isorokuのこころの旅路

遊行期に生きる者のこころの旅路の記録です

 トランプ次政権の動向(4)と生前退位有識者会議の内容

2016-11-30 14:23:28 | Weblog

世界も日本も大きな曲がり角に来ているようです。

◆トランプ政権の動向をめぐって印象に残った情報

<東京新聞11月30日 日本の岐路欄 11月をつづる  政治部長金井辰樹>

・手元に一つの文書がある。アーミテージ第三次報告書だ。

・内容は、「日本が一流国家であり続けるたいのか、二流国家で満足するのか」という刺激的表現とともに、広範なテーマについて提言している。

・集団的自衛権について「禁止は日米同盟の障害だ」と行使できるよう要望。

・環太平洋連携協定(TPP)への早期参加も求めている。

・「原子力は日本の包括的な安全保障に不可欠な要素」と暗に原発再稼働を促す。

・アーミテージ氏らが安保、経済、エネルギー分野で求めた政策の多くは、安倍政権のもとで実行されたか、実行途上にある。

・この報告書は、事実上同盟の設計図の役割を果たしてきた。

・その前提が覆った。トランプ氏の描く日米関係は、報告書とはかなり違う。オバマ大統領が主導したTPPについて、大統領就任初日にも離脱すると明言している。

・日米同盟関係についてもゼロベースで見直すという。もはや報告書は「トランプの米国」と日本をつなぐ設計図にはなりえない。

・トランプ氏の登場で世界も激変する。

<所感>

・良くも悪くも安倍政権の政策や行動が第三次アーミテージ報告の内容にそっくりなことは、この数年間の体験で十分わかりました。もやもやしますが重い現実です。

・それほど重要な報告書が、トランプの米国と日本をつなぐ設計図の役割を終えるわけです。これからしばらくの間安倍政権は従来の惰性で動くでしょうが、トランプ政権の具体的政策が実行されるようになれば、大きく変化するでしょう。

・マッカーサーがトルーマンに解任されて羽田を飛び去ったときを思い出しました。

 

◆天皇陛下生前退位の有識者会議をめぐって印象に残った情報

<東京新聞11月25日「有識者会議第2回意見聴取の議事録要旨から>

 ▼渡部昇一(上智大学名誉教授)意見陳述

・明治に憲法ができたとき、・・・皇室に危険が生じるあるいは思わしくないことが生じたのは常に天皇が生前譲位した時だという結果になった。決して簡単に変えてはいけない。

・今典範を変えるといったら何年かかるか分からないし。今お休みになりたい陛下のお心に沿わない。典範通りに、陛下は年号も変えずに宮中でお祈りし、皇太子殿下が摂政になるのがいちばんいい。

・終戦後、昭和天皇は絶対に譲位するとは言わなかった。戦前も戦中も戦後も天皇が変わらなかったことは日本の統一に大きな傷はつかなかったということになり、日本の自信の元になっている。

・国民のため、国家のため、お祈りさえしてくだされば、それは天皇の一番のお仕事だ。

・「質疑」 

  ー世論調査では大多数が生前退位を支持している。

  -国民が陛下を早く休ませたい気持ちだと思う。いかなる重大な結果をもたらすかは、普通        の国民は考えが及ばない。 

  -かえって陛下のご尊厳をきずつけないか

  ー国民のため、国家のため、お祈りさえしてくだされば、それは天皇の一番中心のお仕事だ。

 

 <毎日新聞11月21日社説「摂政論には無理がある」から>

 ・有識者会議で専門家からのヒアリングが続いている。対象16人のうち11人の意見を聞き終えたが退位への賛否は割れている。

・容認する5人の専門家は、陛下の心情を尊重し退位を支持する多くの国民世論を反映し、高齢化社会の中で人道的な配慮の必要性を訴えている。

・反対・慎重意見の6人の専門家は陛下の気持ちに配慮しつつ現行制度の枠内で対応できるという立場だ。全員が解決策として提示したのが摂政などを置くことである。

・摂政論の背景には、天皇の在り方を「象徴」と位置づける現行憲法ではなく、「神聖不可侵」の存在とする明治憲法やそれ以前の天皇像に回帰させようという考えがうかがえる。

・陛下は「象徴」の在り方として、「常に国民と共にある自覚を持ち、国民に分け入って被災地訪問や戦跡慰霊の旅を続けてきた。そうした天皇に国民は敬意を抱いてきた。

・陛下は、天皇の形式化を招きかねず、「象徴」としての役割を果たせないという懸念から、摂政を置いて活動を代行してもらうことには否定的な考えを示唆している。

・天皇は皇居の奥に引き下がり、高齢化に伴う限界は摂政を置いて切り抜けようというのは、陛下が積み上げ、国民が支持する象徴像を否定することにつながりかねない。

・むしろ摂政を置く期間が長引けば、「象徴の二重性」おきるといった指摘もある。摂政制度はあくまで緊急時に起動するシステムだ。

 

