Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

公的年金と雇用主負担

2009-09-14 10:28:39 | 経済一般
東洋経済9/12号の76p、年金解説の内容がちょっとずれている。
ずれというより、これは完全に厚労省の御用学者スタンスの丸写しだ。
厚労省スタンスとは、
「年金未納者は将来の支給も発生しないから、いくら未納者が
増えても年金制度は破綻しない」
というもの。
つまり、「払ってないやつは自己責任」というわけだ。

だが、未納者といっても「オレは強いから年金などいらぬ」という人は極めて
少数で、大多数はそれだけの余裕が無い層だろう。
となると、将来、別の形で社会保障制度でカバーしなければならなくなる可能性が
高く、結局はそういったツケを将来に先送りしているわけだ。

そもそも、公的年金とは、自己責任に代わって国家が一定の貯蓄を強制する仕組み
であり「払わなくてもいいよ、だって自業自得じゃん」というのはありえないだろう。

厚労省がこういうムリな主張をするのは、以前も言ったように税金化してしまうと
財務省管轄になってしまうからだ。
そういう一方的な主張を載せるべきではない。

ついでにいうと、
「税方式化で保険料の労使折半がなくなるから、サラリーマンの負担は倍になる」
も間違い。
企業側はあくまでもろもろのコスト込みで社員を雇うかどうか判断しているわけで、
つまりそれだけの働きは各労働者に「見えないノルマ」として課されているわけだ。
と考えると、結局は本人負担ということになる。
だから「全額税方式、本人負担!」といっても、極論すれば雇用主負担分を
本人負担に付け替えさせ、従来どおりの保険料分と合わせて天引きさせれば、
従来と何も変わらない。
むしろ、消費税のように全世代から幅広く徴収できるものなら、トータルの保険料は
安くなるはず。

というか、よく見ると次のページの囲み記事の中に
「社会保険負担は表面上、企業が負担しているようにみえても、実質の負担は社員」
と書いてあるじゃないか。
細かい話かもしれないけど、一枚違いでこれはかっこ悪いよ。

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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
統合失調症 (TS)
2009-09-14 12:23:25
厚生労働省の以下の主張を、整合性を持って説明できたらある意味爵位をあげてもよい。

・国民皆年金
・国民皆保険
・社会保険方式
・世代と世代の支えあい
・自助努力
・賦課方式
・第三号被保険者

同じビルの、同じ部局の人間が、自分たちが運営する社会保険制度を説明する際に、使用する単語である。
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年金は徴収金額だけで支給すべき (29歳)
2009-09-14 13:45:25
 今の年金の議論は足りないお金を増やす議論ばっかりしている。徴収できた金額だけでお年寄りに配ればよいのに赤字出してまでやるこたない。未納の人はもらえないというけれど、3号被保険者なんか未納でももらえる。しかも女性の平均寿命は男性より6年も長い。こういう人たちは多少給付が減っても文句を言う筋合いはないだろう。現金の代わりに食料品券配るという手もあるし。
 労使折半は結局本人負担というのは言われてみるばその通り。給与明細にだまされてました。しかし、雇用主負担が減れば、企業が人を雇うハードルは下がりますよね。
 
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Unknown (未納者のかなりの割合は生活保護をもらっている)
2009-09-14 14:39:37
未納者は自己責任といいますが

実際には生活保護を受けています
納付していないひとには給付は無いというのは違うと思う
日本は良い国
働けなければお金をもらえる

車などの財産を一定以上もてないとか制限はあるものの
国の負担であるのは事実と思う

生活保護をバッサリとなくし死にたいものはバタバタと路頭で死んでいく社会は物騒になり荒廃するのだろう
生活保護は社会のコストというべきか
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いろいろ (patrasche)
2009-09-14 19:15:14
>現金の代わりに食料品券配るという手もあるし。

そうそう。現金じゃなくて住宅やらコメ引き換え券を配ればいいと思う。「貧乏人は古米を食え」じゃないけど、JAの倉庫には13年前の収穫米が残っているとかいう報道を見たことがある。13年前は極端でもかなりの米の備蓄があるから減反させられたわけで;あれを全部、貧乏人で山分けして食べてしまえばいい。

