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再出発の英文法:接続詞

2008年05月28日 19時27分45秒 | 英文法の話題


今回のテーマは「接続詞」です。英文法の参考書を見ると、 接続詞については、大体、次のようなことが書かれていると思います。

『接続詞には、(0)等位接続詞と従属接続詞の2種類がある。1組の主語と述語動詞が備わっている単語の列を「節」と呼ぶけれど。(1)1個の節で1個の英文センテンスができている場合、そのセンテンスのことを「単文」、また、(2)複数の節から1個の英文センテンスができている場合で、(2-1)節と節が等位接続詞でつながれたものを「重文」。そして、(2-2)節と節が従属接続詞でつながれたものを「複文」と言う。

等位接続詞が導く「重文」の中の節は互いに対等な関係だから「等位節」と呼ばれるけれども、従属接続詞が導く「複文」の中の節には、文字通り、<主従の関係>が見られる。そして、<主従>の<主>の地位にある節を「主節」、<主従>の<従>の地位にある節を「従属節」と言う。

(3)従属節にはその英文の中での役割に着目して、「名詞節」「形容詞節」「副詞節」の三種類がある。大切なことは、「重文」と「複文」、複文の中での「主節」と「従属節」、更に、その従属節が「名詞節」「形容詞節」「副詞節」のどれであるかを決めるのは接続詞だということである。

接続詞は「単語と単語、句と句、節と節、文と文を結びつける詞」と書かれている文法書もあるけれど、「単語と単語」「句と句」を結びつけるのは等位接続詞だけであり、また、(厳格な英語の規範文法からは)「文と文」を(意味的に)結びつけるのは接続詞ではなくhowever, nevertheless等々の接続副詞に限られる。つまり、従属接続詞は、原則、「節と節」だけを結びつける。尚、「形容詞節」とは原則「関係節」のことと考えてよい』(671字)



この説明、英文法というか「英文法用語」が苦手な読者の方には「そろそろ限界の字数」だったかもしれません(笑)。しかし、上に、400字原稿用紙1枚半強で書いた「接続詞の説明」が本当に理解できているのなら、英語教育屋さん歴20年の私が断言しますけれど、TOEICにせよTOEFLにせよ、接続詞に関してのあなたの基盤は完璧です。そのような読者は、後は、具体的な文法ルールを実践問題形式をやる中で覚えるだけです。つまり、逆に言えば「接続詞」の概要は700字足らずで書ける比較的シンプルなものということ。

上の説明が本当に理解できているかどうか自信がない(あるいは、自慢じゃないが理解していない自信がある!)という読者のために、もう一度、この説明を一緒に考えていきましょう。まずは、図式的にリライトしてみます。

【これだけ覚えろ! 接続詞の正体】
(0-1)接続詞={等位接続詞, 従属接続詞}
(0-2)英語の文の分類
  (1)「節」が1個=単文
  (2)「節」が複数={重文, 複文}
   (2-1)等位接続詞→重文=単文+単文
   (2-2)従属接続詞→複文=主節+従属節
      (3)従属節={名詞節, 形容詞節, 副詞説}


▲「英語の文」とは「大文字から始まってピリオド/疑問符/感嘆符までの単語列」のこと。そして、接続詞が導く「節」とは「S→V→・・・」の構造のこと。

▲英語では「形容詞節」は原則、関係代名詞/関係副詞が導く「関係節」だけと考えてよい。

▲「語と語」「句と句」「節と節」を結びつけるのは等位接続詞のみ、従属接続詞は「節と節」だけを結びつける。

▲等位接続詞は(少なくとも、TOEIC/TOEFLで顔を見かけるのは)and, but, or, nor, so, for, yet の7個しかない! つまり、この7個以外の「接続詞」はすべて従属接続詞。ということは、実際の英文の中で、(大文字から始まってピリオド/疑問符/感嘆符までの)一つの英文の中に複数の「S→V→・・・」構造があれば、必ず、接続詞が裏で糸を引いており、かつ、そこにand, but, or, nor, so, for, yet がなければ、必ず、従属接続詞が潜んでいる。


◆これだけ押さえろ! 接続詞の要点
「文法用語が嫌いだ」という方のために、上の説明を例文を交えながら敷衍しておきましょう。


(0-1)接続詞={等位接続詞, 従属接続詞}

Taro and Hanako decided to study abroad and (to) major in Aerospace Engineering. They decided to go to U.S. university as soon as they would graduate from high school.
(太郎と華子は留学して航空宇宙工学を学ぼうと決心した)
(彼等は、高校を卒業しだいアメリカの大学に進もうと決心した)

