Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

選ぶなら、降格制度のある会社がよい

2010-04-07 10:53:41 | work
今週号のAERA、特集「ポストと年収」が興味深い。
前半では、事実上崩壊した年功序列制度の現場ルポが続く。
ババをつかまされたのはバブル世代だ。同期の一割も課長に昇格できていない大手メーカーがある一方で
日本企業の平均課長年齢は既に30代に低下し、団塊ジュニア世代に移りつつある。
つまり、バブル世代の飼い殺しが進んでいるわけだ。
もちろん、2、30代も安穏としてはいられない。ポストが今後増えるどころか減ることが確実な以上、
バブル世代の惨状は10年後の自分自身かもしれない。

では、日本企業の人事制度はどうあるべきか。
僕自身も登場する後半の「役割給で始まる大降格時代」では、一部の企業における先進的な取り組みが
紹介される。要するに職務給のことで、勤続年数によらずにポストに抜擢・降格する流動的人事のことだ。
個人的にキヤノンやリクルート系のリンクアンドモチベーションの事例は知っていたが、脱年功序列の
動きが他にもこれだけ広がっているとは知らなかった。※

もっとも、脱終身雇用、脱年功序列は時代の潮流であり、手を打つなら早い方がいいのは言うまでもない。
ずるずる引っ張っても組織の活力をそぐだけだろう。
内田樹氏のような時代に取り残されてしまった老人には「日本型雇用が復活している」と見えるらしいが、
動いているように見えてもそれは死後硬直だ。

それでも「終身雇用は日本の文化」とか「労働者よ団結せよ」という浅学な方は、ごたく並べてる暇が
あったら、とりあえず低賃金で滅私奉公好きな若者をいっぱい探してこないとね。
求人要件には「マゾ」って書くといいんじゃないかな。

ところで、こういう風に組織として正しい方向を進んでいる企業はいいが、問題はそうでない企業だ。
適正なリソースの再分配ではなく、若手の昇給昇格抑制しか頭にないようなこちこちの組織にいる人は、
ご愁傷様というしかない。
団塊と比べて生涯賃金を3割程度引き下げるという話は聞いていたけど、この調子だとテレビ局なんて
半減するのではないか。

そういえば、以前、どこかのテレビ局の新人達と番組で同席した時のこと。
正直言うと僕は「今どき、デフレに加えて産業構造的に地盤沈下している業種の、しかも既得権見直す気ゼロ
の会社に入社するなんて、なんてボランティア精神あふれる若者たちだろう」という労りの目で彼らを
見ていたのだけど、表情を見ていると、どうも「僕たち私たち、勝ち組!」って思ってたような気がする。

ちゃんと新人だけ新給与制度に切り替えたり、別会社扱いにして賃金を3割カットしてくれる心優しい会社
ならともかく、そういう現実に気づかないまま住宅ローンとか組んじゃったらどうするんだろうか。
まあ、ツケというのは結局は誰かが払わないといけないわけで、トロい奴が犠牲になるのは自己責任
というしかないが。

円天みたいなネズミ講にだまされる老人を見て笑う若者は多いが、ネズミ講はなにもマルチビジネスだけ
とはかぎらない。引っかかりたくなければ、アンテナは高く上げておくことだ。


※年俸制の管理職限定だったり、年齢給部分は残している場合がほとんどなので、文字通りの“流動化”
 とまでは言いきれない。

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32 コメント

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Unknown (降格制度も良し悪しです・・・)
2010-04-07 12:35:03
ウチの会社には降格制度がありますが、あまり良いものだとは思えません。
この業界の性質によるものだとは思いますが。
降格された中高年世代は妙に結束力があって、会社にネバネバ滞留していて、各部署で悩みの種になっています。
使えないわワガママだわで、若手の新管理職が次々と追い詰められていきます。
彼らは年数だけは長いので、上の方の年寄り共とゴルフ仲間だったりして、仕事上以外での繋がりを持っているので、なおさら始末に悪いです。
役職給こそ付かないものの、基本給が高いので、自分の給与分すら稼げない彼らを養うのは大変です。
中にはキッチリ追い込みをかけて、中高年欝病患者を計画生産しているツワモノな若手もいますが・・・
そんなわけでIT産業に寄りかかっている業種に関しては、個人的にはオススメできません(笑
今の日本はネズミ講 (as)
2010-04-07 12:55:42
ネズミ講とはよく言ったもので働いたものが働いただけ金をもらえる社会じゃなければ、それはネズミ講ですよね。
老人の正社員は増えているのに若者の正社員は増えないw。で正社員になった若者が非正規の若者を叩いているんですから性質が悪い。まあそんな事を言っていられるのは自分自身が負け戦の殿だって気がつくまでですけどね。
Unknown (ニコラス刑事)
2010-04-07 16:45:30
テレビ局のように、広告業としては構造的に地盤沈下していても、電波利権業としては構造的に強力な独占搾取が可能な会社に入ることは、勝ち組と言えるんじゃないですかね?

