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就活って何だ

2009-10-12 10:34:23 | 書評
就活って何だ―人事部長から学生へ (文春新書)
森 健
文藝春秋

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JR東日本から電通まで、大手15社の人事部長たちのインタビューが脈絡なく続く。
最後のあとがき的部分以外は、ほぼ全編そんな調子で、各社の比較も分析もまったく
入っていない。一見すると、すごく“不親切”な作りである。

が、これが結果的に、非常に中身を濃くしている。
人事部長たちは各社ではなく各人として、それぞれの就職活動へのスタンスを語る。
一次面接から最終面接までの流れや、評価ポイントなどはもちろん、就職とは
なんであるかという根源的なテーマに触れる人もいる。

当初は会社のパンフレット並みにチープな内容を危惧していたが、その点は杞憂
だった。これは恐らく、著者がある程度の分量のインタビューをした上で
会社を背負った部分をカットし、その他の点はできるだけ生のまま残したのだろう。
結果、生の就職活動観だけがうまい具合に残されている。
ふと、想田和弘監督のドキュメンタリーを見ているような気分になった。

採用活動というのは、とてもアナログな世界で、面接担当者の職人的な感性に依存
している。僕の知る限り、厳格な基準を作って、各担当者で共有しているような会社は
ない。結局、人を評価するということは、どこまでいってもアナログな世界なのだろう。
そういうアナログな空気を、本書は見事にとらえている。

本書の人事部長たちは好き勝手なことをしゃべっているが、
ほぼ全員が「マニュアル人間は評価しない」という点で一致している
のも興味深い。

こういう世界をデジタルで理解しようとするマニュアル本は、全体的に表層的であり、
必ずどこかにムリがあるものだ。

あえて難点を言えば、「上手くまとまりすぎている」点だろう。
どんな大企業でも、価値観の過渡期にあることは間違いない。そういうジリジリとした
焦りのようなものが、誰の言葉からも感じられない点はちょっと残念ではある。
本書一冊だけ読んでしまうと、「日本企業は順風満帆であり、日本型雇用は今後も安泰」
と勘違いしてしまう人もいるかもしれない。

ともあれ、これから大企業に入りたいという人なら、評価する側がなにを考えている
のか知っておいて損はないはず。本書はそのためにもっとも有益な一冊だ。


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18 コメント

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Unknown (めるめる500☆)
2009-10-12 11:03:25

>採用活動というのは、とてもアナログな世界で、面接担当者の職人的な感性に依存
>している。

新政権の雇用対策からウソ臭さが取れないのも、この辺にあると思います。
言っているのは「新産業」「構造転換」とかばっかりで、このあたりに突っ込
めていない。
ついでにいえば、派遣規制は明らかにマイナスですね。派遣は「期限」「技能」
「職種」「費用」を重視するデジタルな面が大きいと思いますが、規制に
よってデジタル重視の採用ルートが非常に狭くなってしまうんですから。

東京や愛知在住なら何度も面接に行くといっても交通費などたかが知れていますが、
地方の求職者へのマイナスは計り知れないでしょう。
雑感 (TS)
2009-10-12 11:10:27
>ほぼ全員が「マニュアル人間は評価しない」という点で一致している

城さんはこのブログで度々、体育会系的な従順マニュアル人間は今や評価されない旨述べられていますが、私の実感では180度逆で、今でもこの風土はますます根強いです。城さんは城さんの私には私のソースがあるのだと思うのでどちらが間違いだとは言えないですが。


「うちはマニュアル人間はいらない」と「うちは上の言うことを素直に聞くマニュアル人間が欲しい」とどちらが<聞こえがいいか>というと断然前者で、多くの企業が企業イメージを損なわないためにわざとウソをついていると私は思っています。
是非とも (コンドルとイーグル)
2009-10-12 11:42:29
採用する側が何を考えているかを知ることは就職のミスマッチを減らす上だ大変有効な手段だと思います。
後城先生の過去のブログで一橋大の齊藤誠先生について触れてありますが、どのような考えの方なのでしょうか。もし差し支えなければ教えていただけないでしょうか。以前週刊ダイヤモンドで齊藤先生のレポートを拝見して感動しました。
聞いた所 (kenji)
2009-10-12 13:13:07
今も昔の指定校制度があり、男女均等法とか何とかが出来て、仕方がないから、公平の募集しているだけである。格好だけである。当該本は読んでいないが、去る会社に二次面接間でいき、ソコで落ちた人が、その関連の会社へいき、その内容を聞いて、受けて馬鹿馬鹿しかったといたという。 
 ありもしない公平さをを棄てる事である。
会社は指定校制度を表に出せば其れでお仕舞い。
体育会系マニュアル人間 (ドン)
2009-10-12 15:47:12
実は伝統的日本企業や官庁はこのタイプが大好きでいまだにその傾向は全くかわってないですね。社会人になればわかりますが、就活の面接や説明会ではなぜか個性が大事と言われますが入ってみれば従順で体力があり社畜となるような人間が求められるのが現実です。

