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本好きなヤギ似のワタシが 勝手な感想を綴った備忘録 (時々、他)♪

嫌われ松子の一生/ゴールデンタイム(山田 宗樹)

2011-03-29 22:30:22 | 本(まあまあ) ま・や・ら・わ行の作者
 

まずは、本編。
主人公の大学生(笙)に突然もたらされた、叔母(川尻 松子)の壮絶な人生ががたどられています。

松子さんは、小さい頃から頭が良くて美人で、周囲の期待通りに成長し、地元の中学教師となり、生徒からも人気のある先生だった書き出しを読む限りでは、
(どうして、題名が「嫌われ…」なんだろう??)という感じ。
しかし、修学旅行先で生徒が起こした窃盗事件を、自分が罪をかぶって内密裏に処理をしようとしたことがきっかけで、学校もクビになり、自ら家出をしてしまいます。

それからは、喫茶店のウェイトレスから、果ては、店No.1のトルコ嬢に昇り詰めるまで、職を変えながらも、自分なりにしっかり生きていこうとします。
しかし、つき合う男性運には、ほとほと恵まれることがなく、はずみで殺人を冒してしまうことに ・ ・ ・

逃げた松子は、縁あって奥さんに先立たれた床屋の主人(島津)の下に身を寄せ、
やがて、結婚を前提とした幸せなひとときを過ごします。
しかし、殺人罪による指名手配をされていた事により、たった2ヶ月だけの心休まる生活は終息を迎え、松子の刑務所暮らしが始まります…。

刑期を終え出所した時に、島津の役に立ちたいという一心で、獄中の松子は腕の良い美容師に成長します。
やがて、刑期を終えた時、松子に待受けていたのは、それはそれは辛い現実でした。
しかし、塀の中で出会った めぐみとの再開や美容師としての活躍が認められるようになり、生きる希望を見出した松子に またも訪れた悲劇 。 。 。

昔の教え子との出会いが松子の人生を狂わせ、ついに、松子は52歳の生涯を暴行致死という 非常に不本意な形で終えます。
・ ・ ・ ・ ・
と、ここまでが本編。
終わり方が、「あらら…、本当にこれで終わりにしちゃうのかい?
こりゃぁ、ちょっと、救いようがないんでないの…??」という感じだったので、
続編に繋がっているのは、大変喜ばしい展開です。

続編「ゴールデンタイム」は、大学を卒業したものの定職にも付かず、やりたい事も見付からず…
と、典型的なプータロー生活を送る 川尻 笙クンにスポットライトを当てたストーリーです。

前編でつき合っていた彼女(明日香)は、松子の死をきっかけに大学を辞め、本当に自分が目指したかった医師になるために、医大生としての道を歩んでいます。
笙と離れた明日香は、環境も変わり、彼氏も変わり… と、完全に笙との関係が終わったかのように思えますが、
そこは すっとこどっこい!(笑)・・
笙も明日香も それぞれの自分の成長をとおして、お互いに忘れられず相手の事を想い、
再開する、 というまでの過程が綴られているのが、こちらのゴールデンタイムです。

正直、本編だけ読んだ時は、(ちょっと、期待外れ…?!)の感想を抱きましたが、
なんの なんの。
続編では、ちょっと不器用でボーっとしている笙が、わりと自分をしっかり持っていて、芯の強い努力家であること、
優等生でしっかり者の明日香が、順風満帆な人生を歩んでいるかと思いきや、
実は悩み多き乙女だったり…、
と、それぞれに いいキャラを見せてくれます。

本編が「落ちていく松子・・・」と、いかにも暗~~いテーマだったのに対し、
続編は、これからの未来を築いていく若者たちが、それぞれに悩みながらもたくましく成長していく姿が描かれていて、とてもいい!
なによりも、笙も明日香も すごくいい子なので、読んでいて 登場人物を応援したくなっちゃいます。

本当は、「よかった!」のカテゴリーに入れようと思ったけど、
この先、絶対続くと思われるストーリーなので、将来への期待の余地を残して、「まあまあ」のカテゴリーを選択しました。
コメント
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