亀田司法書士ブログ

越谷市の亀田司法書士事務所のブログです

過払訴訟敗訴(4)

2017-05-17 16:38:57 | 遺言・相続

本訴の主要な争点は,一つの基本契約内において,複数の取引を認定できるかということです。一つの契約内において複数の取引の存在を認めるとすれば,その取引とは,貸付けから完済までを指すものでしょうか?

そうであれば,完済後貸付け空白期間がある場合,全て最高裁20.1.18判決の判断基準に則って判断すべきものなのでしょうか?

最高裁が,消滅時効の起算点を取引の終了時からとしたのは,新たな借入金債務が見込まれる限り,過払金を同債務に充当することとした過払金充当合意の存在によるからです。

新たな借入金債務の見込みの有無を判断するに当たっては,過払金返還請求時において確定した取引の結果である空白期間の長短によって判断するのではなく,主として完済した時の当事者の意思を解釈して,新たな借入金の発生可能性を推定すべきだと思います。

今回明らかなのは,貸金業者は,再度の借入を期待していたということです。これは,一般向けにアナウンスされています。そして,契約書の返還,カードの利用停止を行っていないことからも確かです。

約定利率により完済した借主は,貸金業者にとっては優良顧客です。ということは,一般的に借主から取引の終了を告げない限り,貸主が,このような顧客との取引を終了させる意思を持つことを推定できないということです。

であれば,これは,新たな借入金債務が見込まれる事案であり,完済時借主が過払金返還請求権を行使することは想定されていなかったと結論づけることができます。

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過払訴訟敗訴(3)

2017-05-12 17:56:06 | 遺言・相続

過払金返還請求を巡る解説書においては,契約の異同は,外形的なものでは無く実質的に判断すべきで,これは事実認定の部類に属するとしています。

確かに貸金業者主導による契約書の書き換えが多い場合を想定すれば,契約書が複数あっても,これは,単に約定利率を変更するためであったり(貸金業法改正による出資法規制利率の変更を契機とするものも多々ある),約款の変更により,借主が契約書の更新を余儀なくされているような場合は,契約の個数について実質的な判断をすべきことは言うまでもありません。

しかし,借主が完済しても基本契約書を返還せず,これがため,完済後相当期間後に次の貸付けを受ける際,審査のみで新たな契約書の徴求を行わないまま貸付けを実行した場合に,契約(取引)が別だと認定するべきなのでしょうか?

貸金業者は一般消費者ではなく事業者ですよ。契約に関する法的な知識は当然持ち合わせているはずです。借主が法律的な意味を知らず,言われるままに署名・押印するのとは全く事情が異なります。

契約書は,契約の成立を立証する書面であって,契約成立の要件ではありません。しかし,貸金業法規制法17条は,契約締結時にこれを交付する義務を負わせています。

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過払訴訟敗訴(2)

2017-05-11 17:09:16 | 債務整理

本訴の主たる争点は,一つの基本契約内の取引において,完済から次の借入までの空白期間がある場合,最高裁平成21年1月18日判決に言う6つの基準を適用すべきかという点です。

私は,過払金充当合意は,契約に付随する合意であるから,一つの契約内においては空白期間の有無にかかわらず,過払金はその後に生じた貸付金に充当されると解釈していました。

仮に,現状,基本契約の有無・個数にかかわらず前記判決の基準により判断すべきだとの考えが裁判所のスタンダードだとしたら,随分借主に酷な結果となりつつあると思います。

とりあえず,時効の起算点を取引の終了時からだとする,平成21年1月22日小法廷判決の原審を確認してみます。

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過払訴訟敗訴(1)

2017-04-25 17:08:25 | 債務整理

S社との過払金返還請求訴訟の判決が届きました。結果は,請求棄却で納得できません。

基本契約内が一つであるにもかかわらず,最高裁平成20年1月18日の1個の連続した取引であると評価すべき基準を採用したのです。この裁判官とは,考え方が違うようです。

過払金を後に発生した債務(借入金)に充当できないとするのは,民法にそのような規定がないからです。充当には意思表示が必要だから,相殺または不当利息返還請求の意思表示をして法律行為を行う必要があるとするのが,平成19年2月13日最高裁判決です。

ところが,これに続く前記平成20年1月18日判決まで,充当意思は,債務が発生した都度必要なものではなく,契約時点で予め債務の発生が見込まれるものであれば,過払金が発生した場合にこれに充当する旨の合意は可能としました。いわゆる過払金充当合意です。

貸金業者との基本契約は,貸付限度を定めこの限りにおいて,借入と返済を繰り返す事が想定されているものであるから,債務が発生したら,過払金があればこれを即座に充当して精算するとした条項を基本契約に含むことは可能であると考えることができるのです。

最高裁は,このような契約を,過払金充当合意を含むものとしました。

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弁護士からの手紙

2017-04-21 17:58:07 | 遺言・相続

弁護士から手紙が来て,昨夜は心配で寝られなかったと相談がありました。手紙の差出人の弁護士は,相続財産管理人でした。

民法255条に,「共有者の一人が,その持分を放棄したとき,又は死亡して相続人がないときは,その持分は他の共有者に帰属する。」とあります。

今回の件は,相談者の兄弟が亡くなり彼は生涯独身で,法定相続人である兄弟全員が相続放棄をしたため相続人が無い状態になりました。

そこで,前記民法の規定によれば,他の共有者である相談者にその共有持分が移転することになります。その為の登記に協力して欲しいとの内容でした。

その不動産は,現在通路として使用している土地なので,持分移転の登記を受けることに異存無く,貴方にとっては良いことですよと説明しました。

弁護士からの手紙といっても,決して悪いことばかりではありませんね。

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