1,000万都市イスタンブールでは、既にボスポラス海峡を渡る車が一日35万台を超えていました。
東名高速が10万台程度であることを考えれば、その規模が伺えます。
それを現在、2本の橋でまかなっているのであります。言わずと知れた「第一ボスポラス大橋」と「第二ボスポラス大橋」です。
渋滞は慢性化し、排ガスによる大気汚染も大変深刻になってきています。
現在、鉄道へのモーダルシフトを目指して海底鉄道トンネルが工事中です。世界最深の沈埋トンネルということで・・・。
もちろん、日本の円借款で行われていて、例の「地図に載る仕事」の会社が施工しています。
鉄道ルートはアガサクリスティで有名なオリエント急行の延伸上ということですが、事はそう簡単にいきません。鉄道駅までは車で行くことになりますし、駐車場(パークアンドライド)も心もとないです。
結局、しばらくの間は車の分散しかない、というトンネル案を提案したのであります。今まで2本の橋でまかなっていたものを3本目はトンネルで、ということです。
しかし、問題は山積みでした。先人たちが何百年も考えて実現しなかった事業なのです。
先ず、どこを掘っても遺跡が出てきます。千年前の遺跡の下にさらに二千年前の遺跡が・・・。 事実、鉄道トンネルの工事は遺跡の出土で大幅に遅れています。
次に、連絡する道路は耐えられるのでしょうか。先詰まりでは結局また渋滞します。
次に、長さや規模は最小限に押さえ、民活事業で成立つ収支バランスになるのでしょうか。
そして最後に最大の難問で、果たして『環境にやさしい』計画ができるのでしょうか。
3月現在、この事業は「BOT事業」として入札の真っ最中であります。