■読者の皆様,おはようございます.
大学入試制度については,昔から様々な議論がある.
これがベストだ!という試験制度の確立は困難だと思う.
そのような中,試行錯誤を重ねながら現在に至っている.
■昭和54年度から始まった共通一次,そして平成2年度からはセンター試験.
そして今度は
達成度テスト(仮称)に変更するらしい.
その達成度テスト(仮称)には,以下の2種類ある.
・
基礎レベル
・
発展レベル
基礎は推薦とAO入試に,発展は従来の一般入試(学力)に使用されるらしい.
詳細は下表を参照してください.
【読売新聞から引用】
■大学入試を定期的に見直すことは当然のことだ.
悪いところは改善し、良いところは継続すればいい.
それが受験生にとって公正公平な試験であるならば,という条件付きだが….
因みにこの達成度テスト,息子には恐らく関係ないが,娘は微妙な時期に差し掛かる.
■達成度テストについて,大手新聞の社説が出揃ったので,日付順に列挙したい.
―――――――――以下,転載開始―――――――――
【2013年11月1日 読売新聞】
大学入試改革 人材の発掘・育成に繋がるか
大学入試制度の改革には、多大なコストがかかる。十分な効果が得られるのか、慎重な見極めが必要である。
政府の教育再生実行会議が、大学入試改革に関する提言をまとめた。1990年から続く大学入試センター試験に代わり、難易度の異なる「基礎」「発展」の2種類の達成度テストを新設するのがポイントだ。
「基礎」テストは、高校生の基礎学力を調べる。提言は、この結果を推薦入試や、面接などによるAO(アドミッション・オフィス)入試で活用するよう求めた。
推薦・AO入試の増加で、高校生の学習意欲が減退し、学力低下を招いているとの指摘がある。新たなテストが高校生のやる気を引き出し、学力向上に結び付けば、導入する意味はあろう。
「発展」テストは、大学進学に必要な学力の判定が目的だ。センター試験と異なり、結果は1点刻みの点数ではなく、大まかなランクに分けて示される。
各大学は、これを基礎資料とした上で、論文や集団討論などで独自選考を行い、高校時代の活動実績も勘案して合格者を決める。
面接官に学外の企業人を起用することも提言に盛り込まれた。
筆記試験の点数で合否を判定する従来の入試には、知識偏重で、受験生の意欲や創造性が評価されていないとの批判がある。
大学に求められるのは、変化の激しい時代において、柔軟な発想力や問題解決能力を備えた人材の育成だ。総合的かつ多角的に受験生を評価する選抜方法を検討する意義はあると言えよう。
だが、課題も少なくない。
選抜にはこれまで以上に手間や労力を要するだろう。マンモス大学では対応できるのか。
点数という明確な評価基準がなくなるため、受験生が選抜の公平性に不満を抱きかねない。
テストは複数回受けられる仕組みにする方向だが、実施時期が高校3年の秋頃になれば、高校の授業や行事に影響を与える。
何よりも懸念されるのは、「発展」テストの導入が優秀な人材の発掘や育成に繋(つな)がるのか、不透明なことだ。中央教育審議会でさらに議論を深めてもらいたい。
日本では、進級や卒業の際の成績評価を厳格に行っていない大学も多い。入学さえしてしまえば、比較的簡単に卒業できるという状況は今も変わらない。
入試制度の改革にとどまらず、大学教育の抜本的な機能強化を図ることが大切である。
【毎日新聞 2013年11月2日】
新しい大学入試 高校も変わらなければ
実現すれば今の制度は大きく転換しようが、宿題は山積だ。
政府の教育再生実行会議が大学入試改革策を提言した。主眼は1点刻みの試験を排し、十分に手間をかけ、人物本位に総合的な力や才能、適性を見いだすことにある。
そのため高校在学中に受ける「基礎」レベルと、大学入試センター試験を衣替えする「発展」レベルの達成度テスト創設を提言した。
「基礎」は高校教育で習得しておくべき知識や活用力をみる。大学の推薦、AO(アドミッション・オフィス)入試などで基礎学力を確かめるのに活用できる。「発展」は、大学教育を受けるのに必要な学力をみる。結果は1点刻みではなく、一定の点数幅で分けたランク別に示す。
大学はこれで学力の水準をみるとともに、独自の選抜を行う。面接、集団討論、論文、高校の推薦書、生徒会活動やボランティア、留学、部活動など、幅広く想定される。
