ◆伊都キャンパス・マップ
このマップの 45 が「学生支援施設」です。
※「車」の方は、57 の「守衛所」において「入構料(駐車料)」が必要です(300円)。
クリック! ◆九州大学伊都キャンパスへのアクセス
【料金】
・前売300円 ・当日500円
クリック! ◆九州大学演劇部公式HP
※上記「HP」は、「伊都・箱崎キャンパス」のものです。
★「観劇」の「お申込み」は、直接、主催者へご連絡ください。