第一文の and は 「Taro」と「Hanako」という語と語、「to study abroad」と (to) major in Aerospace Engineering」を結びつけている。

第二文の接続詞 as soon as は「as soon as they would graduate from high school」という時間を表す副詞節を導いている。これは文法的には「tomorrow」とか「the following year」と同じであり、つまり、第二文は、They decided to go to U.S. university in the following year.(彼等はその翌年にはアメリカの大学に進もうと決心した)という第3文型の単文と同じ構造をしていることがわかるでしょう。


(0-2)英語の文の分類
(1)「節」が1個=単文
(2)「節」が複数={重文, 複文}
(2-1)等位接続詞→重文=単文+単文
(2-2)従属接続詞→複文=主節+従属節


(単文)This is a pen. I bought a pen yesterday.
(重文)I bought a pen yesterday, and this is the pen.
(複文)This is the pen that I bought yesterday.

単文では、英語の文(=「大文字からピリオド/疑問符/感嘆符までの単語列」)に「S→V→・・・」の構造が1個づつ。重文と複文には「S→V→・・・」の構造が複数見える。上の例文では、単文の場合、「This is」「I bought」と測ったように「S→V→・・・」は一つの英文センテンスには1個の「S→V→・・・」しかありません。

それに対して、重文と複文には各々「This is」「I bought」と2個の「S→V→・・・」が一つの英文センテンスに含まれています。

上の例を見ても、重文では「昨日ペンを購入した」と「これはそのペンである」とは対等な関係にあるけれど、複文では「従属節」(ここでは関係代名詞thatの導く関係節)は「主節」の一要素にすぎない。具体的には、

This is the pen that I bought yesterday.の「 that I bought yesterday」は文法的には「red」とか「nice」と同じで、つまり、この複文の例は、This is the red pen.と文法的には全く同じ構造なのです。


(3)従属節={名詞節, 形容詞節, 副詞説}

Taro and Hanako decided to study abroad and major in Aerospace Engineering as soon as they would graduate from high school, but both parents suggested to them that they prepare for the overseas study through a distance education program provided by a famous prep-school at Kichijyoji before and after graduation from high school.


(太郎と華子は高校を卒業しだい留学して航空宇宙工学を専攻しようとしたけれども、しかし(but)、彼等の両親は高校を卒業する前後から吉祥寺にある大手予備校の遠隔地教育プログラムで留学の準備をした方がよいのではないかと彼等にアドバイスした)

2行目のbutは対等な関係にある単文と単文をつなぐ等位接続詞。それに対して、3行目のthatは「~することを」提案するという、名詞の働きをする節を導く従属の接続詞です。この構造は、英文法的には Both parents suggested another prep program to them.(彼等の両親は彼等に他の準備プログラムを提案した)という「S→V→O」の第3文型の単文と全く同じことがわかるでしょう。



そう、理詰めで理解できない英文はほとんどないのです。沢口靖子さん扮する「京都府警科学捜査研究所法医研究員」のように、「英文」をきちんと読み「英文法のルール」を理詰めで考えて行けば、大概の英文は意味が理解できる。そんな予感をこの記事の読者の方も感じられたのではないでしょうか。

従属節は「情報の瓶詰め」

従属接続詞は「情報の瓶詰め機械」


要は、従属節は情報の中味が見えるがその取り扱いが容易な、情報の「瓶詰め」と言えましょう。而して、従属節を導く従属接続詞と関係詞は「瓶詰め機械」なのです。尚、文と節、(関係詞を含む)各種の接続詞の概要については、少し大部ですが次の拙稿を参照いただければ嬉しいです。


・英文法鳥瞰図

 http://www31.ocn.ne.jp/~matsuo2000/EG/EB2-1.htm


<確認演習>
ここまで述べたことを例題で確認しておきましょう。

▼例題1:
A training period will be unpaid, < >transportation costs will be reimbursed.
(A) and
(B) but
(C) because
(D) therefore


訳:研修期間は無給であるが、交通費は精算の上払い戻されます。
正解:(B)
説明:例文は「S → V → ・・・」構造が空所の前後にあり、空所には節を導く接続詞が入ることがわかります。この段階で副詞のthereforeは不適当。後は、空所の前後が反対の意味内容であることを読み取り正解を求めます。尚、reimburse「(立て替えた交通費などを)精算する」はTOEICの重要単語です。


▼例題2:
The president of the venture company announced < > it would be listed on the Tokyo Exchange within the next three years.