また提言は、2種の達成度テストがいずれも複数回受けられるよう検討を求めている。今後、中央教育審議会が仕組みを細かに論議するが、具現化は5、6年先ともいわれる。
この提言に沿うなら、高校教育も同時に変革されなければならない。従来の点数で把握したつもりだった生徒の学力を新たな視点で見直し、意欲や適性をこれまで以上に引き出すことも必要になるだろう。
実際、大学入試を真に改革すれば、高校、中学、小学校の教育にも改善効果が上がるといわれてきた。
だが課題は多い。例えば、達成度テストの複数回実施が現在の高校で可能なのか。教員の養成、研修にも新たな工夫が要る。
試験の「公平性」の問題もある。
確かに、1点差が明暗を分ける試験は真に力や才能を見いだすことにならない、という考え方は正しいだろう。だが、点という指標で落とされるなら仕方がないが、数値で見えにくいような判定では割り切れない、という受け止め方もある。
それは、試験の公平性への信頼という、根本的な条件に関わってくる。今後、新しい入試の制度設計を進めながら、なぜこの改革が必要なのか、公平性をどう担保するのかなどを丁寧に公開論議し、広く共通理解を醸成していくべきではないか。
大学入試改革はとても古くて新しい教育テーマだ。共通1次試験もセンター試験もそこから生まれ、進学率上昇や少子化など社会変化とともに新たな課題を負った。
多様な「グローバル人材」育成を掲げた今回の案は、決して“受験界の大ニュース”にとどまるものではない。行方を注目し、論じ合わなければならない。
【2013年11月4日 日本経済新聞】
受験偏重教育を変えるのは今だ
「いい大学」を目指して小中学校のころから受験勉強にいそしみ、晴れて合格すればそこで人生における「学び」は終わる――。
日本人は長い間、こういう学習モデルを当然のように受け止めてきた。しかもその入試はもっぱらペーパーテストによって知識を問い、一発勝負で合否が決まる。極論すれば、18歳のある一日で人生が左右されるわけだ。
達成度テストどう設計
そんな入試システムでは多様な人材を取りこぼす、偏差値エリートばかり増える、と指摘されながら改革は進まなかった。制度設計の難しさに加え、旧来の体制下で育ってきた人たちが教育界をはじめ社会の中心にいるからだ。
政府の教育再生実行会議がまとめた大学入試改革案はその岩盤を突き破ろうとする野心的な提言となった。1979年に共通1次試験が導入されて以来の大改革になるだけでなく、高校や大学の教育全体を変える可能性がある。
改革案は、共通1次を引き継いだ現行の大学入試センター試験を廃止し、「達成度テスト」を創設するのが柱のひとつだ。
テストには「基礎」と「発展」を用意し、いずれも高校在学中に複数回受験できる。「発展」は一般入試に使うが1点刻みでの成績表示はやめて段階別の評価とする。受験生を振るい落とす道具となっているセンター試験とは違い、新しいテストは大学入学のための資格試験に近づくわけだ。
今後、入念な制度設計が不可欠で、文部科学省の中央教育審議会で専門的に検討することになる。実施主体やテスト時期の設定など問題は多く、高校・大学双方の側から負担の重さなどを理由に反対する声も強まろう。
しかし、そうした事務的な対応が厄介だからといって、改革を先送りしてはならない。動き出すのは今である。共通1次試験スタートから30年余、一発勝負型の試験体制は限界にきていることを教育界は自覚すべきだ。
もうひとつの大きな課題は、達成度テストの導入に合わせて各大学がいかに工夫を凝らした選抜試験を実施できるかである。
資格試験的な性格が強い達成度テストは、各大学が独自のアドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)に基づく選抜を実現してこそ意味を持つ。私立大も含めて、これまでとは次元の違う選抜が求められる。これも今から対応を急がなければならない。
提言は、「入りにくく出やすい」といわれる大学教育の中身にも改革を求めた。卒業認定の厳格化を打ち出しており、「入れても出にくい」大学への転換を促したかたちだ。実現すれば、入試合格を人生の目標のように考える風潮に変化が生まれよう。
もっとも、そのためには大学側に相当な努力が必要となる。
