世界も日本も大きな曲がり角に来ているようです。
◆トランプ政権の動向をめぐって印象に残った情報
<東京新聞11月30日 日本の岐路欄 11月をつづる 政治部長金井辰樹>
・手元に一つの文書がある。アーミテージ第三次報告書だ。
・内容は、「日本が一流国家であり続けるたいのか、二流国家で満足するのか」という刺激的表現とともに、広範なテーマについて提言している。
・集団的自衛権について「禁止は日米同盟の障害だ」と行使できるよう要望。
・環太平洋連携協定(TPP)への早期参加も求めている。
・「原子力は日本の包括的な安全保障に不可欠な要素」と暗に原発再稼働を促す。
・アーミテージ氏らが安保、経済、エネルギー分野で求めた政策の多くは、安倍政権のもとで実行されたか、実行途上にある。
・この報告書は、事実上同盟の設計図の役割を果たしてきた。
・その前提が覆った。トランプ氏の描く日米関係は、報告書とはかなり違う。オバマ大統領が主導したTPPについて、大統領就任初日にも離脱すると明言している。
・日米同盟関係についてもゼロベースで見直すという。もはや報告書は「トランプの米国」と日本をつなぐ設計図にはなりえない。
・トランプ氏の登場で世界も激変する。
<所感>
・良くも悪くも安倍政権の政策や行動が第三次アーミテージ報告の内容にそっくりなことは、この数年間の体験で十分わかりました。もやもやしますが重い現実です。
・それほど重要な報告書が、トランプの米国と日本をつなぐ設計図の役割を終えるわけです。これからしばらくの間安倍政権は従来の惰性で動くでしょうが、トランプ政権の具体的政策が実行されるようになれば、大きく変化するでしょう。
・マッカーサーがトルーマンに解任されて羽田を飛び去ったときを思い出しました。
◆天皇陛下生前退位の有識者会議をめぐって印象に残った情報
<東京新聞11月25日「有識者会議第2回意見聴取の議事録要旨から>
▼渡部昇一(上智大学名誉教授)意見陳述
・明治に憲法ができたとき、・・・皇室に危険が生じるあるいは思わしくないことが生じたのは常に天皇が生前譲位した時だという結果になった。決して簡単に変えてはいけない。
・今典範を変えるといったら何年かかるか分からないし。今お休みになりたい陛下のお心に沿わない。典範通りに、陛下は年号も変えずに宮中でお祈りし、皇太子殿下が摂政になるのがいちばんいい。
・終戦後、昭和天皇は絶対に譲位するとは言わなかった。戦前も戦中も戦後も天皇が変わらなかったことは日本の統一に大きな傷はつかなかったということになり、日本の自信の元になっている。
・国民のため、国家のため、お祈りさえしてくだされば、それは天皇の一番のお仕事だ。
・「質疑」
ー世論調査では大多数が生前退位を支持している。
-国民が陛下を早く休ませたい気持ちだと思う。いかなる重大な結果をもたらすかは、普通 の国民は考えが及ばない。
-かえって陛下のご尊厳をきずつけないか
ー国民のため、国家のため、お祈りさえしてくだされば、それは天皇の一番中心のお仕事だ。
<毎日新聞11月21日社説「摂政論には無理がある」から>
・有識者会議で専門家からのヒアリングが続いている。対象16人のうち11人の意見を聞き終えたが退位への賛否は割れている。
・容認する5人の専門家は、陛下の心情を尊重し退位を支持する多くの国民世論を反映し、高齢化社会の中で人道的な配慮の必要性を訴えている。
・反対・慎重意見の6人の専門家は陛下の気持ちに配慮しつつ現行制度の枠内で対応できるという立場だ。全員が解決策として提示したのが摂政などを置くことである。
・摂政論の背景には、天皇の在り方を「象徴」と位置づける現行憲法ではなく、「神聖不可侵」の存在とする明治憲法やそれ以前の天皇像に回帰させようという考えがうかがえる。
・陛下は「象徴」の在り方として、「常に国民と共にある自覚を持ち、国民に分け入って被災地訪問や戦跡慰霊の旅を続けてきた。そうした天皇に国民は敬意を抱いてきた。
・陛下は、天皇の形式化を招きかねず、「象徴」としての役割を果たせないという懸念から、摂政を置いて活動を代行してもらうことには否定的な考えを示唆している。
・天皇は皇居の奥に引き下がり、高齢化に伴う限界は摂政を置いて切り抜けようというのは、陛下が積み上げ、国民が支持する象徴像を否定することにつながりかねない。
・むしろ摂政を置く期間が長引けば、「象徴の二重性」おきるといった指摘もある。摂政制度はあくまで緊急時に起動するシステムだ。
<所感>
・摂政論の代表的人物である渡辺名誉教授の意見を拝見し、「戦前も戦中も戦後も天皇が変わらなかったことは日本の統一に大きな傷はつかなかったということになり、日本の自信の元になっているとの論述を読み、その見解に反論したくなりました。
・私の見解は、日本の統一に大きな傷がつかなかった理由は、日本史上初めての外国との戦争で全面的に敗北した戦後に、昭和天皇と今上陛下が画期的な行動変化を実践されたからだと考えます。
・昭和天皇は人間宣言や全国行幸を行って、神格がなくても国民の敬愛をはぐくまれ、その姿を引き継いだ今上天皇は国事行為(首相、最高裁判所長官の任命、法律や政令、条約の公布、国会の召集、衆議院の解散、大臣ら認証官の任免の認証、恩赦の認証、栄転の授与、儀式をおこなうこと)のみならず、公的行為を積極的に実践されてこられました。
・公的行為とは駐日外国大使との面会、認証官任命式、春・秋の園遊会、外国訪問、国会開会式への出席、国体や植樹祭への出席、被災地訪問、戦没者慰霊です。
・この公的行為こそ、戦後の時代に天皇制を存続せしめた原動力だと考えるので、摂政論に反対します。
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