AISのエンジニアが村にやってきて、やっとネットがつながるようになった。
なんでもっと早く来ないの、という気持ちの方が強いが、まあはるばるチェンマイからやってきて長時間奮闘してくれたことには、素直に感謝せねばなるまい。
その詳しいいきさつは改めて書くとして、今日は例によってオムコイに戻ってからの数日分の記事を一挙掲載したい。
なお、写真のアップには相変わらず時間がかかるので、こちらはのちほどということで。
*********************
12月12日、土曜日。
昨日は昼過ぎに、チェンマイの定宿を出た。
主人のウイさんとおかみのノッケウ(オウムという愛称・日本人である)、花見に同行した長期滞在のKさんなどに囲まれて、しばし立ち話。
「3年前に初めてこの宿に泊まってくれたとき、まさかオムコイで麺屋の旦那さんになるなんて夢にも思わなかったわ」
ノッケウの感想に、思わず苦笑しながら往時を振り返る。
その頃、ノッケウは大きなお腹を抱えていた。
翌年3月に日本に戻り、5月にチェンマイを再訪すると、すでに女の子が生まれていて、その子は今や2歳8ヶ月だという。
この宿で嫁のラーと知り合った(正確には、夜遅くまで飲み騒いでいたので「うるさい!」と怒鳴りつけた)のがその5月だから、私たちも同様の時間を共に過ごしてきたことになる。
「本当に不思議だねえ。一番信じられないのは、俺自身だよ。こうなったら、麺屋で稼ぐしかないんだけど、全然儲からないから困ったもんだ」
すると、最近日本語の勉強を始めたウイさんが荷台に満載した麺やルクチン(肉団子)などを眺めやりながら、
「でも、楽しそう」
「うん、楽しいのは楽しいね。まあ、ままごとみたいなもんかな」
一緒に花見に行ったJさんが韓国に戻り、Nさんもそろそろ日本に戻るというので、Kさんはちと寂しそうである(一昨日は甥っ子のジョーや同行した隣家のプーノイに昼から焼酎を飲まされて、ぶっ倒れたまま12時間も眠ったそうだ)。
「正月に店が閉められそうだったら、俺たちもチェンマイで年越しするかもしれません。村では特別な行事はないから」
「それなら、年越しそばか餅でも焼いて一緒に食べましょう」
*
ハンドンの店舗向け量販店で各種の調味料などを買い足し、中間地点のホットで野菜や魚などを補充。
村に着いたのは、6時前だった。
犬の“雄太”と“元気”が、ヒュンヒュンと甘え声を出してじゃれついてくる。
大量の荷をおろしてから、プラーサバ(ノルウェイ産鯖もどき)をフライにし、醤油をひたして食す。
白身がほくほくほぐれて、味は日本の鯖にかなり近い。
長距離を走ったせいか、食前にあおった焼酎の酔いが一気にまわった。
家に戻って庭で焚火を始めたが、すぐに眠くなって8時半にはふとんにもぐり込んだ。
*
今朝6時半に目覚めると、ラーはすぐに店へ飛び出していった。
今日は、店の斜め前の教会でクリスマス(ちと、早すぎないか?)の催しがあって子供がたくさん集まるので、ルクチンの串刺しを油で揚げて売るのだという。
甥っ子ジョーと従兄弟のアチは、すでに昨夜から竹を削ってその串作りに取りかかっている。
私もすぐに店に駆けつけ、ニンニク搗きや調味3点セットの補充に取りかかった。
続いて、町にプロパンガス(15リットルタンク340バーツ)と飲み水(10リットルタンク20バーツ)の交換に走る。
こうして、慌ただしい日常が戻ってきた。
*
教会の方から、礼拝を終えた子供たちのにぎやかな話し声が聞こえてくる。
真向かいの空き地には、すでにイベント用の舞台が設置され終わった。
そろそろ、商売開始の時間だ。
と思いきや、空き地で始まったのは、なんと“家族運動会”だった。
ルクチンを売るどころか、3男のポーとペアを組んでの“タイヤ転がし競争”に引っ張りだされる。
このところ、運動不足なのでアキレス腱でも切ったら大変だ。
待ち時間の間に、ひそかにストレッチをして備える。
12歳男子の組で、ポーが2位の好位置で私にタイヤを渡した。
勢いをつけて、タイヤを転がしながらダッシュする。
幸いタイヤがまっすぐに転がってくれたので、そのまま追いかけて突っ走ると、おっとっと、足がもつれそうだ。
辛うじてこらえ、1位を抜き去り僅差でゴールイン。
アナウンスが、「日本人のクンターが1等賞!」と叫んでくれたので、思わずガッツポーズがでた。
賞品は、ポーにみかん2個。
私には、小さな洗剤とシャンプーである。
*
興味深かったのは、子供たちによる“玉付き競争”である。
これは、カレン族に伝わる伝統的な遊びだという。
