前回のブログに記載した自宅の管理を子に任せるスキームの登録免許税について,法務局から回答がありました。
登録免許税法第7条の2項について,条文の冒頭,「信託財産を受託者から受益者に移す場合であって」の文言により,受託者から受益者に移すとなっていて,受託者から信託財産を受託者固有のものとする場合を対象としていないから,原則どおり0.2%であると。
ところが,この解釈は少し違うのではと思いました。なぜなら,7条1項2号は,「信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本受益者である信託の信託財産を委託者から当該受益者(当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者である者に限る。)に移す場合における財産権の移転の登記又は登録」の規定ぶりであり,この場合は非課税です。
何故非課税なのかと言うと,分かりにくい文章ですが,この条文は,信託にした財産を元の委託者に戻す場合のことを言っているのです。つまり,一旦信託したものを元に戻すだけだから非課税だと。
信託を設定する場合の所有権移転の登録免許税を,非課税にしていることとの整合性を図った規定なのです。ところが,実質委託者のことを指すのに,文言では「元本受益者」と言っているのです。ですから,7条2項の冒頭の受託者から受益者に移す場合とは,受託者から委託者に移す場合と読み替えることができるのです。
そうすると,受託者から信託財産を受け取る者が,信託の効力が生じたにおける「委託者」の相続人であるときは,相続による財産権の移転とみなすと言っていると解釈できるのです。このように考えれば7条1項の規定と整合性がとれます。
この規定は,通常は相続を原因とする所有権移転になるケースを,信託の登記により,(残余財産)帰属権利者として信託財産を固有の物にすることができ,この登記をすれば実質相続による所有権移転の効果を生じさせることになるのであるから,相続分の登録免許税を納めなさいということだと思います。
以上のことを主張しましたところ,再度検討するとの返事でした。仮にこのケースで0.2%の登録免許税が課せられるのでしたら,不動産取得税が非課税であってもこのスキームは使えません。
時代の趨勢に応じて信託法を改正したわけですから,信託を活用した節税を防ぐ税制であるのであればともかく,結果的に信託の活用を妨げることとなうような施策となるのであれば,再考するべきであると思います。
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