常楽院

福島県南会津町 真言宗

しんごろう

2015-12-21 | Weblog
 先日住職の仲間と忘年会で『しんごろう』を食べました。今シーズン最初です。じゅうねん味噌が香ばしくて美味しい『しんごろう』でした。
 『しんごろう』は田島の郷土料理です。
 昔、貧乏でお正月餅をつくことができなかった新五郎と言う孝行息子が、うるち米を炊き半分ついて(この辺では半殺しと言う)丸め串に刺し、じゅうねん(えごま)味噌を付けて焼いて食べたら、それが大変美味しかったので村中で広まり『しんごろう』と言う名前で田島の郷土料理になったものです。
 新米が出来ると、どこの家でもしんごろうを作りました。「雪道としんごろうは後ほど言い。」とよく祖父が言っていました。雪道は、後で歩くと先の人達が踏みしめて歩きやすくなる。しんごろうも急いで食べると良く焼けていないことがあるけど、時間をかけてゆっくり焼いた物の方が温かくて香ばしくて美味しいのです。私たちにとっては最高のご馳走で、新米が出来るのを首を長ーくして待っていたものです。

 
『しんごろう』には、大根、人参、じゃが芋、ねぎ、豆腐などと一緒に鯨の肉を煮込んだ『くじら汁』が付き物でした。これもとても美味しかったのですが、今は鯨肉は捕獲量が決められおり、高級品でお店でもあまりお目にかからなくなりました。

 囲炉裏に串に刺された『しんごろう』、吊るされた鉤づるしに吊るされた『鯨汁』、叔父が婚約者を連れて初めて我が家に来た時、母は張り切って『しんごろう』を作ったのですが、「これ鳥の餌でしょう。色も黒いし」と手を伸ばしませんでした。今でこそ『えごま』は栄養豊富な食品として市民権を得ていますが、その頃の若い彼女にとっては鳥の餌を塗った黒い変な食べ物だったのでしょうね。『しんごろう』を食べるたび彼女のびっくりした顔を思い出します。




























































南相馬市に行ってきました

2015-12-17 | Weblog
 昨日南相馬市にいってきました。
 二本松で高速を降り川俣や飯館を通り南相馬に、飯館に入る辺から道路の両側のいたるところに除染放射性物質を入れた黒い袋が山積みになっていました。その近くでは重機で田圃などの土を掘り取っておりそこで働く作業員の方の姿が多数見られました。山では木の葉等を袋につめている作業員の姿も。TVのニュースなどでは良く見る風景ですが、自分の目でそれを見ると表現しようのない思い気持ちになりました。
 戻ってこられて、毎日この情景を目にしながら生活をする人の気持ちを考えると、と言うか考えられなー・・・ 
 道路わきの花壇には「子供たちに美しい村を残そう」と書かれた小さな掲示板がありました。これは震災前に作られた花壇なんだろうなと思ったら、とても悲しい気持ちになりました。
 南相馬に入ると人の生活感が感じられ、何だかほっとしました。
 親交のあるお寺さんにもよりました。前回お邪魔した時は墓石が倒れたり、門が壊れていたり、燈籠が落ちていたりと大変な状態だったのですが、きれいに修復されていてほっとしました。しかし、お孫さんが小さかったため息子さん御家族と奥様が避難され、「近くのお寺さんも避難された方が多く、檀家さんかそうでないかを問わずお参りしているんですよ。」と一人で頑張っていたご住職が、心身の疲労だったのか、ご家族が帰ってこられた途端体調を崩され一時期は起き上がれなかったんですよと姿を見せてくださった時、ガッシリしていた方だったのに痩せていて、痛々しい思いでした。

 精一杯頑張っている人達に頑張れではいけないんでしょうが、それ以外に言葉が見つかりませんでした。
 そして、もう二度とこんなことがありませんようにと祈らずにはいられませんでした。

豊山流御詠歌全国大会

2015-12-06 | Weblog
 11月12日に 『第60回豊山流太師講全国奉詠福島大会 ~「東日本大震災」慰霊と復興への願い~』が郡山ユラックス熱海で開催されました。
 山形県から高知県まで1500人の参加とか、会場いっぱいの人すごいですね。
 例年の大会は自分たちがステージに上がるのでドキドキで余裕がないのですが、今回は詠監、詠匠、詠秀の先生が中心となったコンサート形式に、席に着いた私たちが参加する形式。先生方の奉詠を充分楽しむことが出来ました。所作の綺麗さにも見せられました。
 福島県の先生方が中心となった慰霊と復興の中で唱えられた、2部や輪唱の御詠歌には皆が感激。「御詠歌もこんな風に唄えるんだ、私たちもやりたいね。」とは言うもののまだまだ無理、いつかは挑戦したいな。

     

 大会の後は宮城の秋保温泉まで足を伸ばして、大いに温泉や松島を満喫して、お土産をいっぱい抱えて帰りました。
 
 秋保温泉の「佐勘」は素晴らしい宿でした。調度品も食事も対応もよかったです。また行ってみたいですね。
 でも、ちょっと広すぎて一人でお風呂に行けず、送っていかなくちゃいけない講員さんもいました。(笑)