kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

007/スペクター

2015年12月10日 | ★★★★☆
日時:12月4日
映画館:バルト11
パンフレット:A4版720円。とにかくインタビューが盛りだくさん。最後に歴代スペクターの解説があります。

2015年はワタシのような映画ファンにとっては、記憶に残る年になるだろう。何しろ、「スパイ大作戦」「0011ナポレオン・ソロ」「007」、そしてハリー・パーマー眼鏡をかけたマイケル・ケインが一年の間にスクリーンで観れるのだ。

とまたしてもいつぞやと同じ出だし(スパイ映画には大事です)だが、今年のオオトリ、「007/スペクター」!拙ブログを開始して10年になるが、その間にクレイグ・ボンドも「007/カジノ・ロワイヤル」「007/慰めの報酬」「007/スカイフォール」と4作目。

さて、ひと昔、いやふた昔前、スパイ映画と言えばスケールのでかい悪の犯罪組織がいたもんだが、徐々に自然解散、さらに東西冷戦が終結してソ連と東欧の諜報機関も解体、いよいよ敵がいなくなって、裏切り者とか組織のOBとか獅子身中の虫が定番になってきてしまった。

権利の関係でスペクターの名前も長らく出てこなかった。昔、ビクトリーゲームズ社のテーブルRPG「007」では代わりに「TAROT」という名前の犯罪組織が登場していたなあ。(どうでもいい話)

そんな中、「007/慰めの報酬」で犯罪組織クアンタムが登場した時には「21世紀版「スペクター」とでもいう組織で、これからも大活躍してほしい。」と期待を込めたもんだが、まさかまさかの「SPECTRE」の大復活。

悪の犯罪組織と言えば、ブロフェルド率いるスペクター!原作でまるまる1章費やした設立過程、初期のボンド映画での謎めいた雰囲気とか組織力、メンバーの顔触れ、そしてケン・アダムのインテリアデザイン、全てに渡ってカッコいい!
ワタシのスマホの壁紙はスペクターのタコ紋章にしているくらいだし、いつかは白のペルシャ猫が飼いたいと思っている。(バカ)



【以下、思いっきりネタバレありの小ネタパライダスで。】
・オープニングではメキシコの死者の日にサメディ男爵が文字通りオンパレード。いつものようにクレイグ・ボンドはテロリストなみの傍若無人ぶりを発揮し、マスコミで袋叩きに。当たり前だ。

・スペクターメンバーの葬式はまさに「サンダーボール作戦」のオープニング。悪党のイニシャルも「JB」ではないかと期待したが、それは無し。

・悪の組織のミーティングって、実は007の中でもそんなに描かれていない。それだけ「サンダーボール作戦」のスペクター会議室のケン・アダムデザインはカッコ良かったし、印象深かった。007シリーズの中でも大好きなシーンの1つ。それを再現したかのようなスペクターの幹部会議がいい。

・専用のアストンマーチンDB10を盗まれた009はオクトパシーで殺害されたエージェントのナンバーであり、007ワールドでは不幸の番号とも言える。

・列車での格闘はもちろん「007/私を愛したスパイ」なのだが、殺し屋の倒し方が「ジョーズ」の1シーンを思わせて、まさかの「ジョーズ」ダブルミーニング。

・名前からして悪そうな(世の中の同名さん、スミマセン)オーベルハウザーがスペクターのトップと思わせや、実はもう1つの名前がブロフェルド、白いペルシャ猫も飼っていて、さらには顔の右半面に大けがをする。もちろん、いいところで「さようなら、ジェームス(ボンド君)」の決め台詞を言ってくれます。

・ボンドがつぶやく「光陰矢の如し」のラテン語フレーズも何か意味があると思うのですが、ご存知の方はお教えください。

・ヒルデブランド商会!

ということで、今回、楽しめるシーンは全て犯罪組織スペクター絡み。(笑)

今回、スペクターの目的である「情報を制する」というのは原作にあるブロフェルドの理念そのものなのだが、スペクター自体の犯罪がそんな悪どさを感じさせない上、そんなに人殺しもしない(画面の外では南アフリカほかで大規模なテロを展開しているんだが・・・)。一方、ボンドも肝心なところで2回も女に助けられて、大丈夫なのかと、マイナス点もちらほら。

脚本的にはル・シッフル、グリーンがスペクターの一員だったのはともかく、「007/スカイフォール」のシルヴァもスペクターだったのは余計な後付けのような気もする。(ちなみに劇中でマチュー・アルマリックの写真だけ、ほとんど使われていない。権利の関係か、組織の中で小物すぎたせいか・・・。)ボンドの過去と後見人の話も本編にはほとんど関係なく、あえて必要だったのだろうか。

サム・メンデスの演出も「ここぞ!」というところを見せてくれないのは時代の流れか。(悲鳴をあげてヘリから落ちる悪党は見たいところだし、DB10の脱出システムはもっとカッコよく見せて欲しいところだろう。)最後は秘密基地を舞台に敵味方の大部隊同士の戦闘が久しぶりに見れるかと思ったんですけどねえ・・・。

ラスト、ボンドは殺しを封印するが、ブロフェルドが死なないのはお約束。「James Bond will return」だけではなく、「SPECTRE & Blofeld will return」なのだ。クリストフ・ヴァルツの再登板は無いと思うが、別に変わっても何の問題もないよ。(余談だが、彼は「ザ・マペッツ2/ワールド・ツアー」で「クリストフ・ヴァルツがワルツを踊ります。」というマペットらしいベタベタなネタを演じてくれている。)

ところで、今回の事件、すべてスペクターの幹部が組織のことを、妻だの娘だのに話しているから解決したんである。組織としてコンプライアンス、悪すぎるぞ!






題名:007/スペクター
原題:SPECTRE
監督:サム・メンデス
出演:ダニエル・クレイグ、クリストフ・ヴァルツ、レア・セドゥ、モニカ・ベルッチ
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