iPhoneの一押し地図アプリが登場

　iPhoneにはGoogleMapsをベースにしたすばらしい地図アプリが付いていることはよく知られている。私も、この地図アプリの使いやすさにはいつも感動している。

　さて、このほどヤフーから「Y!地図」というiPhoneアプリがリリースされた。しかも無料。早速ダウンロードして使ってみて一言「これが欲しかったんだ」と。
　提供されている機能は、iPhone標準添付の地図アプリとさほど差がないが、何が良いかというと、地図が良い。まず美しい。そして新しい。

　もちろんGPSで現在位置を表示してくれる

　GoogleMapsの地図も十分なクオリティを持っているのだが、アメリカ譲りの？大味さが災いして、今ひとつ地図のデザインが野暮ったい。しかも、データは2年くらい古い箇所が随所にあり、そういう意味で気合いが足りない。もっとも彼らは地図会社じゃないから仕方ないんだけど。

　その点、Y!の方は地図会社をひょんなことから買ってしまったので、やっぱり地図屋の血が流れているのをちょこっと感じる。やはり私が好きなのはこのデザイン。色づかいもそうだが、様々なフォントを採用し、多彩な線号と線表記を駆使して、平面でありながらメリハリをきかせて視覚的な立体感を出すのに成功している。

　この表現は実は1980年代に（旧）アルプス社で考案されたものが原型になっており、20年以上経た現在でも、古びた感じはほとんど感じられない。それどころか、90年代以降の昭文社の色づかいのお手本になり、2年ほど前からはGoogleMapsの地図でも部分的に採用されている。

　古い話になるが、私は子供の頃からアルプス社の地図が好きだった。偶然学生時代にアルバイト先として友人から紹介されて仕事を手伝うようになって、私はさらにその会社が好きになった。地図に詳細な情報を入れ込んでいく熱心な編集陣にも感心したが、色彩、フォント、線表記を魔法のように組み合わせる"地図デザイン”の世界に魅了された。そして、当時名古屋でしか営業していなかったこの会社を全国ブランドにしようと決意した。その決意は、MAGNET→アトラスRD→アトラスRD for Windows→プロアトラスと、その後15年近くの私の人生の柱となった。

　愛着のあるその地図が、宝物のiPhoneでサクサクと見られるのだ。夢想で終わったが「どこでもプロアトラス」が、今ここに実現した。本当に嬉しい。