どこもそうだと思いますけど業界の構図が崩れない限り、元請や発注する側は相対的に楽できる状態が続きますよ。

雇用の流動化も重要ですが、会社間関係の流動化、つまりは小が大を食うような下克上もそれ以上に必要だと感じています。現場で根源的なバリューを生み出す人たちがワープアになるのが今の腐った日本の現状ですからね。
降りても地獄 (Chic Stone)
2010-04-07 19:40:36
>ごたく並べてる暇があったら、とりあえず低賃金で滅私奉公好きな若者をいっぱい探してこないとね。

「それ以外の道は全てもっともっと悲惨」にすればたくさん集められます。

起業した者は「起業バカ」成功した万人に一人は逮捕、失敗する大半は個人・連帯保証で親戚ごと殺して生命保険。
好きなことを仕事にしたら「バイク便ライダーは見た!」やりがい搾取。
フリーター・ニートは親が死んだら餓死あるのみ。
海外で成功するのも百万に一人、残りはいうまでもなし。
大学院に行けば「高学歴ワーキングプア」。
他の資格・専門学校も食えるのはわずかで残りはフリーターに戻るだけ。
外資だのなんだのも、結局成功するのはわずかで残りは放り出されて…

その「低賃金で滅私奉公」がいちばんましに見えるのでは。
幸せについて真剣に考える時では? (台湾的日本人)
2010-04-07 19:48:16
台湾から失礼します。
日本にいた時はバイトばかりしていたし、台湾へ来てからは日本の事情も肌で感じられませんが、最近思うのは、月並みな言い方かもしれませんが、「自分にとって何が一番幸せか?」を真剣に考えることだと思います。

私の兄も日本で会社員をしていて、それなりに収入を得ているのに「外国で気楽に働いているお前はいいな」といつも言います。私から見ると良い給料もらってきれいな奥さん持って、大きいマンション買える兄がずっと幸せそうだと思いますが、当人はそうではないようです。

城さんが見たテレビ局の人達は自分が「勝ち組」で「幸せ」と感じているなら、それでいいのではないでしょうか?他人を見下して得られる幸せなんてクソくらいですが。

結局各人が自分の「幸せ」を自分で定義付け、それに対して努力するしかないと思っています。
その通りです (スターチスの花言葉)
2010-04-07 21:20:34
台湾的日本人さんに 同意します。
自分の幸せは自分で 探していきましょう。いつか私は台湾や いろんな国に行って みたいです。
大学 (Brown)
2010-04-07 21:41:09
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100407-00000016-oric-ent
大学生の人気就職先1位、JTBグループ~レジャー・エンタメ関連企業躍進

安定志向は変わってないみたいですが、4位に日本郵政(!!)が入っているあたりを見ると
不安になります。

別のニュースでは、中国韓国の優秀な大学がカンボジアなど東南アジアの優秀な高校生を青田刈りしてるらしいです。そして、その争いに東大も負けじと参入してるのに、現地の対応は冷ややかだということでした。
(現地の高校関係者と東大教授が話してる様子出てましたが、現地高校関係者ははっきり
「中国韓国の大学のほうが学生の待遇や知名度が上」と言ってました。)

日本の大学はいつまで丁稚奉公を生産し続けるんでしょうか?
台湾的日本人 (???)
2010-04-07 21:59:46
のいうことは正しいのですが、今問題なのは日本では幸せだと感じない人の割合が過去より圧倒的に増えているということです。そしてその最大の原因が日本独特の制度面や雇用慣行に起因しています。

そして年齢面によっても格差が大きくて最近退職し始めた団塊世代なんかはすごく幸せそうにしていますが、20代~30代あたりは今や幸せに感じていない人の割合が圧倒的に大きいです。一部に負担が偏っていて生まれた世代によって幸福度が違うというのは根本的に何か間違っていると思いますね。
Unknown (Unknown)
2010-04-07 22:10:32
>「今どき、デフレに加えて産業構造的に地盤沈下している業種の、しかも既得権見直す気ゼロの会社に入社するなんて、なんてボランティア精神あふれる若者たちだろう」という労りの目で彼らを見ていたのだけど、表情を見ていると、どうも「僕たち私たち、勝ち組!」って思ってたような気がする。

>そういう現実に気づかないまま住宅ローンとか組んじゃったらどうするんだろうか


トヨタの3年目ですが直属の先輩が5年目で家建てちゃいました。「君も印鑑とボールペンさえあれば建てれるよ♪」ってよく言われるんですがそんなノリに耐えられません。年功序列の大手といわれる会社はみんなこんな感じなんでしょうか?
降格は必要 (大手繊維メーカー勤務)
2010-04-07 22:23:27
成熟化している大企業ほど降格人事制度は必要だと思います。弊社でも年功序列はなくなりつつありますが1度管理職に昇格した人間は降格制度がなく、ポストが減っているので役職名だけ変えて同じ業務を行い、若手社員の活躍の場を奪い取りノンワーキングリッチになりつつあります。降格もありうるが再度昇格のチャンスがある人事制度であれば社内で腐ることなくチャレンジでき企業の再活性化が図れると思いますよ。
城さんのブログは本当に日本企業の弱点を付いていてためになりますね(”~”)!!