(A) and
(B) then
(C) that
(D) what


訳:そのベンチャー企業の社長は彼の企業が向こう3年以内に東京証券取引所に上場すると発表した。
正解:(C)
説明:例文の空所までの単語列は「S → V →・・・」構造、かつ、述語動詞のannouncedは他動詞ですから空所以下はannouncedの目的語になります。よって、名詞節を導く従属接続詞のthatが正解。


▼例題3:
The senator from New York thinks < > she will lose the election.
(A) possible that
(B) it possible
(C) it possible that
(D) it possibly that


訳:ニューヨーク選出のその上院議員は選挙で負けることもありうると思っている。
正解:(C)
説明:例文は「S → V → O → C」の第5文型でthat 節が真の目的語。that 節が真の目的語になる場合は、it を形式目的語に立てて「S → V → it →C → that節」の語順になります。


▼例題4:
Sales fell in June < > our best salesperson was on her vacation.
(A) so
(B) because of
(C) while
(D) during

訳:最優秀な販売スタッフが休暇中だった6月、売り上げは減少した。
正解:(C)
説明:二つの「S → V →・・・」構造をつなぐ語句が空所に入るはず。前の「S → V →・・・」構造の後にカンマがないことから、空所には従属節をつくる従属接続詞が来ることがわかります。so「それで~」 と for「~というのは」は等位接続、duringは前置詞、because of「~のために」も前置詞句であり不適当。ちなみに、前置詞(前置詞句)の後ろには「S → V →・・・」構造の節ではなく名詞・代名詞・名詞句のいずれかになるはずです。


▼例題5:
< > numerous public complaints, the Human Rights Protection Bill was withdrawn.
(A) When
(B) Because of
(C) Although
(D) Since

訳:あまりにも多くの不満が寄せられたので人権擁護法案の審議は取り下げられた。
正解:(B)
説明:空所の後ろにnumerous public complaints と名詞句が続いていることから、空所には前置詞(句)が入るはずです。また、空所からカンマまでの部分は、カンマ以降の原因・理由を説明している。よって、接続詞の(A), (C)は不適当。残る (B), (D) の内、Sinceは前置詞としては「~以来」という意味しかなく消去法的にもBecause ofが正解になります。


▼例題6:
The new schedules will be distributed among the staff < > they arrive from the personnel department.

(A) before
(B) soon
(C) during
(D) when


訳:新しいスケジュールが人事部から届いたら、スタッフに配布される。
正解:(D)
説明:空所の後に「S → V →・・・」構造が続いており空所には節を導く接続詞しか入らないはずです。よって、副詞のsoon、前置詞のduringは不適当。before「~の前に」とwhen「~の時に」の意味を考えて正解をゲット! ちなみに、 (B)が接続詞のas soon as「~するやいなや」ならそれも正解になります。尚、空所の後ろは未来の事柄なのに述語動詞はarriveと現在形になっていることに注意してください。時や条件を表す副詞節では未来のことを述べる場合にも述語動詞は現在形で代用するのです。




◆習って慣れよ、英文法
上で「理詰めで理解できない英文はほとんどない」と断言しました。よって、沢口靖子さん扮する京都府警科学捜査研究所法医研究員のような注意深さと粘り強さが英語のセンテンスの理解には不可欠とも。けれども、『再出発の英文法』の著者としてここで自分自身のエピソードを添えて補足したいことがあります。それは、かなり「悲観的」なことであると同時に、気の持ちようでは「気楽」になれること。

畢竟、英語のセンテンスの理解には、英文法だけでなくパラグラフに流れ込む、いわば、「常識」としての<英語母語話者が共有する文化コード>の情報が最終的には不可欠ということです。

もっとも、それら文化的のコードも(英語の場合)パラグラフのコンテクストを通してセンテンスに具現しており、簡単に言えば、英語のセンテンスの理解には文化的背景の知識は不可欠だが、あくまでもセンテンスの意味は文法と(センテンスがそこに包摂されている)パラグラフのコンテクストを通して解釈されるしかない(尚、パラグラフとセンテンスの関連に関しては下記の記事をご参照ください)。