まずは、長なすのへたをひもでくくり、それを腰に巻き付ける。
次に、股の下になすびをぶらさげ長さを調整し、腰を振ってなすを前後に揺らす。
そして、なすの先端で地面においたプラスチックの玉を叩いて、それをゴールに向かって転がしていく。
腰を前後に振る動きを見ると、おそらくこの伝統的な遊びには性的な意味合いが含まれていたのではないかと想像されるが、子供たちがこれをやると非常に愛らしくユーモラスで、あちこちから笑い声が起きる。
残念ながら、この遊びはすでに大人たちの間では廃れているようだが、教会の催しでこうした伝統が子供たちに伝えられていくことは、大いに歓迎すべきだろう。
最後に、親夫婦による“風船運び競争”があり、折よく客足が途切れたためにラーも参加することができた。
競技はきわめて単純で、夫婦が向かい合って両手を後ろにまわし、胸もしくは腹で風船をはさんで、ゴールをめざす。
アナウンスによれば、この競技は夫婦間の結びつきの強さを試すという意味合いが含まれているそうで、そうなると意地でも風船を落とすわけにはいかない。
初めは体を斜めにし脇腹のあたりに風船をはさんで早足で歩き始めた夫婦が先頭を切ったが、私たちは正面で向き合い腹の間にはさんでサイドステップを続けたので最後にはスピードがついて、これまた1等賞でゴールインすることができた。
ゴール後には、強く抱き合って風船を割るのがミソで、すると中に詰めた白いバウダーが盛大に飛び散って笑いを誘うという仕掛けである。
賞品は、やはりみかんと洗剤・シャンプーだった。
かくして、午後3時に運動会は終了したが、あれ、賞品のみかんとお菓子で腹が膨れたのか、誰もルクチンやクッティアオを食べようとはしないぞ。
まいったなあ。
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なんでもっと早く来ないの、という気持ちの方が強いが、まあはるばるチェンマイからやってきて長時間奮闘してくれたことには、素直に感謝せねばなるまい。
その詳しいいきさつは改めて書くとして、今日は例によってオムコイに戻ってからの数日分の記事を一挙掲載したい。
なお、写真のアップには相変わらず時間がかかるので、こちらはのちほどということで。
*********************
12月12日、土曜日。
昨日は昼過ぎに、チェンマイの定宿を出た。
主人のウイさんとおかみのノッケウ(オウムという愛称・日本人である)、花見に同行した長期滞在のKさんなどに囲まれて、しばし立ち話。
「3年前に初めてこの宿に泊まってくれたとき、まさかオムコイで麺屋の旦那さんになるなんて夢にも思わなかったわ」
ノッケウの感想に、思わず苦笑しながら往時を振り返る。
その頃、ノッケウは大きなお腹を抱えていた。
翌年3月に日本に戻り、5月にチェンマイを再訪すると、すでに女の子が生まれていて、その子は今や2歳8ヶ月だという。
この宿で嫁のラーと知り合った(正確には、夜遅くまで飲み騒いでいたので「うるさい!」と怒鳴りつけた)のがその5月だから、私たちも同様の時間を共に過ごしてきたことになる。
「本当に不思議だねえ。一番信じられないのは、俺自身だよ。こうなったら、麺屋で稼ぐしかないんだけど、全然儲からないから困ったもんだ」
すると、最近日本語の勉強を始めたウイさんが荷台に満載した麺やルクチン(肉団子)などを眺めやりながら、
「でも、楽しそう」
「うん、楽しいのは楽しいね。まあ、ままごとみたいなもんかな」
一緒に花見に行ったJさんが韓国に戻り、Nさんもそろそろ日本に戻るというので、Kさんはちと寂しそうである(一昨日は甥っ子のジョーや同行した隣家のプーノイに昼から焼酎を飲まされて、ぶっ倒れたまま12時間も眠ったそうだ)。
「正月に店が閉められそうだったら、俺たちもチェンマイで年越しするかもしれません。村では特別な行事はないから」
「それなら、年越しそばか餅でも焼いて一緒に食べましょう」
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ハンドンの店舗向け量販店で各種の調味料などを買い足し、中間地点のホットで野菜や魚などを補充。
村に着いたのは、6時前だった。
犬の“雄太”と“元気”が、ヒュンヒュンと甘え声を出してじゃれついてくる。
大量の荷をおろしてから、プラーサバ(ノルウェイ産鯖もどき)をフライにし、醤油をひたして食す。
白身がほくほくほぐれて、味は日本の鯖にかなり近い。
長距離を走ったせいか、食前にあおった焼酎の酔いが一気にまわった。