<所感>

・摂政論の代表的人物である渡辺名誉教授の意見を拝見し、「戦前も戦中も戦後も天皇が変わらなかったことは日本の統一に大きな傷はつかなかったということになり、日本の自信の元になっているとの論述を読み、その見解に反論したくなりました。

・私の見解は、日本の統一に大きな傷がつかなかった理由は、日本史上初めての外国との戦争で全面的に敗北した戦後に、昭和天皇と今上陛下が画期的な行動変化を実践されたからだと考えます。

・昭和天皇は人間宣言や全国行幸を行って、神格がなくても国民の敬愛をはぐくまれ、その姿を引き継いだ今上天皇は国事行為(首相、最高裁判所長官の任命、法律や政令、条約の公布、国会の召集、衆議院の解散、大臣ら認証官の任免の認証、恩赦の認証、栄転の授与、儀式をおこなうこと)のみならず、公的行為を積極的に実践されてこられました。

・公的行為とは駐日外国大使との面会、認証官任命式、春・秋の園遊会、外国訪問、国会開会式への出席、国体や植樹祭への出席、被災地訪問、戦没者慰霊です。

・この公的行為こそ、戦後の時代に天皇制を存続せしめた原動力だと考えるので、摂政論に反対します。

 

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トランプ政権の動向についての情報収集(3)

2016-11-17 20:40:31 | Weblog

トランプ大統領選出の背景を知るためには、現地に派遣された新聞記者の目によるレポートは情報として確認しておく必要があると思います。印象に残った毎日新聞「記者の目」記事のポイントを引用しておきます。

◆11月16日北米総局西田進一郎

・米国には、▽増加する移民や非白人に対する白人の焦り▽経済のグローバル化の波にのまれた労働者の不満▽与野党対立で動かない政治へのいら立ち▽人種や宗教などで差別を助長しない表現「ポリティカルコレクトネス」を重視する反発__が漂う。

・トランプ氏がツイッターで火を付けると、支持者らの差別的感情むき出しの投稿がツイッターにあふれた。象徴的だったのは、昨年12月のトランプ氏による「イスラム教徒の入国禁止」発言だ。信教の自由にかかわるだけに国内外から非難が殺到した。しかし、直後のネバダ州で開かれた集会で、支持者はことごとく「トランプ氏は正直だ」「我々の思っていることを言ってくれる」とまくしたてた。

◆11月17日ニューヨーク支局国枝すみれ

・選挙戦中、中西部のオハイオ州や南部のケンタッキー州の小さな町を取材して驚いた。職がなくなり、過疎化し、貧困と麻薬中毒が拡大していた。白人中間層の生活は事実上崩壊していた。

・炭鉱閉山が続くケンタッキー州東部マーティン郡は崩れかけた空き家が目立つ。・・・マーティン郡は企業を呼び込もうと飛行場近くに「産業パーク」を用意したが半分も埋まらない。誘致できたのは連邦刑務所くらいだ。同郡では、有権者の80%がトランプ氏に投票した。

・オハイオ州の田舎町アシュランドで、弁護士のロバート・デサントさんが言った「誰もが起業家や金融界で働けたりするわけじゃない。まじめに一生懸命働けば家を買って子どもを大学にやれる、少なくともそういうことができる職が必要なんだ」

・かって高卒で就職できた炭鉱や製鉄工場など、時給30ドル(約3200円)の職は消滅しつつある。残った仕事はコンビニや飲食店などに限られる。時給は10ドル程度だ。

・私は全米50州の大半を訪れたことがあるが、中西部や南部の田舎ほど心温まる場所はない。貧しいのに、ニューヨークのようにホームレスをみたことがない。

・格差拡大を放置し、彼らを「トランプ氏」という選択肢に追い込んだ二大政党の無策に怒りを感じる。

<所感>

・私も何回かアメリカ各地を訪問しましたが、オハイオ州のコロンバスでの人情の温かさに感激した経験があります。あのオハイオ州がこうした荒野になりつつあるのかと悲しくなりました。

・格差拡大を放置し、産業構造の変化で没落するたくさんの中間層(以前の輝けるアメリカを支えていた層)に対するアメリカ指導層の無策が、トランプ大統領を生んだ背景なんだと思います。