再出発の英文法:パンクチュエーション
 [3]パンクチュエーションとパラグラフ



つまり、「理詰めで理解できない英文はほとんどない」というのは間違いではないのだけれど、そのセンテンスに込められた著者や話者の真意、そのセンテンスが書かれたり話された背景を踏まえてその英語のセンテンスを深く正確に理解しようとすれば英語圏の文化の体得が必要になる。畢竟、英文法だけではだめだが、英文法の基本的知識を欠いては英語のセンテンス理解の「土俵」に上がれないどころか「国技館のある両国の駅」にも降りられない。

要は、英語は慣れるだけではなく英文法を習うことはやはり不可欠であり、英語で何かができる、英語でのコミュニケーション能力を獲得するためには「習うより慣れよ」ではなく、「慣れるより習え」でももちろんなく、「習って慣れよ」の姿勢が大切ということになります。


この点に関して、私が思い出すのは、1995年のシーズンに近鉄バッファローズからロサンゼルス・ドジャーズに移籍した野茂英雄投手のこと。実は、この年は仕事で、5月上旬と8月下旬にアメリカを訪れました。

その5月、Base ballが大好きな旧知の大学関係者に私が「野茂はどうですか。メジャーで活躍できると思いますか?」と聞いたら、マサチューセッツでもミネソタでも(そして、サンフランシスコでも!)皆、”Nomo who?””I don’t know of a Nomo.” 「野茂って誰?」「野茂とかいう奴なんか知らないよ」・・・。(ちなみに、I know Nomo.は「野茂選手を(個人的に親しく)知っている」:I know of Nomo.は「(知識や情報として)野茂選手のことを知っている」の意味。また、人名に冠詞がつくと、a Charles Johns「チャールズ・ジョーンズと名乗る人」の意味です)。

そして、8月末。その時すでに10勝をあげ、奪三振王確実の成績を収めていた野茂投手のことを、春と同じ大学関係者の人々が逆に私に聞くではありませんか。”Do you know Nomo?” と。私は”No. but I know of him very well!”と答えましたとも。その時、日本人としてなんと誇らしかったことか。

このエピソードはアメリカの社会の一面をよく表していると今でも思います。つまり、(優等生的な言い方ではなくて)アメリカでは国籍やエスニシティー(ethnicity)の違いを超えて、フェアにルールを遵守しつつ活躍した者には誰もが賞賛を惜しまないということ。


もう一つエピソード。アメリカでは、野球といわずフットボール(=日本語では「アメリカン・フットボール」)といわず、また、プロとアマとを問わず「地元意識」は凄いです。簡単に言えば、すべてのチームについて「日本の、そう、野球では甲子園球場の阪神タイガース、Jリーグでは新潟のアルビレックスや浦和のレッズ、鹿嶋のアントラーズの比ではない」と言えば少しはイメージしていただけるでしょうか。

例えば、私は、昔、人口10万人弱のミネソタ州のある大学町に長期滞在していました。そこは1A(=日本で言えば、トップ選手の1軍から3つ下の「4軍」)のあるプロ野球チームの本拠地。而して、こと野球に関してその町で「今日は勝った」「先週は負け越した」のセンテンスの主語(They)はすべてその1A球団。誰も、州一の大都市ミネアポリスが擁するツインズや、まして、ヤンキース(日本でいえばさしずめ「巨人」?)のことなど話題にもしません。これを見て、アメリカ体験の醍醐味は地域コミュニティーの一員になること/地域コミュニティーの一員になればアメリカも英語も数倍深く理解できるんだなと気づきました。

重要なことなので再度書いておきます。畢竟、何を私は言いたいのかといえば、それは、大きく言えば「異文化理解」に他ならない英語のセンテンスの理解には英文法はマストだとしても、それは英語のセンテンス理解の必要条件にすぎず十分条件ではないということ(English grammar is not a sufficient condition but a necessary condition to understand an English sentence.)。ならば、最低限の英文法の知識をさっさと獲得した上で、実際に、英語を使うのが合理的に決まっているということ。その点、アメリカで地域コミュニティーの一員になれるようなら、使える英語力の向上においても最高の環境であり手段でしょう。

而して、地域コミュニティーの一員になるためにも英語力は大事(そして、最初のうちは変な英語(?)だなーと思われようと、(支那の人や韓国の人とは違い、世界でも評判のよい日本人らしく、あくまでも、TPOをわきまえて)どんどん話しかける勇気がもっと大事)。


そのためにも今からどんどん英語に触れましょう。
英文法書を捨てて、街に出ましょう。できれば、
英語圏の地域コミュニティーに入りましょう。

そして、そのためにも英文法、鬼のように頑張りましょう、
英文法書を一刻も早く投げ捨てられるように。

Let's do it, shall we?



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