家に戻って庭で焚火を始めたが、すぐに眠くなって8時半にはふとんにもぐり込んだ。
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今朝6時半に目覚めると、ラーはすぐに店へ飛び出していった。
今日は、店の斜め前の教会でクリスマス(ちと、早すぎないか?)の催しがあって子供がたくさん集まるので、ルクチンの串刺しを油で揚げて売るのだという。
甥っ子ジョーと従兄弟のアチは、すでに昨夜から竹を削ってその串作りに取りかかっている。
私もすぐに店に駆けつけ、ニンニク搗きや調味3点セットの補充に取りかかった。
続いて、町にプロパンガス(15リットルタンク340バーツ)と飲み水(10リットルタンク20バーツ)の交換に走る。
こうして、慌ただしい日常が戻ってきた。
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教会の方から、礼拝を終えた子供たちのにぎやかな話し声が聞こえてくる。
真向かいの空き地には、すでにイベント用の舞台が設置され終わった。
そろそろ、商売開始の時間だ。
と思いきや、空き地で始まったのは、なんと“家族運動会”だった。
ルクチンを売るどころか、3男のポーとペアを組んでの“タイヤ転がし競争”に引っ張りだされる。
このところ、運動不足なのでアキレス腱でも切ったら大変だ。
待ち時間の間に、ひそかにストレッチをして備える。
12歳男子の組で、ポーが2位の好位置で私にタイヤを渡した。
勢いをつけて、タイヤを転がしながらダッシュする。
幸いタイヤがまっすぐに転がってくれたので、そのまま追いかけて突っ走ると、おっとっと、足がもつれそうだ。
辛うじてこらえ、1位を抜き去り僅差でゴールイン。
アナウンスが、「日本人のクンターが1等賞!」と叫んでくれたので、思わずガッツポーズがでた。
賞品は、ポーにみかん2個。
私には、小さな洗剤とシャンプーである。
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興味深かったのは、子供たちによる“玉付き競争”である。
これは、カレン族に伝わる伝統的な遊びだという。
まずは、長なすのへたをひもでくくり、それを腰に巻き付ける。
次に、股の下になすびをぶらさげ長さを調整し、腰を振ってなすを前後に揺らす。
そして、なすの先端で地面においたプラスチックの玉を叩いて、それをゴールに向かって転がしていく。
腰を前後に振る動きを見ると、おそらくこの伝統的な遊びには性的な意味合いが含まれていたのではないかと想像されるが、子供たちがこれをやると非常に愛らしくユーモラスで、あちこちから笑い声が起きる。
残念ながら、この遊びはすでに大人たちの間では廃れているようだが、教会の催しでこうした伝統が子供たちに伝えられていくことは、大いに歓迎すべきだろう。
最後に、親夫婦による“風船運び競争”があり、折よく客足が途切れたためにラーも参加することができた。
競技はきわめて単純で、夫婦が向かい合って両手を後ろにまわし、胸もしくは腹で風船をはさんで、ゴールをめざす。
アナウンスによれば、この競技は夫婦間の結びつきの強さを試すという意味合いが含まれているそうで、そうなると意地でも風船を落とすわけにはいかない。
初めは体を斜めにし脇腹のあたりに風船をはさんで早足で歩き始めた夫婦が先頭を切ったが、私たちは正面で向き合い腹の間にはさんでサイドステップを続けたので最後にはスピードがついて、これまた1等賞でゴールインすることができた。
ゴール後には、強く抱き合って風船を割るのがミソで、すると中に詰めた白いバウダーが盛大に飛び散って笑いを誘うという仕掛けである。
賞品は、やはりみかんと洗剤・シャンプーだった。
かくして、午後3時に運動会は終了したが、あれ、賞品のみかんとお菓子で腹が膨れたのか、誰もルクチンやクッティアオを食べようとはしないぞ。
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でもおかげでこの地区もNETWORKの恩恵を被ることができるようになってよかったです。
お祝いのコメント、ありがとうございます。
エンジニアの話によれば、オムコイにも私と同じ無線モデムのユーザーが数人おり、有線が使える町のユーザーも増えているそうです。しかし、今の無線アンテナ出力では、わが村に辛うじて届くのが精一杯のようで・・・。今日は、写真アップ効率化のために町の郡役所の駐車場から送信しています。