地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか? (ちくま新書)久繁 哲之介筑摩書房このアイテムの詳細を見る |
以前、映画『国道20号線』の富田監督と対談した時、社会がどんどん発展して、インフラや
衣食住の地域差がなくなるほどに、逆に地方と東京の格差は拡大するよねという話題となった。
国道というインフラを通じて、地方は物流から価値観にいたるまで東京型に組み込まれ、
都市から流される情報の受け手に成り下がる。その中で育った若者の多くは都市へと流出し
後にはチープで金太郎飴的な寂れた地方都市だけが残るというわけだ。
その時は解決案までは思い浮かばなかったのだが、たまたま手にした本書の中にそれがあった。
もはや日本は全国一律のインフラは維持できないので、今後は過疎地域から中核都市への
集約が進むはずだ。その中で、駅前の再開発や大規模ショッピングセンターの誘致は、一見
すると時流に即したアプローチに見える。
だが“宇都宮109”のように、失敗するものが少なくない。
むしろ、松江の天神町商店街や善光寺前のぱてぃお大門のように、成功事例として取り上げ
られていても実際には地域活性化につながっていないケースが少なくないと著者は指摘する。
理由は、トップダウン式の押し付け再開発にある。
国や自治体、都市計画者や建築学者には、各々がイメージする理想郷がある。そして、それは
必ずしも地域に適合するものではない。たとえば欧米の大学院で学んだ都市計画とやらを
持ち込まれても(文化が全然違うわけだから)山口や島根の人が喜ぶわけではないし、
お役所の縦割りから生まれた行政サービスが非効率なのは今に始まったことではない。
エコを掲げつつ車社会重視で路面電車を廃止し、43階建ての高層ビルを駅前に立てた岐阜市
が典型だろう。開業三ヶ月で一階テナントが撤退した岐阜シティタワー43は、様々な人達の
理想と妥協の差物である。
では、地域再生に必用なものとは何か。
著者は地域再生の本質は「交流、心の再生」にあるとし、そのために交流や地域愛を柱と
する7つのビジョンを掲げる。
その内容まではここでは書かないけれども、そこまで読み進めた後なら、宇都宮109が流行
らなかった理由はすっきりと頭に入ってくるはずだ。
渋谷の109の劣化コピーを持ってきて、地元の姉ちゃんに売らせたところで、カリスマ店員
のようにはいかない。そういうのが好きな人は「やっぱり渋谷じゃないとダメだよね」と
なり、もともと興味のない人は最初から寄り付かないだろう。
自治体の担当者はもちろん、町おこしに少しでも興味のある人には強くおススメしたい一冊だ。
これは、政投銀で地域活性化に取り組んでいる藻谷浩介氏の著作で知りました。
新幹線や高速道路などの交通インフラが発達すれば、地方‐大都市間のアクセスが向上し、産業誘致や観光振興が見込めるはずだった。
しかし地方の思惑は外れ、逆に若者や企業がストローで吸われるように東京に一極集中していき、観光も宿泊型ではなく日帰り・通過型が増えた。
トップダウン方式の押し付け開発など、理念や利権が先行して地域の実情にそぐわないものだと改めて感じました。
例に出された岐阜市出身の者です。
なぜ将来の高齢者激増に対応したコンパクトシティ化を見越さず、目先の車社会を重視するために路面電車を廃止してしまったのか。5年経った今でも疑問に思います。シティタワーも結局見栄え重視だった気がしますし・・・
この本、ぜひ読ませてもらいます。
私が最近読んだ本で興味深かったのは、前掲の藻谷浩介氏の『デフレの正体―経済は「人口の波」で動く』です。
人口動態という切り口から日本のデフレを読み解き、雇用問題ではかなり城さんの考えに近いと思います。
やはり今の日本が対処すべきことは、どの切り口から見ても一つの方向に収斂していくのだと思いました。
どうすれば地元地方 のことを考えて活動する地方議会の議員の質を上げることが 出来るでしょうか?
商店街が壊滅らしい。
限界集落を潰して中核都市への集約は必須でしょう。
人口が増えれば、外食、教育、病院や交通などのまとまった需要が増えるので供給(雇用)が生まれるでしょう。
商店街の中に中規模マンションを誘致したり、文化施設や役所などもコンパクトに集約する。路面電車で都市交通を整理するなど地方はもっと”内向き”になった方が良いと思います。
路面電車のある風景(観光地以外でも豊橋、福井、富山、松山、熊本など)は街力を感じます。
少なくともイオンモールが作り出す空間より魅力的なはずです。
ですが、実感として新幹線が開業しても地元がよくなるとは
思えません。
今でさえ、駅前デパートの閉店、巨大工場の閉鎖、ゴースト商
店街、特に目立った観光資源もなし。
そんな中で新幹線が開業しても、人が都市部へ流れていくのは目に
みえています。これが上の方が書かれていた「ストロー効果」
なのでしょうか?
明らかに住んでる街が劣化していくのを肌で感じています。
あまり適切な例えではないかもしれませんが東京と京都が同じ街並みだったらわざわざ外国人観光客の方が京都に観光には行かないような気がします。 外国人観光客の方の誘致には 国が携帯電話を貸し出すとか連続で宿泊する方へのサービスを考えるとか、まあ大前研一さんが雑誌に書いていたことですが今必要なのは脱小沢一郎さんではなくて脱田中角栄さんではないでしょうか?
ちなみに県庁・市役所は地元高校の成績で中の下くらいの連中が行くレベル。
小沢さんの地方再生は、詰まるところ、公共事業だ。
利権政治と公共事業は、短期的には、その地域にお金が来るけど、持続的な発展には結びつかない。
だから最後は限界集落化。
やって来たお金も特定の人々の間を循環するだけ。
もっと色々な人からアイディアを募集して知恵を使った地域再生をしなくてはいけない。
大きな流れとしてどうするのが賢明(要するに頑張るほど金が減るパチンコ屋なのか、頑張るほど金が増える油田なのかを見分ける)?
交流・心の再生で、どれぐらい成功するものでしょうか?