マニュアル (sakyo)
2009-10-12 21:27:09
マニュアル人間はいらないと言っても、実際に配属される現場の意見はまた異なるかもしれません。またマニュアルにも”上司の判断が間違っていても、それを指摘してはいけない”などとは書かれていないでしょうし。
振り返ってみれば (山田祐太)
2009-10-12 23:05:31
僕は2002年卒で就職氷河期を経験しました。
あの頃は、自己分析がキーワードで何かと自分の過去と企業とを感動的なエピソードで結び付ける、のが好まれていた気がします(私見)。

ただ、やはり面接官の裁量によるところが大きくて、向こうが興味を持たなければお終いなんですよね。
面接で落とす=あなたとは一緒に働きたくない、と言われたようで書類で落とされるより凹みましたね。。

性格診断でよく使われるSPIXなどはどれぐらい参考にしてるんでしょうか。客観と主観のバランスを教えてほしいものです。
面接試験に残れる時点で (KPC)
2009-10-13 02:25:19
>>TS
そりゃ、大手の面接試験に残れる人は「履歴書がきれいな新卒学生」という、生まれてずっと進学というマニュアルに唯々諾々と従って来た人ばかりだもん。
そして、「マニュアル人間を採用しない」というのも人事のマニュアル。
マニュアル (城)
2009-10-13 10:04:10
企業の上のほうではマニュアル型じゃダメだということは理解しているが、現場が追いついていない。なので、苦労して採ってきた自立型が3年で辞めるわけだ。結局、年功序列の単線型人事制度を壊さない限り、この矛盾は消えないだろう。

>一橋大の齊藤誠先生について

いたって普通のマクロ経済学の先生だと思う。ただ、他の先生方と違ってかなり行動的で、「教授の定年延長は若手の芽を摘むから反対」などと主張されている。
思い出してみると (バーナムJr)
2009-10-13 11:56:56
大学時代の就活を思い出すと(2002年卒業)
所謂、難関企業と呼ばれているところに内定を
貰ったり、一人で何社も内定を貰っている人は
常に明るく学生生活を楽しんでいていつもリーダー役の人が殆んどだったです。
逆に中々内定が貰えない人はいつも人の後ろにくっついて何となく仲間内に居るような人や真面目に授業を
出ているのだけど普段は何をやっているのかよく分からないような人が多かったです。自分から見てあまり
友達になりたくない人ですね。
私の仲の良かった友人でその人は高校中退して大検で
20歳(2浪扱い)の時に大学に入学して就職にはハンデだらけなのに旧財閥系総合商社に内定を貰いましたがその友人はいつもリーダー役で積極的に色々な人と飲み会をセッティングしたり
サークルやゼミで活躍していました。文系就職の場合は大学生活を楽しむことが一番の就職へのアピールだと思います。学歴だけが生きがいの人は就職は難しいと思います。(東大や一橋大の学生になるとその辺の事情は私大よりは変わると思いますが)
理系になると成績が物を言うので地味で目立たく真面目だけが取りえの学生でも就職は報われますので就活は大学受験の延長にあるでしょうね

Unknown (山田宏哉)
2009-10-13 15:50:01
>>文系就職の場合は大学生活を楽しむことが一番の就職へのアピールだと思います。
労働市場と教育が断絶しているのを無理やりつぎはぎしているような現在の状況やレジャーランド化している大学の状況をむしろ正当化するような言説には違和感を覚えますね。まあ真面目なこと言うと「なんだよ詰まんねえな」となる性質が文章から見受けられますので、あんまり言いたくないですが。
バーナムさん (ひろや)
2009-10-13 15:53:42

