なぜ若者は保守化するのか-反転する現実と願望山田 昌弘東洋経済新報社このアイテムの詳細を見る |
山田先生の新刊。保守化といってもネトウヨ化ではなくて、
リスク回避の安定志向になったという意味だ。
理由は言うまでもない。
大企業の正社員だけが保護され、下請けや非正規雇用が捨て駒にされるのを
見れば、誰だってそうなる。
結局のところ、現状はまだまだ新卒一発勝負、20代前半が人生最大の関ヶ原
というわけだ。
山田氏は実家が自営業でない学生には院進学は勧めないそうだが、人事部的
にも正しいアドバイスだと思う。
本書では他にも、若者の変化の深層を次々と描いていく。
たとえば、「結婚して家庭に入りたい」という20代女性の増加について。
現状の保育所のコストを考えると、それを大きく上回るリターンが得られなければ
労働インセンティブはわかない。そう考えると、非正規雇用比率が5割近い20代女性が
「家庭に入りたい」と願うのは、「昭和への回帰」というより単なる「労働意欲の喪失」
とみるべきだ。
仕事での自己実現や経済的自立が困難なために、昭和的モデルに依存していると
いうのが実情だろう。
そういった価値観が良いか悪いかはともかく、現実問題としてこの流れは、未婚率
の上昇をもたらしている。彼女らの希望をかなえられる男性は、もはやありふれた
存在ではない。
男も女も、大昔には合理的だったシステムに、いつのまにかがんじがらめに縛られて
生きているわけだ。これが閉塞感の正体だろう。
週刊東洋経済での連載をまとめたものであるため、やや流れが交錯するが、エッセンスは
充実している。変なイデオロギー抜きに社会問題を考察したい人にはおススメの入門書だ。
大体の人は夢とかいうんじゃなくてちゃんと食べていけそうな進路を迷いもなく選んでいますし、勉強しないでぷらぷらしてた人は最近後悔しているみたいです。
「おれは絵を描く」とか言って絵描きの勉強を始めた友人もいますが、たとえば理学部よりも実学志向の工学部の志望が圧倒的に多いなど、現実的路線が多数派かもしれません。
昔はどうだったか知りませんが、あんまり変わらないんじゃないでしょうか?
それで「どちらを選びますか?」と聞かれれば、誰だって前者を選ぶ。
それだけのことですよね。
だから日本の産業は衰退していく一方なのだけれど。
要は中高年のみならず若者までもが
既得権をもってぬくぬくしたいという
情けない守旧派と化したということか。
「若者は正社員を嫌い、自らの希望でフリーターになっている」
このでっち上げた前提で派遣規制緩和などを推し進めたんだよね。
この前提が完全に崩された以上、もうどうしようもないね。労使双方で万人が納得できる非正規の働き方を模索していけば違ったんだろうけど、経営組合双方がしわ寄せを押し付けることしか頭がないからこうなった。
派遣規制は既得権益者の自業自得。
日本が転職が少ない社会というのは誤解です。
大卒×男子×正社員という比較的終身雇用が高い集団に絞っても、一社で終身雇用される人の割合は4割弱であり、日本では第二新卒の市場がことの他大きく好景気には猛烈な売り手市場になります。
35歳以上の転職率の低さから考えて日本の長期雇用とは新卒では無く、35歳以降というべきなのです。
えり好みせず、中小企業でいいから正社員になれば第二新卒時に好景気がくればリベンジ出来る日本の職業選択システムは極めて公平に出来ていると考えています。
保守の定義が間違ってないでしょうか。引用部分から言えば、単なる「退嬰化」にしか過ぎません。あるいは、「野生の喪失」ですよね。
山田氏などが振り撒く、「やさしい」平等化が、リスク回避の安定志向になるように思いますね。この人や、橘木氏らの物言いが世の劣化を促進しているように思えて仕方がありません。
「雇用の常識」の海老原さんも言ってましたね。新卒時に就職氷河期でも第二新卒時には好景気になりやすい。では非正規になった人は?マクロなデータは知らないが限定的という気がしないでもない。
ってか城さんシンパじゃない人最近増えましたね。このコメント欄。
時代の変化がめまぐるしいこの近現代において、時代をリードするべきはずの”エリート”と呼ばれる層において「4割弱」というのはまだまだ高いのでは?
ただエンゼル蛯原さんのおっしゃる通り第二新卒のリベンジとかをもっと学生は意識しても良いと思います。
問題は「好景気」がくるまでにどのくらいかかるか・・・ですかね・・・
完全に前提を都合よく設定した結論ですね。
選り好みしなくたって正社員になれない時代だってあったし、今だって二極化が進んで内定何個も勝ち取る人もいれば、一個もとれない人だっているでしょう。「人が足りない、でも基準は妥協しないぞ」てなスタイルを企業も選択してるわけですから。
事の本質は正規と非正規の二重構造による「生産性の差をはるかに上回った待遇の差](by OECD)と、一旦非正規側に行こうものなら容易に戻れない構造だと思います。
一旦そちらに行こうものなら、人物の中身も見ずに属性で採用すら受け付けないシステムのどこが公平なんでしょうか?
先の結論は「フリーター?んなもん自己責任だろ、まったく最近の若いもんは」てな具合にぼやく親父たちと大差ないように聞こえます。