【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【なんでタイに居るの?】

2010年03月30日 | オムコイ便り

 タイ人の友人からの電話によると、私たちがチェンマイを離れた一昨日の昼過ぎに、ターペー門そばで爆弾騒ぎがあったらしい。

 一連のデモ騒動や爆発事件は日本でも報道されているらしく、日本の家族や友人・知人からは「大丈夫か?」いうメールがしきりに届く。

 まあ、オムコイにいる限りこうした騒動とはまったく無縁で、土・日を過ごしたチェンマイもごく平穏に見えたのだけれど・・・。

       *

 バンコクでは赤シャツデモの実害を被っている在留邦人も多いようだが、私の場合はほとんど他人ごとだ。

 タクシン元首相による経済政策や少数民族保護策の恩恵をこうむったこともあって、オムコイではまだ圧倒的にタクシン人気が高いのだけれど、誰も赤シャツなんぞは着ていない。

 チェンマイの友人や知人は全員が熱狂的なタクシン支持者、いわゆる“赤シャツ派”であり、商店のおばちゃんなども当たり前のように赤色のシャツを着ている。

 だが、彼らにしても報道のようにデモに明け暮れているわけではなく、普段通りにナームトーフ(豆乳)を売ったり、トゥクトゥク(三輪タクシー)を走らせながら、経済的に安定した平穏な日常が戻ってくることを祈っているだけである。

 もちろん、事あれば私と同様に南方系の濃い血をたぎらせるが、それはどこか“お祭り騒ぎ”に近く、殺伐とした雰囲気をかもすところなど見たこともない。

 まあ、今回はバンコクの指導者が「デモ参加者から採血して、その血をぶちまける」というちと困った方向に走りそうになったので、少しハラハラしてしまったのだけれど。
        
       *

 私が初めてタイに来たのは2006年、ちょうどタクシン追い落としクーデターの真っ最中で、飛行機の運行が危うくなるわ、目の前を戦車が突っ走るわ、市民たちはその戦車の大砲に花を挿して軍人と記念写真を撮るわの大騒ぎ(?)だったから、今さら何が起きても驚きはしない。

 チェンマイに滞在していたその年の正月には、カウントダウンの最中に爆弾騒ぎがあったし、反タクシン勢力(黄色シャツ)が国際空港を閉鎖したときには、チェンマイから台北に飛んであやうく難を逃れた。

 つまり、タイと付き合い始めて4年あまりになる私の場合、こうした騒ぎはきわめて日常的なものであり、この国に住まわせてもらっている以上、家族問題も含めて、この国で起こるすべてのことを受け入れて楽しむというのが、基本的なスタンスである。

 いや、むしろ「おかげさまで、4年近くもハラハラドキドキしながら退屈することなく過ごさせてもらっています」と、感謝状のひとつもタイ国に捧げるべきではあるまいか。

 もちろん、ここは自由の国であるから、言いたいことは言わせてもらうし、書きたいことは書かせてもらう。

 怒りたいときには、心から怒らせてもらっている。

 私だって、この村をいつなんどき飛び出すか分からないのだ。

 時おり、そんな記事を誤読したらしい読者の方から、タイやタイ人のことを完全に見下したようなコメントやメッセージをいただくことがある(それらは私の判断で掲載は見合わせている)のだけれど、それらを読むたびに「どうしてこの人はタイに居るのだろう?」と首をひねらざるを得ない。

 どんなに呆れても、困っても、怒っても、最後には笑ってマイペンラーイ(大丈夫、気にしない)。

 そして、タイがますます好きになる。

 できれば、そんな関係であり続けたいものだ。

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5 コメント

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私も (鈴木)
2010-03-30 23:37:54
初めてタイへ行ったのが2006年の夏です。
勿論、山岳へ行くことが最大の楽しみですが、街でのタイ人との交流もとても大好きです。
子育てが終わり、仕事がクリア出来たら移住したいと真剣に考えてます♪
同じ思いです。 (tetchan27)
2010-03-31 09:48:20
お早うございます。
いつも、読まして頂いております。

私は、タイとタイ人に関わり20年以上になります。
タイ人の、嫌な所など色々有りますが、日本人にも同じように嫌な所がいっぱい有りますね。
私は、日本に家が有りますがタイでの仕事の関係で、3分の2はタイでの滞在です。
周りは、タイ人ばかりです。
タイ人の友人も多数いますが、日本人以上に良い所があります。日本にも友人おりますが、これもまた、いい所があります。
どちらも、一長一短ありますが、どちらの人々も好きです。
これからも、タと関わり65歳になりましたら、タイに居住地を移す予定です。

それまでに、タクシン問題は早く解決してほしいものですが、難しいでしょうね。
それでは、また。
Unknown (みん)
2010-04-02 02:40:14
>「どうしてこの人はタイに居るのだろう?」と首をひねらざるを得ない。


私は、まだ若いのですが、お年を召した方で、身寄りの無い方とかでタイに長居してしまっている人、多いように思います。
人にはそれぞれ理由があるのかなぁ…と。

タイが嫌で住んでいる人も、はじめは何かしらの理由があって「タイに住みたい」と思って住んでいるわけですよね。
長く住んでいるうちに、住み始めの当時にはわからなかった現実が分かってきたのではないでしょうか。
一応、観光客には優しい国ですが、タイ人も人間は人間ですからね。


ちなみに私はタイ7年目ですが、頭を痛めながらも、まだまだバリバリここでやっていきます。


サバーイ (しんちゃん)
2010-04-02 09:06:47
去年は道路封鎖のバイク、車両が自宅近くの道路を止めている処から軍による発砲(但し空砲)排除まで身近に経験したバンコク在住の者ですが、今年は赤シャツも遠慮したのか我が家のある地域には近寄りません。撤収が遅れた車とかボコボコのされたテレビの映像は我が地区で撮影されたものと思っています。クーデターの日も子供の遊ぶ声が朝から煩かったり不思議な国ですが、日本に帰ろうとは思いません。サバーイ、サバーイで暮らせる有難い国です。感謝。
タイについて (クンター)
2010-04-02 09:41:28
鈴木さん

 それなら同級生みたいなものですね(笑)。しかし、ほとんど成り行きでオムコイに住み始めた私と違って、いろんな情報やネットワークをお持ちのようですから、単なる移住以上の活躍の場が広がりそうですね。


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tetchan27さん

 ご愛読いただき、ありがとうございます。タイと20年以上も関わられているとのこと。実にいろんなことがあったのでしょうね。折りにふれ、さまざまな体験談や裏話などお聞かせ願えれば幸いです。

 
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みんさん

 初めまして。確かに、初めはタイが好きで次第に嫌いになるということはあるでしょうね。しかし、どんな理由があるにせよ日本人は「タイに住まわせてもらっている」わけですから、タイに住みながらタイやタイ人を侮辱するような文章を公にしようとするのは非情に失礼なことではないか、という問題提起でした。
 しかも、これは私のブログですから・・・。
 在タイ7年。年齢はともかく、私よりもはるかに先輩ですね。これからも、いろんな意見をいただければ嬉しいです。

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しんちゃん

 空砲とはいえ、発砲排除とはすごいですね。おっしゃるとおり、“不思議な国”という表現がぴったりで、私も日本ではできないような(時には理解不能な)様々な体験を楽しませてもらっています。 

     

 

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