い~すと の 愚痴

ある鉄道会社で車掌をしている"い~すと"が語る愚痴

計画運休時の出勤

2019年11月01日 17時30分34秒 | 鉄道員の愚痴
関東で広く計画運休が実施された台風19号のとき、私はどうしたのかをお話しします。

台風19号では15号に続いて関東の鉄道各社は計画運休を実施しました。15号の反省を踏まえ48時間前に実施の可能性を、24時間前には具体的な計画が発表されました。
会社や路線により差はありますが、10月12日(土)の日中から10月13日(日)の午前中まで、最大で24時間程度運転を取り止めるという内容でした。

私は12日は休みで、13日9時台の出勤で、計画運休時間帯ですから出勤できそうにありません。
計画運休であっても自宅待機や休みという指示はなく、出勤しなくてはなりません。12日の計画運休が始まる前に職場に向かい前泊するしかありません。
(世間の傾向からはズレていますが業種柄仕方ありません)

12日は午前中に家を出ると雨も風も運転見合わせの規制値を超えるほどではありません。台風が近付いていることがわかる生暖かい嫌なものでした。
乗車した列車はガラガラで1両に数人しか居ません。三連休ということや計画運休が広く周知され、外出せず自宅でじっとしている人が多い証です。そんななか私は出勤しました。

職場に着いたのはちょうど12時でした。21時間前に出勤したことになります。
計画運休に向けて職場はバタバタしています。今日の出番者は泊まる場所に送り込まなくてはなりませんし、私のように前泊の社員の寝床の確保も必要です。仕事が終わったのに自宅まで路線が計画運休に入り帰宅できない社員もいます。

職場に着いたものの出勤時刻までは何もすることはありませんが職場に居るほかありません。
飲食店はもちろんコンビニも閉店しており食料の確保が問題でした。12日の昼と夜、13日朝の3食分が必要です。手元にあるのはカロリーメイト3つのみ。さあ、どうしましょう。

そこにどこからか職場から少し離れたコンビニが1店が開いていると情報が入りました。早速買いに行くも弁当、おにぎり、パンの類はありません。カップのみそ汁、お菓子、缶詰め、中華まんを買い込みました。喉が乾くカロリーメイトだけよりは十分マシです。
職場に戻り、休憩用に開放されている会議室でお菓子パーティーの始まりです。乗務での出来事やプライベートのことなど、時間を気にすることなく話しました。大先輩の昔のエピソードはなかなか聞く機会がありませんから興味津々です。

夕方になり、テレビのあるところにいきました。しっかり見るのはこの日職場に着いてからははじめてです。都心でも雨風が酷くなり暴風域に入りつつあることがわかります。
明日、どの列車から動き出すのかはっきりはしませんが、運転再開後の乗務員のやりくりの調整が始まっていました。

夕食はなんとか購入できた缶詰めとみそ汁です。質素ではありますが、たまには悪くないと思って食べました。
さまざまな資料を見返したり整理していたら22時すぎ。そろそろお風呂に入ることにしました。電車は止まり、お店は閉まっていますが、電気・ガス・水道は問題なく使えますから不自由はありません。
お風呂での会話も「明日はいつから動くのだろうか?いつ帰れるのか?」というものばかり。台風通過後の安全確認によるので私たちもはっきりしたことはわかりません。

翌朝、起きると各地で河川の氾濫、決壊、浸水といった悲惨な情報が溢れています。
自分の仕事はどうなるのか不安ながら出勤します。「運転再開初列車を担当」とのこと。動き出すようです。

準備を済ませてホームに行くとお客さまはまばら。やはり休みとあって運転再開にお客さまが殺到することはなかったようです。
いつもより空いている列車です。事前に線路内の安全確認列車を回送で走らせているので通常通り走って大丈夫とのこと。なんだか不思議な感覚です。

13日は大きな混乱はなく、仕事終わりは30分遅れで済みました。
そのまままっすぐ帰宅してゆっくり休みました。21時間前に出勤し、なにもすることなくただ過ごすことも身体は疲れていたようです。

計画運休はまだまだ改善点はありますが、今後も台風のときは積極的に実施していくと思います。
21時間前出勤はしたくありませんが、またある可能性はあります。

同業のみなさまも各々大変な思いをされたことでしょう。
いまだ復旧の目処が立てられない路線がありますから平常運転ができるのはありがたいことですね。