>学歴だけが生きがいの人は就職は難しいと思います

いよいよ本格的な学歴社会が到来しようとしています。世界水準の考え方では、学歴はその人を査定する上での重要な要素のひとつです。

 インド人や中国人の若者たちが、どれだけ一流大学卒の称号を評価しているかを見れば、「学歴なんか関係ない」などという寝言が出てくるはずがありません。

 これまでの日本は、イメージとは逆に"学歴社会"ではありませんでした。学歴は名誉や虚栄心を満たす対象としてのみ、価値がありました。

 確かに研究者の世界では学歴が決定的に大切でしたが、実社会に出ればむしろ「学歴なんか、関係ない」という考え方が主流でした。

 だから学歴が低くても、工場で勤勉に働いて、酒の席で盛り上がっていれば、人並みの生活を手にすることができました。

 中卒で丁稚奉公を始めた泥臭い中小企業の社長が、「世の中、学歴なんて関係ありまへんで」と言えば、確かに説得力があります。

 もちろん僕は、「学歴さえあれば生きている」と言っているわけではありません。そうではなく、世界水準の競争では、日本の三流大学卒では、もうそれだけで著しく値踏みされるということです。

 僕の観察でも、学歴と知的能力には相関関係があります。

 そして、学歴は信用に直結します。既に現在の日本社会でも、コンサルタントや弁護士のような知的人気商売(学者や評論家を含む)は、高学歴者でないとそれだけでハンディを抱えるのは公然の事実です。

 失礼ながら、何が悲しくて日東駒専の卒業生に経営手法や社会問題の相談をしなければならないのか、という話です。

 多くの人は、本音ではそう思っているにもかかわらず、日本社会の文脈の中では、あまりこういうことは言ってはいけないことになっています。

 しかし、グローバル競争の中では、こういう「日本的な慎み深さ」が吹き飛んで、学歴に関しても、オープンな査定対象になることでしょう。

 世界水準では、「君は、スタンフォード大のマスターか。なら、地頭はよさそうだな」とか「インド工科大学の成績上位10%以内なら、初年度の年俸1000万円でどうだろうか」といった査定合戦が当たり前です。

 ところが日本では未だに、「一流大学卒は仕事では使えない」などという、全く世界から取り残された"常識"がはびこっています。嫉妬と劣等感にまみれて、思考が曇っているのでしょう。

 三流大学卒は、それだけで知的能力を疑われ、敗者のレッテルを貼られるというシビアな競争を前に、一体、何を寝ぼけたことを言っているのか。

 ほとんどの日本の大学の入学式では、こう伝えるのが本当の思いやりでしょう。

 「君たちは、受験戦争で決定的に敗北した。今日から学歴コンプレックスをバネに死ぬ気で努力しない限り、貧民として社会の底辺を這いずり回ることになるだろう」と。

   追記. 休日ということもあり、ついつい"大きな話"をしてしまいました。
レス (???)
2009-10-13 20:33:38
>>文系就職の場合は大学生活を楽しむことが一番の就職へのアピールだと思います。

こんなおめでたい時代はもう10年以上前に終わっています。就職氷河期でもがき苦しんだ人間からすればふざけるな!という感じでしょうね。大学をレジャー施設と勘違いしている人間はこれから次々と淘汰されていくでしょう。
Unknown (curiouser)
2009-10-13 22:58:18
個人的な経験では、経営者は概ねマニュアル人間は要らないと言っているのに大して、中間管理職はイエスマンしか評価しません。「昭和的価値観」を疑う人は干されてしまいます。

>ひろやさん
あなたも言うように、学歴は「重要な要素のひとつ」なのですから、後半の結論は過激すぎます。確かに私も学歴が低い相手にはマイナスな先入観を持ちますが、実は話してみると非常に知的能力が高かったなんてケースはよくあります。数年間の受験勉強をしたかどうかが全てではないでしょう。

あと、知的能力(おもに論理的思考能力)ばかりが大切と考えるのは視野が狭いと思います。はっきり言って頭は悪かったとしても、実は小説を書かせると上手だとか、料理が非常に上手いとか、他の能力もあるでしょう。こういう能力がお金に結びつくかは知りませんよ。でも、別に皆がコンサルを目指している訳じゃないし、学歴社会だとか騒いで、三流大学卒の尻を叩く必要は無いでしょう。そんな入学式の言葉は「思いやり」ではなく、「余計なお世話」です。
もうちょっと微妙 (ぽょぽょ)
2009-10-14 11:59:08
上司が評価する部下は、「本質的な批判はせず、細かい部分で意見をいう人材」です。経営方針や仕事の進め方自体には何も言わないけれども、書類のミスのチェックのような細かいところにはよく気づく部下が「優秀」なのです。
なので、日本を覆う雇用問題全体を覆う本質的問題を扱おうとすると、会社から出るしかないわけです。

