♪良かった! オケも合唱もBravo~!!
冬の嵐の中、びしょ濡れになりながら神奈川県民ホールに駆け込んだ。
席に着いたときにはオケのチューニングが終わり
ピアノのソリストや指揮者が登場する直前だった。
呼吸を整える間もなく1曲目の「合唱幻想曲」が始まった。
この曲を聴くのは、昨年に引き続き2度目。(尤も歌う予定だったのでCDを買ったが)
なんで神奈川フィルは(マエストロは)、「第九」とこの曲を組合せるんだろう。
確かに「第九」の先駆的曲ではあるが、はっきり言って全然いいと思えない。
今回の演奏は、ピアノソリストの「唸り」が大き過ぎて、気になった。
さて、漸く退屈な(失礼!)合唱幻想曲が終わり、15分の休憩後いよいよ「第九」だ!
もうワクワクだ!もうすぐ聴けるぞ!!
チューニングが終わり、マエストロ現田が入場してきた。
ひな壇に合唱団はまだいない。どうやら3楽章前の入場のようだ。
一瞬の静寂の後、マエストロのタクトが振り下ろされ、第1楽章が始まった。
子供の頃から音楽で稼いで家計を支えたり、20代で既に耳が不自由になったり
傍若無人の変わり者で友人も少なく・・・。決して幸福な人生とは言えなかったらしい。
そんなベートーヴェンの苦悩が伝わってくるような第1楽章の主題だ。
エネルギッシュでスピード感溢れるパッセージが続く。
コンマス石田は、もう最初から絶好調で飛ばしている。
大きく開いた足(彼のトレードマーク?)、思わず左足が浮き上がる!
そして時に大きくのけ反って・・・、思わず「のだめ」のR☆Sオケのように
ヴァイオリンを垂直に立てるのかと、ハラハラした。
いいぞ、いいぞ、石田!第1楽章から全開だぁ~!
ティンパニの轟きで始まる第2楽章。
苦悩まみれの中でも、何とか前に前に突き進もうとしているベートーヴェン。
その直向さが、ズンズンと聴衆に響いてくる。
マエストロは、時に激しく時に穏やかに、ベートーヴェンの人生を再現して行く。
そしてつかの間の安らぎの第3楽章。
ベトヴェンだって、夢を見ることがあるんだ!
愛する人に抱かれて心穏やかに過ごす夢?それとも若き日に逝った母の思い出?
この第3楽章を退屈だと言う人がいる。
信じられん!聴いていて、胸がいっぱいになり涙が滲んで来る。
いよいよ第4楽章だ。
「諸君、これから始まる歓喜の歌を聴いてくれ!」と低音弦楽が叫ぶ。
その後、弦楽器から金管を含めた全体合奏に繋がる「歓喜の調べ」へと進む。
弦楽合奏と、その裏で二重奏でファゴットが奏でるオブリガートが美しい。
そしてついにバリトンソロと合唱団が立ち上がり「歓喜の歌」が始まる!
バリトンさん、朗々としたいい声だ。
合唱団、なんと堂々としていることか!素晴らしい!!
マエストロに導かれ、オーケストラとソリストと合唱は一体となってフィナーレまで突き進む。
『お互いに抱き合うのだ、兄弟よ。全世界の人々とくちづけを交し合うのだ!
喜び、それは神が発する美しい火花だぁ~~!!』
とてもいい「第九」だった。
ホールから出てきた観客は口々に賞賛の感想を述べ合う。
時ならぬ暴風雨もあってか、満席とはいかなかったが
聴衆の拍手が、とても暖かくフレンドリーに感じられた。
最後にマエストロが観客席に向かって手を振った。どっと受けた。
やっぱり神奈川フィルは、おらが街のオーケストラだ。
【合唱について】
とても素晴らしい合唱だった。
手前味噌ではなく、贔屓でもなく、とても良かった!
特にソプラノは神々しく、かつ清々と歌い切った。
後半は若干勢いが落ちたものの、高音部もかなりのレベルをキープしていた。
アルトしっかり歌い、女性のアンサンブルはきっちりまとまっている。
男性合唱も素晴らしかったが、やはり若干ボリューム感に欠ける。
自分が途中リタイアしておいて言うのもなんだが、あと10名は欲しい。
今回も数人の「音大トラさん」が参加していたようだ。
それでも弱く感じるとすれば、ある程度の若返りと団員増強が必要だ。
ボリューム感が足りないと、どうしても一人一人が頑張ってしまう。
それがアンサンブルの乱れに繋がるところも・・・。
せっかくのハイレベルの合唱団なので、とても惜しい。
観客席で聴くと、いろいろ分かるね。
それにつけても、ゴメンナサイ・・・。
(まあ父さん一人が居てもいなくても、大勢に影響はないんだけどね・・・)
それにしても神奈川フィルはいいオーケストラになりました。
これもひとえに現田さんの功績だと思っております。オケの中ではあまりいい評判のないらしい彼ですが、この演奏を聴く限りなかなかの指揮者だと思っています。
ところで、1,2,3楽章といえば近くにいた楽章間によくしゃべるおかぁさんたちが終わったと同時に手をたたきながら言った言葉。「第9もいい曲だけの、その前にやった3曲は何?。」「あ、私もはじめて聴いたけどいい曲よね」「でも退屈だったわ・・・・・・」
なるほど、そんな聴き方もあったのか。
はぁ~、所詮日本のクラシック事情ってそんなレベルなんでしょうかね。
まあでもそういうレベルの人がホールに足を運び、「今日の運命よかったわね!でも運命の後の3曲は誰の曲?」なんていうのでも構わないから、どんどん聴いて欲しいですね。
「お粗末なクラシック事情」については、言いたいことが沢山あるので、近々アップします・・・。
Yurikamomeさん、一緒に神奈フィルを応援しましょう!
「合唱幻想曲」、そう聴き込んだ訳でも歌い込んだ訳でもないので、あんまり断定するのもなんですが、
良さは分かりませんね。
まあ何事もそれぞれ好く好きがありますからね。
第九の第4楽章が「こけおどし」で嫌いと言う方もいらっしゃるぐらいですから・・・。
今度「合唱幻想曲」の魅力を教えてください!