トランプ大統領決定の翌日、いろいろな記事を読んだが、最も参考になったのは、ウオー
ルストリートジャーナル(日本版)の記事でした。特に参考になった論述は次のとおり。
・トランプ氏は単にクリントン氏を打ち負かしただけではない。一瞬にして共和党を自身が
イメージする党へと変貌させた。同党が最も大切にしてきた政策や理念を書き換えた。
・トランプ氏はさまざまな政策において、共和党にとって全く新たな立場を提唱してきた。貿易面では自由貿易協定に意欲的になるのではなく懐疑的になること。
・移民政策では経済的な繁栄を支える労働力として移民をとらえるのではなく、深刻な経済的・社会的脅威として不法移民に焦点を絞ること。
・諸外国への介入についても同様で、共和党の前大統領はイラク侵攻を命じたが、それ
を大きな過ちだと呼んだ人物が党のかじ取りを担っている。
・給付金制度に関しても、かつての共和党は高齢者に対する給付金を削減するという苦い薬を飲む準備をしていたが、現在は逆の方向に導かれている。
・トランプ氏の勝利は、ワシントンだけでなく米国全体に深い分断と激しい憤りを残すだろう。彼の出馬は、米国の政治・金融システムが自分たちのニーズや懸念を無視していると考える人々を喜ばせた一方で、暗い情熱も喚起した。
・8日の選挙で数千万人の支持者を動員したのはこの戦略だ。トランプ氏は支持者と同じくらいの激しさで自身を嫌悪する数千万の国民を味方に付けることができるのか。それが大統領としての最初の大きな試練になるだろう。
<所感>
・アメリカ議会が上院・下院ともに共和党が過半数となっているので、その共和党が従来の共和党でなくなったとするならば、トランプ革命はまさに歴史的転換期となるかもしれません。(課題1・・・共和党の従来の幹部が思想・信条の違うトランプ路線におとなしく従うだろうか?)。
・成功したトランプの選挙の戦略の負の部分をどう解消するか?(課題2・・・数千万人の嫌悪感)
・当選確実となった時のトランプの演説を見聞した印象では、トランプは上記の二つの課題を何とか克服していけるような印象を覚えました。(自らの陣営に対する感謝の表明姿勢にトップマネジメントとしての器量を感じました)。
<翌日の追加所感です>
・テレビでニュースを見ていると、オバマとトランプがオバマの執務室で2人だけで1時間半も会談し、終わってから記者の見ている中で握手して、お互いを尊重している姿を見せていました。また両夫人の会談も放映されていました。
・ニュースでは、共和党の首脳と融和的に会談を続けている姿もありました。そして、ニューヨークをはじめ大都市におけるトランプ反対のデモも放映されていました。
・トランプの動静を見ていると、課題に迅速・的確に対応しているように見えます。どうやら只者ではないようです。
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