語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【食】アイスクリームやキャラメルの抹茶色 ~着色料~

2015年10月12日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)抹茶の原料は、玉露同様の被覆栽培【注1】した茶葉だ。
   →この茶葉を蒸して乾燥させる。
   →葉柄や葉脈などを取り除いて葉の部分だけを精選仕上げする。
   →石臼などで粉末にする。
 こうした過程を経て抹茶は作られる。

 (2)古来より、茶葉の栄養成分や効能は広く認知されている。その茶葉の栄養成分を丸ごと取り入れられる抹茶は、茶の湯をはじめ、和菓子、アイスクリーム、キャンディー、料理など広範囲にわたって利用されている。抹茶味のアイスクリームは、バニラ、チョコレートに次いでナンバー3の人気フレーバーだ【注2】。
 健康志向も追い風で、「抹茶入り」商品は軒並み高い人気を保っている。

 (3)本来緑茶は、栄養価に優れる反面、「高温・多湿・熱・光」に弱い。特に抹茶は、変質変色が非常に早い(デリケート)。
 つまり、さまざまな抹茶商品は、消費者の手に渡る前に変色しやすい。そのマイナス面をカバーするため、抹茶商品の多くに着色料が使用されている。

 (4)抹茶の色合いを演出する着色料として、次のものが使用されている(すべて天然系着色料)
   「抹茶キャラメル」(ロッテ)・・・・(a)紅花黄(こうかおう)、(b)カラメル、(c)クチナシ
   「やまざき 抹茶わらび餅」(山崎製パン)・・・・(d)カロテノイド、③クチナシ

   (a)紅花黄・・・・キク科の紅花の花弁から得られる黄色の色素。使用量が少ないことからあまり危険視されていないが、この色素には突然変異原性【注3】が指摘されている。
   (b)カラメル・・・・製法により4種に大別される。コスト面からして使用される大半は②~④。
     ①Ⅰ・・・・糖類を加熱して作られ、安全性は担保されている。
     ②Ⅱ・・・・糖類に酸やアルカリを加えて加熱処理して作られる工業生産品。突然変異原性が陽性(報告)。
     ③Ⅲ・・・・②と同じ。
     ④Ⅳ・・・・②と同じ。
   (c)クチナシ・・・・アカネ科のクチナシの果実から抽出される色素。青色・赤色・黄色の3種類の色素を持ち、抹茶色には青色と黄色が配合されて利用される。クチナシは、古来よりきんとんの色づけなどに使用されている。青色色素に関しては、アルテミア・サリーナ【注4】に対する致死率が高い(報告)。安全性について再検討が必要、とも指摘されている。
   (d)カロテノイド・・・・アナトー色素と呼ばれる黄色の着色料。(a)や(b)と同様、突然変異原性が疑われている着色料。

 (5)着色料を使用することで、本来の抹茶使用量を減らしたり、あるいはまったく使用しなくてもて抹茶色を出すことができる。
 着色料はしかし、原料が天然由来であっても、(4)のように不安要素がある。着色料を添加しても味や栄養価に何ら変化がない以上、着色料使用は健康リスクとバーターするほどの意義があるのか、消費者はもう一度熟考する必要がある。
 なお、抹茶100%の商品もあるが、値段が高くなるのは事実である。

 【注1】成育中の新芽に遮光資材を被せて一定期間光を遮って育てる方法。 
 【注2】日本アイスクリーム協会による調査、2014年。
 【注3】天然および合成化学物質などがDNAなどに損傷を与え、突然変異を起こす性質。
 【注4】甲殻類に属し、海よりも高い塩分濃度で生息できる生物。

□沢木みずほ「抹茶商品の抹茶色はどこから? 着色料で染めた商品もあるのよ」(週刊金曜日」2015年9月18日号)
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