・自由の国アメリカで、ワイマール共和国のドイツからヒトラードイツが発生したような歴史が再現するとは夢にも思いたくありませんが、楽観してはいけませんね。

 ・格差拡大を放置し、没落する中間層に対する二大政党の無策の背景を究明する必要があります。

・しかし、そもそも格差拡大の原因を考えると、経済的要因としてのグローバリゼーションと経済思想的要因としての新自由主義思想の影響が大きいと思います。

・さらに、アイゼンハワー元大統領が退任時に警告した軍産複合体や、ウオール街の金融システム(一部で強欲資本主義と言われる性質)の存在があります。

・こうした岩盤のような政治・経済・経済思想構造を考えると、二大政党の無策の背景がなんとなく感じられます。

・トランプ政権がこうした背景に対してどのように対処していくのか、予断を許さず観察していきたいと思います。

 

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トランプ政権の動向についての情報収集(2)

2016-11-14 20:34:56 | Weblog

インターネット検索で面白い記事を発見しました。「Nikkei225オプション日記より」の記事から引用します。

トランプ勝利を予想した日本のベスト&ブライテスト

◆ヒラリー優勢に懐疑的だった冷静な知性たち

◆ヒラリー優勢っぽいスタンスだった残念な方々

  • 長谷川幸洋(ジャーナリスト)
  • 末延吉正(ジャーナリスト)
  • 須田慎一郎(経済ジャーナリスト)
  • 竹中平蔵(パソナ会長・東洋大学教授)
  • 中山俊宏(慶応大学教授)
  • 原英史(元官僚、政策コンサルタント
  • 全ての全国紙(読売・朝日・毎日・産経・日経)
  • 日本の二大通信社(共同、時事)

◆ヒラリー優勢を雄弁に語った完全な負け組み

 <所感>

・トランプ勝利を事前に予想し主張することは、評論家としてはリスクが高い状況でしたから、トランプ勝利を予想した人々をベスト&ブライテストと称賛することは正しいことだと思います。

・いわゆる専門家という人たちが予想を大きく外した背景を知ることが必要だと思います。特に情報をたくさん把握できるはずの外務省が、トランプ勝利の確率をほとんどゼロにしていたのは、情けないとしか言いようがありません。

・冷厳に現実を把握するためには、専門的知識だけではなく、大局観と自己の利益・願望にとらわれない視点に立って観察しなければいけないと思います。

・戦前の帝国日本陸軍参謀本部や松岡外相下の外務省が、ドイツの国力を過大評価して日独伊三国同盟を推進し仏印進駐をした結果、アメリカの石油封鎖政策を誘発して、対米戦争に突入せざるをえなくなった歴史を思い起こします。指導層の認識力低下は恐ろしいです。


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トランプ政権の動向について情報収集

2016-11-12 14:01:38 | Weblog

トランプ氏の動静を見る限り、この人物は良くも悪くも歴史的転換をリードできる人物だと感じました。自分の価値観で判断するのではなく、冷厳にその動向を観察していきたいと思います。

◆ウオールストジャーナル11月10日の社説

・トランプ氏の支持基盤は不満を抱えた民衆の力の証しだ。その多くがフロリダ、オハイオ、ウィスコンシンといった、4年前の共和党候補ミット・ロムニー氏が制することのできなかった州の有権者だった。

・オバマ大統領はまるで彼らのニーズや望みが非論理的であるかのように統治することが多すぎた。有権者に対するこうした軽視が政治的な挑戦を生む土壌を形成した。

・政治の専門家が学ぶべき教訓――本紙も含めてだが――は有権者の心情と、戦わずして景気低迷を受け入れることはない一般国民の拒絶反応にもっと敬意を払うことだ。

・彼は「歩く不満」なのだ。この国にできる精一杯のことは現状維持であるかのように景気停滞に無関心なリベラル派全般に対する非難を体現したのがトランプ氏だ。

・選挙の翌朝、トランプ氏が国を結束させ、全ての国民の「可能性」を解き放つと約束したのは適切だった。

・1865年にエイブラハム・リンカーンが2期目の就任演説を行った際、「誰に対しても恨みを抱かず、すべての人に慈しみを持って」和解と家庭内の平和に向けて歩もうと「同胞諸君」に呼びかけた。この16代大統領の言葉はどんな時でも思い起こすに値する。だが、8日のような長い夜の後ではなおさら価値がある。

 ◆毎日新聞11月12日記事(トランプ氏100日行動計画より)

・共和党主流派のライアン下院議長や上院のトップのマコネル院内総務と会談後、トランプ氏は強調した。「我々にはやるべきことがたくさんある。移民問題と医療保険を重視して取り組む。そして雇用だ」。

