公園から戻ると、玄関にひまわりが仁王立ちしていた。
「ひどい!」
かなりご立腹の様子だ。
「え?なんで怒ってるの?」
聖君が聞いた。いや、理由は明らかだよ。聖君が知らない間に消えちゃったから。
「どこ行ってたの?」
まだ、ひまわりの顔は怒っている。
「そこの公園だけど?」
聖君はそう言いながら、媚薬リビングのソファーに座った。
「私も誘ってくれたら良かったのに」
ひまわりが後ろから、ついていきながらそう言った。
「だって、ひまわりちゃん、まだ朝ごはんも食べていなかったし」
「そんなのあとでもいいもん」
「でも、いきなり庭にいたら、行きたくなっちゃっただけだから。それにすぐに、戻ってきたじゃん」
「一言、言ってくれてもいいじゃん!」
ひまわりはまだ、怒っている。
「ひまわり、あんたね」
母がさすがにその様子を聞き、客間から顔を出した。だが、聖君が、
「あ、エステのお客さん来るんですか?準備進めてていいですよ」
と、客間に母を追い返してしまった。
ひまわりはそれを見て、ちょっと嬉しそうな顔をした。だが、聖君は、ひまわりをかばったわけでもなければ、助けてあげたわけでもなかった。
「ひまわりちゃん、ちょっといい?」
そう言うと、ひまわりを自分の前のソファーに座らせ、聖君はひまわりには、いつも見せないような真剣な表情をした。
「な、何?」
さすがのひまわりも、これはいつもの聖君と違うと悟ったらしい。表情が固まった。
「ひまわりちゃんは、もう俺の妹だからって思ってるからこそ、きちんと言うよ?」
「え?うん」
ひまわりは、さらに顔をこわばらせた。それだけ、聖君からは、いつもと違オーラが漂っている。
「俺、ひまわりちゃんも大事に思ってるけど、でも、桃子ちゃんが1番なんだ」
聖君は、まっすぐにひまわりのことを見て、そう言った。そして、
「だってさ、俺、桃子ちゃんと結婚したんだ。これから、赤ちゃんも生まれる。その子も含めて俺は、守っていかないとならないんだ」
と、すごく落ち着いた声で話した。
「う、うん」
ひまわりも、顔が真剣になってきていた。
「ひまわりちゃんだって、彼氏いるよね?」
「うん」
「もし、何かを一緒にしたいんであれば、彼氏にお願いしたらいい。優先順位なんかをつけて悪いとも思うけどさ、でも…」
聖君は一瞬黙った。ひまわりが泣きそうになったからだ。
「私、邪魔だった?」
「え?」
「聖君、迷惑してた?」
「……」