>日本は良い国 働けなければお金をもらえる

日本はひどい国 働けない人は怠け者だ、穀潰しだと罵られる。特殊支援教育や、少数弱者の自立支援にかける金額が他国に比べて少ないのだから、少数弱者はいつまで経っても自立・自活できません。その代償として、生活保護費が大きくなるのは当然です。

どこの職場も、くだらない蹴落としあいと足の引っ張り合い、パワーゲームしか存在しないので、優しい上品な人は「働けません」。
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自営業ではツラい。 (野田一丁目。)
2009-09-14 20:40:19
>「社会保険負担は表面上、企業が負担しているようにみえても、実質の負担は社員」

そうは言っても自営業やアルバイトで苦労して絞り出した収入の中から毎月数万円の現金支出はツラい、と思いますよ。健康保険、厚生年金、住民税など天引きだから払うけど、納めに来い!と言われたらコンビニ払いでもイヤですね。(笑)
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問題は解りにくさ。 (山田祐太)
2009-09-14 22:55:15
この手の問題は一般の人には難しいです。
特に言い切られると、「ふーん、そうなんだ」って感じてしまう(もちろん僕もです。)

今更ながら、そう感じてしまうのは仕組みが複雑で解りにくいからです。

それに比べると、城さんが取り上げていたベーシックインカムは非常にわかりやすかったし、特に欠点もないような気もします。

厚生省の既得権は恐ろしい、自分たちの仕事がなくなるのがそんなに嫌なんだろうか、公務員だからクビになるはずないのに・・・。
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社会保障の幅 ()
2009-09-15 00:20:43
>特殊支援教育や、少数弱者の自立支援にかける金額が他国に比べて少ないのだから、少数弱者はいつまで経っても自立・自活できません。

「フルタイム正社員」という固定観念があまりにも強すぎるため、社会保障の幅が狭すぎるのは確かにそう。そういう意味では野党の職業訓練手当には期待している。
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社会保険の転嫁問題 (タンゴ)
2009-09-15 13:45:29
>企業側はあくまでもろもろのコスト込みで社員を雇うかどうか判断しているわけで、
つまりそれだけの働きは各労働者に「見えないノルマ」として課されているわけだ。
と考えると、結局は本人負担ということになる。

これは年金に対する典型的な誤解ではありませんか。

社会保険の企業負担分が100%従業員に転嫁されているのであれば、なぜ企業側は企業負担をいやがって税負担を主張するのか?

社会保険負担が従業員に転嫁されているという問題については↓を参照されるとよいかと。
要するに100%転嫁されるわけではない、ということですが。

http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/korunakare204.pdf
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払ってないやつは自己責任 (タンゴ)
2009-09-15 14:11:43
>払ってないやつは自己責任

こちらのほうも誤解だと思います。

まず未納者は必ずしも低所得者ではありません。例えば未納者のうち、年収311万円未満は40%しかおらず、他方1000万円以上が10%強を占めています。

未納者は低所得者とは限らない
http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/korunakare156.pdf

また、以前社保庁が保険料の免除手続きを代行しようとしたところ、「不正免除」扱いされてマスコミおよび民主党に非難されたりしてました。

大いに期待したい「民主党の年金偽装追及チーム」への参考資料をひとつ
http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/korunakare44.pdf


さらに、将来無年金者が増加した場合、彼らに対する生活保護の適用が非常に厳しくなる可能性があることが指摘されています。

ついでに言えば、仮に租税を年金にしたところで現在の無年金者は救われません。制度移行に40年程度必要とされるためです。

租税を財源にするということの意味と生活保護
http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/korunakare122.pdf
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年金問題全般 (タンゴ)
2009-09-15 14:22:16
年金問題につきましては、以上のものだけでなく、権丈先生のHPの「勿凝学問」が非常に参考になりますので、御一読をお勧めします。少し分量が多いですが、年金に対する一通りの疑問点に対する回答が得られます。

結局租税方式より保険方式のほうが制度の持続性として優れていますし、仮に租税方式に変更するとしても制度移行問題により変更は現実的ではないかと。

ちなみに権丈先生はどう考えても御用学者ではありませんよ。

http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/
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