・法人税率を35%から15%に下げることで企業に投資を促し、10年間で1兆ドルをインフラ整備に投じ、こうした政策を通じ「少なくとも2500万人」の雇用を創出する。・・・共和党は本来「小さな政府」を志向するだけに、議会との調整が難航しそうだ。

◆東京新聞11月12日記事(暴言封印公約のためより)

・トランプ氏は十月下旬南北戦争中リンカーンが有名な演説を行った激戦地ペンシルべニア州ゲネティズバーグで、大統領就任後の「百日行動計画」を発表した。

・「子供が二人いる中間層の家族には35%減税する」といった大幅減税や、医療保険制度改革法案(オバマケア)の廃止に加えて、TPPからの脱退や国連の温暖化対策への資金拠出撤廃なども盛り込まれている。

 <所感>

・ウオールストリートジャーナルの社説に「政治の専門家が学ぶべき教訓――本紙も含めてだが――は一般国民の拒絶反応にもっと敬意を払うことだ」という言葉が現れたことに、今回の事件が歴史的転換期だということがわかります。

・フロリダ、オハイオ、ウィスコンシンという多様なアメリカを典型的に反映する重要な州で3つともトランプ氏が勝ったことは、ニューヨークやサンフランシスコ・ロサンゼルスといった大都市でヒラリー氏が勝ったことよりも影響が大きいという事実は、アメリカ合衆国を理解するうえで重要なことだと思います。

・トランプ政権の誕生は揺り戻しのない歴史の転換の始まりだと感じます。日本の社会もこの大波にこれから大きくゆさぶられるのだと思います。

 

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トランプ大統領をめぐるウオールストリートジャーナルの記事は参考になった

2016-11-10 12:07:57 | Weblog

トランプ大統領決定の翌日、いろいろな記事を読んだが、最も参考になったのは、ウオー

ルストリートジャーナル(日本版)の記事でした。特に参考になった論述は次のとおり。


・トランプ氏は単にクリントン氏を打ち負かしただけではない。一瞬にして共和党を自身が

イメージする党へと変貌させた。同党が最も大切にしてきた政策や理念を書き換えた。

・トランプ氏はさまざまな政策において、共和党にとって全く新たな立場を提唱してきた。貿易面では自由貿易協定に意欲的になるのではなく懐疑的になること。

・移民政策では経済的な繁栄を支える労働力として移民をとらえるのではなく、深刻な経済的・社会的脅威として不法移民に焦点を絞ること。

・諸外国への介入についても同様で、共和党の前大統領はイラク侵攻を命じたが、それ

を大きな過ちだと呼んだ人物が党のかじ取りを担っている。

・給付金制度に関しても、かつての共和党は高齢者に対する給付金を削減するという苦い薬を飲む準備をしていたが、現在は逆の方向に導かれている。

・トランプ氏の勝利は、ワシントンだけでなく米国全体に深い分断と激しい憤りを残すだろう。彼の出馬は、米国の政治・金融システムが自分たちのニーズや懸念を無視していると考える人々を喜ばせた一方で、暗い情熱も喚起した。

8日の選挙で数千万人の支持者を動員したのはこの戦略だ。トランプ氏は支持者と同じくらいの激しさで自身を嫌悪する数千万の国民を味方に付けることができるのか。それが大統領としての最初の大きな試練になるだろう。

<所感>

・アメリカ議会が上院・下院ともに共和党が過半数となっているので、その共和党が従来の共和党でなくなったとするならば、トランプ革命はまさに歴史的転換期となるかもしれません。(課題1・・・共和党の従来の幹部が思想・信条の違うトランプ路線におとなしく従うだろうか?)。

・成功したトランプの選挙の戦略の負の部分をどう解消するか?(課題2・・・数千万人の嫌悪感)

・当選確実となった時のトランプの演説を見聞した印象では、トランプは上記の二つの課題を何とか克服していけるような印象を覚えました。(自らの陣営に対する感謝の表明姿勢にトップマネジメントとしての器量を感じました)。

<翌日の追加所感です>

・テレビでニュースを見ていると、オバマとトランプがオバマの執務室で2人だけで1時間半も会談し、終わってから記者の見ている中で握手して、お互いを尊重している姿を見せていました。また両夫人の会談も放映されていました。

・ニュースでは、共和党の首脳と融和的に会談を続けている姿もありました。そして、ニューヨークをはじめ大都市におけるトランプ反対のデモも放映されていました。

・トランプの動静を見ていると、課題に迅速・的確に対応しているように見えます。どうやら只者ではないようです。


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