いくつかの新聞で報道されたりしているので、ご存知の方も多いでしょう。
18日の議会運営委員会で、新年度予算など3月議会に提出される議案が明らかになりました。その中には、議員提案も4つあります。
東郷町議会では、提案者と賛成者が合わせて2人以上であれば、条例案や意見書案などを議会に提出できます。私たち日本共産党も、4つの議員提案のうち2つの提出に加わっています。あとの2つには、提出に加わっていません。
日本共産党も賛成者として提出に加わった2議案
議会の会議に出席したときに1日当たり1000円出る費用弁償を廃止する条例案と、機構改革(生活部を新設。12月議会で決定)にともない常任委員会の所管を変更する条例案(4月から新たに設置される生活部を経済建設委員会の所管にする)について、日本共産党も提出に加わりました。
費用弁償廃止は2月13日の記事「東郷町議会、やっと費用弁償を廃止へ」をご覧ください。
これら2議案は、議長を除く全議員が提出に加わっています。
議員定数削減
2月19日の記事「住民の被選挙権を制限する条例案、提出される」をご覧ください。
議員報酬の7%カット
2011年4月の任期満了までの特例条例です。
一口に「報酬を7%削る」といっても額とかの報道は皆無だったと思います。
議員報酬は毎月支払われます。その他にも期末手当があって、6月には2.32ヵ月分、12月には2.5375ヵ月分が支給されています。
(「東郷町の給与・定員管理等について」(平成18年4月現在)の6ページなどをご覧ください。議員報酬は当時から変わっていません。)
東郷町の議員の報酬月額は28万1000円ですから、年収は473万6957円です。
ところで、今回の「7%カット」は、毎月の報酬だけを7%カットするだけで、期末手当は28万1000円を基礎に算出するそうです。つまり期末手当はそのままです。
28万1000円の7%は1万9670円で、毎月の支給額は26万1330円になります。
1年の減収額は、1万9670円の12倍で23万6040円になり、議員の年収は450万0917円になります。
同様に
- 議長の報酬月額は38万7000円から2万7090円減って35万9910円になり、年収は652万3852円から619万8772円に減ります(32万5080円の減)。
- 副議長の報酬月額は31万1000円から2万1770円減って28万9230円になり、年収は524万2682円から498万1442円に減ります(26万1240円の減)。
- 3人の常任委員長と議会運営委員長の報酬月額は29万1000円から2万0370円減って27万0630円になり、年収は490万5532円から466万1092円に減ります(24万4440円の減)。
町の支出への影響額
議長(1人)、副議長(1人)、常任委員長と議会運営委員長(4人)、その他の議員(14人)の減収額の合計は、1年間で486万8640円になります。その分、町の支出が減ります。
その他の影響として、町村議会議員共済会が運営するいわゆる議員年金(法律で全議員の加入が義務付けられている)への町の負担金があります。
町の負担金の額は、東郷町の議員の標準報酬月額28万円の16.5%の20人分で、1年間で1108万8000円になります。
今回提案された7%カットが実施されると、東郷町の議員の標準報酬月額が26万円になり、1年間の町負担金は1029万6000円に減ります。差し引き79万2000円の支出減です。
合わせて566万0640円、町の支出が減ります。
毎月の議員の手取り額への影響
毎月の議員報酬からの控除額も変わります。
議員報酬からは、共済掛金と所得税が差し引かれます。(住民税は差し引かれません。ですから自分で役場に納める必要があります。一般のサラリーマンと違って健康保険料なども差し引かれません。私の場合、国民健康保険税と自分と妻の国民年金保険料も手取りから納めています。)
「共済掛金」とは、さきほどの議員年金の掛け金で、率は16%です。額は4万4800円です。(標準報酬月額28万円×0.16)
「7%カット」で共済掛金は4万1600円になります。(標準報酬月額26万円×0.16)
月々の手取り額は、議員の場合、(23万6200円から所得税を差し引いた額)から(21万9730円から所得税を差し引いた額)に減ります。(所得税は議員報酬が主たる収入であるかどうかや、家族構成などによって異なる)
議長、副議長、常任委員長などの共済掛金の変化も同じです。
なぜ7%?
今日、東郷町の公式サイトに、2月3日の報酬審議会(東郷町特別職報酬等審議会)の議事録と答申の内容がアップされました。http://www.town.togo.aichi.jp/Files/1/13005834/attach/21.02.03gijiroku.pdf
町長、副町長、教育長の給料を7%減らす特例についても諮問され、答申は「特段申し上げることはない」というものでした。“やりたいなら、どうぞご勝手に”というニュアンスか。
議員については「据え置き」が答申されました。
でも、さらに読み進むと「なお、議会議員の報酬についても、定数の見直しを含め、東郷町議会で検討されることを望むものである。」と書いてある。
報酬と定数が関係あるんですか???
また、「据え置くことが適当」と言っておきながら、「検討されることを望む」とは???
申し訳ないが、良くわからない答申です。
今回、議会の多数派が提出した7%カットの条例案は、この報酬審議会の議論を元に作られたのかもしれませんが、憶測でしかなく、どのような経緯で提出されることになったのか、今のところ不明です。名古屋市議会でも同様な提案がされるそうですが、会派間での協議があったそうですが、東郷町では少なくとも私たちに対する事前の申し出はありませんでした。
日本共産党も提出に加わった2議案は、全員協議会で提出が確認されました。また、議員定数削減条例案は、なぜ16にまとまったのか、など不明な事が多いが、一応、全員協議会で「定数をどうするか」が議論されました。ところが、「報酬7%カット」については、残念ながら、そのような過程はありませんでした。
報酬審議会の答申を受けた提案であったとしても、町長らに合わせて「7%」にする理由がわかりません。報酬を減らすのか、減らすとすればいくらか、任期中の特例で良いのか、など、検討すべき課題が多かったのでは?
一部の議員だけで話し合った結果、提出された条例案です。手拍子で賛成するのは無理です。
この報酬で十分か?
農業や自営業など他に職業がある人、自分が家計の主な担い手でない主婦など、年金生活者などにとっては、多すぎる額かもしれません。
しかし私のように、会社を退職して専業で議員活動をしている者、特に子育て中の者には現状でも厳しいというのが、率直なところです。
議員はボランティアであるべきという理想論もありますが、ボランタリティーへの理解が小さい社会の現状では、理想の域を出ないでしょう。公への奉仕へは、職場も無条件で協力するという社会的合意が形成されていない現時点においては、生計を支えられるかどうかを議員報酬をどうするのかの基準とすべきではないでしょうか。
議員報酬をどうするかは慎重に検討されるべき(不必要であることが自明な費用弁償とは同列に論じられない)
経費節減は、まず不要なものをなくすのが基本です。その意味で今回の費用弁償廃止の意義は大きいと思います。
次に、必要だけどやり方を変えるなど工夫の余地があるもの。例えば、前に日本共産党が提案した「宿泊を伴う視察・研修の凍結」。
不必要だとは思わないけど、どうしても必要かというと、「別に泊まらなくてもできる」という考え方もあるのです。
そうした意味で、議員報酬の削減は「工夫の余地があるもの」に近いかもしれませんが。報酬から家族の生活費と活動のためにかかる費用を出している私としては、「家計を工夫せよ」と言われても、正直、戸惑うところです。
もし「町長たちと同じように7%減らす」ということなら、「元の額が違うでしょ」という反論にはどう答えてくれるのでしょう?