>「昭和的価値観」を疑う人は干されてしまいます。

ちなみに、城プランで雇用が流動化すると、こういう本質的な疑いをする人は、いままでは「干される」程度でよかったのですが、まっさきに整理解雇されてしまいます。労働問題で裁判に打って出る人たちには、実はこういうタイプの人がかなり多い。その結果、時代の転換期にかえって企業が本質的な改革をすることは難しくなるかもしれないのですね。日本のいまの人事制度のもとで城プランを推し進めると、実はまっさきにクビをきられるのは城さんであるということなのかも? 一人で生きていく能力があればいいですが、人間みんなそうはいかないんですよね、これが。

>知的能力(おもに論理的思考能力)ばかりが
>大切と考えるのは視野が狭いと思います。
>はっきり言って頭は悪かったとしても、実は
>小説を書かせると上手だとか、料理が非常に
>上手いとか、他の能力もあるでしょう。

こういう人は大学にくるべきなのかどうなのか、疑わしいところがありますよね。
優秀な料理人について修行をしたほうがいいと思われます。そういう生き方を認めなければいけません。
ただし、大学に来ちゃった以上、「知的能力」で値踏みされる運命にあることは間違いありません。もちろん低偏差値大学でも頭のいいやつはいないわけではありませんが、高偏差値大学と比べると頻度は極端に下がりますし、土着の知恵であって、東大や慶応の優秀な人たちのようなキレではないと思います。どっちがいいというわけではありませんが、それを踏まえて教育なり人生設計なりをする必要があります。
>レス (???) (JIDEN)
2009-10-14 13:09:28
>>文系就職の場合は大学生活を楽しむことが一番の就職へのアピールだと思います。

あながち間違いではないかもしれませんよ。

バーナムさんの知り合いの方の例のように、大学生活を”本気”で楽しむためには、リーダー役・まとめ役をやったり、ベンチャー精神で前例のないものにトライしていったりという姿勢は必要です。(大学自体は学生にあまり楽しみの場も与えないですし。)


誰かが用意してくれた既存の飲み会やサークルという「レール」の上を参加したり、淡々と教授のカリキュラムをこなして「楽しんでいる」「がんばっている」と思っている人が一番新卒の就職活動ではイタイのではないでしょうか?


ただ学生時代にレールを敷く立場を楽しんだ人が、就職活動を経て日本企業のレールの上に乗っていくのはもったいない気はします。
違和感(採用担当者と現場のギャップ) (がけっぷち)
2009-10-15 00:12:47
よく雑誌とかで、採用担当者のインタビュー記事があり、城さんが言われるように、マニュアル人間はダメ、自分の頭で考えて行動する人が欲しいといったことが良く書かれていると思います。

自分の勤務先のことを考えてみると、人事担当者はそのような事を言うかもしれませんが、配属先の現場は、上司や先輩の言うことを良く聞いて、都合よく動いてくれる人(下働きしてくれる人)が欲しい、ぐらいにしか考えていないような気がするんですよね。他の職場のことは私にはわかりませんが・・・。

会社にとって必要な人材像(採用担当者側)と、そんな人材がきたって活かす仕組みを持っていない現場、この両者には大きなギャップがあるように思います。
Unknown (べろりんまん)
2009-10-28 21:38:02
学歴が能力を保証するなら、日立や富士通の凋落は説明できないのでは?
論理的な思考力を重視するのも大事なことですが、例えば営業職のように、論理的思考能力だけでなく、良い対人関係を作り出す能力や人当りの良さなども必要とされる職種もあると思います。
もちろん学歴と知的能力は一定の関係があるでしょう(個人的には、学歴の高さと知的好奇心の高さは比例すると感じています。)。
ただ、世界にはスティーブ・ジョブズやリチャード・ブランソンなど、一流大に入ったことがない人でも成功した例があるということを忘れてはいけないと思います。(もちろん上記の2人は極端な例ですが、より小さい成功に限定すれば、かなり多くの非一流大学卒業者が該当するでしょう)。
個人的には、学歴を、能力を測る唯一絶対の指標とすることには疑問を感じます(だからどこの国でも採用の際に面接をするのだと思いますが)。

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