大学教育では学生が能動的に学ぶ姿勢が大切なのに、日本の大学生の学修時間(授業を含めた学びの時間)は1日あたり平均4.6時間にすぎない。本来、学期中には1日8時間程度の学修が想定されているが、実態は約半分だ。
大学には学生のやる気と潜在力をもっと引き出す教育環境を提供する責任がある。教員の指導力や熱意が伴わなければ、卒業認定を厳格化しても留年や退学を増やすだけになりかねない。学生が意見を積極的に述べる双方向の講義をもっと増やすべきである。
大学の取り組みがカギ
欧米では、授業科目に番号を振って基礎から専門まで体系化して提供する仕組み(ナンバリング)が一般的だ。学生が将来の進路に必要な科目を主体的に選択し、どこまで進んだかで自らの学びの到達度を知ることもできる。
2016年春からナンバリング導入も含め教育体制を刷新する東京工業大学は、学部3年までに必要な科目を履修すれば、4年目は大学院の授業を受けたり海外留学に行ったりできるようにする。こうした取り組みがどこまで進むかが、学修改革のカギとなる。
受験偏重教育、入試至上主義を変えるには、突きつめれば親や社会の意識改革が欠かせない。達成度テスト導入と聞くや、「新たにそのための塾通いが必要になるのか」といった反応が出てくるのは、従来の1点刻み選抜の観念が染みついているからだ。
そこから脱却して多様な人材を認め、横並びを排し、「出る杭(くい)」を伸ばす社会に変えていかなければ成熟国家・日本の新たな発展は望めないだろう。大学入試改革は、そういうパラダイム転換につながる大事業であることを意識しておきたい。
【2013年11月5日 朝日新聞】
大学入試改革-個性をいかに評価する
学力一辺倒から人物本位へ。大学の入試をそんなふうに改革する機運が生まれている。
その方向性はわかる。ただし実現のハードルは高い。まず意欲のある大学を支援し、風穴をあけることから始めるべきだ。
提言をしたのは、安倍首相の肝いりでできた「教育再生実行会議」。その内容はこうだ。
大学入試センター試験を廃止し、「基礎」「発展」2レベルの達成度テストを導入する。
「基礎」は高校在学中に基本教科の基礎学力を測る。ペーパーテストをしない推薦入試などで、学力をみる資料にも使う。
「発展」はセンター試験を改編した1次試験。1点刻みをやめ、段階評価に変える。
そして各大学には、2次試験に面接などをとりいれ、学力以外も多面評価する「人物本位」への転換を促す。
さきの国際成人力調査の結果をみると、今の日本の強みは、能力が粒ぞろいであることだ。日本は読解力も数的思考力も1位だった。学歴や職種にかかわらず得点が高かった。
だが、近年は学力試験のない推薦入試などが増えたことで、学力の底抜けが心配される。基礎テストの導入は、日本の強みを守るうえで有効だろう。
一方の弱みは、個々の高い力を社会として生かせていないことだという。課題解決の力が弱いとの指摘もある。
日本はいま、少子高齢化時代の社会保障、原発事故後のエネルギー政策転換と、前例のない難題を解決できずにいる。
独創性や統率力のある人材がほしい。それには、受験を気にせず部活や生徒会、地域活動など何かに打ち込むような子に、門戸を大きく広げたい。
ただ、全大学や学部が人物重視に転換するのは難しい。
一部コースで討論や面接の入試をしている大学は、採る学生数より多くの教員を選考につぎ込んでいる。改革の手本である米国の大学は、教員以外の専従スタッフを置いている。
うちは人を見るために人を割き、手間をかける。そういう大学に財政支援し、取り組みの広がりを待つのが現実的だ。
人物重視にも負の面はあろう。願書に書くための課外活動がはびこり、こつこつ勉強する子や、障害などで対話が苦手な子が報われなくなっても困る。
客観的な点数で合否を決める方が公平だとの考え方は社会に根強い。今までの2次試験を続ける大学もあっていい。あくまで多彩な人材を育てる目的だ。学生に個性を求めるなら、むしろ大学も横並びではおかしい。
―――――――――以上,転載終了―――――――――
■何れにせよ,受験生は国や志望大学の方針に従うしかない.
今後も,この入試制度改革については注視していかなければならない.
★ 目指せ,国立大学!
★ 目指せ,県立高校!
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