(1)世界的に嘘が増えている。トランプ大統領に限らない。
〈例〉米国の映画やドラマなんかでも、そう。陪審員が、黒人と白人がぴったり半分ずつだ。警官も黒人と白人でコンビを組んでいる。TVドラマの「セックス・アンド・ザ・シティ」にも、黒人とかラティーノとか、有色人種系が出てくる。これは建前だ。全体のバランスをとらなきゃいけないから。
でも、その建前そのものがフェイクじゃないか。
実際の米国を見れば、たとえば家のまわりに黒人が3人、うろうろしていたら、すぐ手を挙げろ、って話になる。警官の指示に従わないのが黒人だったら撃たれる確率が高くなる。それが米国の実態だ。フェイクはもう蔓延している。
だからトランプも、「俺も対抗して嘘をついてもいいだろう」くらいに思って、政治をやっているわけだ。
(2)2月にトランプが演説で、「昨夜、スウェーデンでテロがあった」の話。あれなんかは、黒い白鳥はいない、という話と一緒だ。黒い白鳥はいない、とどうしていえるのか。お前が探し足りないだけかもしれない、という。悪魔の証明だ。
昨夜、スウェーデンでテロがなかった、とどうしていえるのか。もしかしたら、テロまがいのことや、未遂があったかもしれない。なにもなかった、と断言できるのか、という。
それと、真実相当性、というのがある。仮に報道がフェイクであっても、報道する側がそれを真実だと思っていたら、法的な責任は追及されない。すると、世の中の情報のほとんどが、真実相当性なのだ。
〈例〉仮に、岡山県岡山市で交通事故があって、横断歩道をふつうに渡っていた43歳の人に、右折車が突っ込んできた、という警察発表があったとする。事実かどうかはわからない。現場に行って、目撃者に直接聞いても、答が本当のことかは、結局は判断がつかない。
そうやって考え始めると、世の中はフェイクだらけなのだ。確実に証明できることは、なかなかない。
トランプのスウェーデンに関するテロ発言についていえば、今回はたまたまスウェーデンの首相が、真相を究明してくれ、と言った。
これが、日本の総理だったら言うだろうか。トランプがもし、日本でテロがあった、と発言したとしても、日本との外交交渉で発言したことではないから、日本政府として反応することじゃないとかなんとか、あいまいな態度で、はっきり否定しない。多分、そんなもんだ。すると日本政府が公式に否定していないんだから、テロはあったんじゃないか、ということにされてしまう。そうなっても日本政府は、文句をつけないだろう。とくに首相がクレームをつけるとか、外交ルートで釈明を求めたりはせず、それはなにかのマチガイでしょう、わははは、で終わりだ。
その点、スウェーデンは、そういうことをいい加減ではすませない国。自分の立場をはっきりさせる国なのだ。
(3)そもそも、トランプが「昨夜、スウェーデンでテロが起きた」なんてことを、ひとりで発想するわけがない。なんであんなことをいったのか、といえば、トランプのまわりにはいい加減な情報を平気で囁(ささや)くヤツがいるということなのだ。
そうすると、その程度しか国際問題に関心のなかった人間が、なんで大統領になろうと決心したのか、疑問に思えてくる。
答は、神様に選ばれた、という使命感なのだ。
そりゃ、最初は大統領になれるなんて考えていなかっただろう。ところが、ポンポンと事態が順調に進んでいく。すると、やはり俺は選ばれているんだ、と途中から神懸かりになっていった。そしたらオーラが差してきて、それでぐるぐるまわって大統領になったってことだろう。
□佐藤優・監修『地政学から読み解く米中露の戦略』の「第1章 地政学から読み解く米国の戦略」の「トランプ大統領はなぜ、平気でウソをつけるのか? ~フェイクが蔓延しているアメリカ社会~」
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【佐藤優】2050年までに終末が来ると信じる国民がトランプを生んだ」
「【佐藤優】トランプ政権では少数派が多数派になっても発言権が増えない ~そのカラクリ~」
「【佐藤優】トランプの政策はじつは中道 ~大統領に当選した理由~」
「【佐藤優】商売人トランプは儲かる戦争をする ~軍事費1割増は経済政策~」
「【佐藤優】大使館が引っ越すと第三次世界大戦の引き金になる ~地獄の釜の蓋が開く~」
「【佐藤優】トランプを理解する二つ目のカギ ~「イスラエル中心主義」~」
「【佐藤優】トランプを理解するカギ ~彼の信仰、カルヴァン派~」
「【佐藤優】×宮家邦彦/北朝鮮の核問題、ICBM問題にどう向き合うか」
〈例〉米国の映画やドラマなんかでも、そう。陪審員が、黒人と白人がぴったり半分ずつだ。警官も黒人と白人でコンビを組んでいる。TVドラマの「セックス・アンド・ザ・シティ」にも、黒人とかラティーノとか、有色人種系が出てくる。これは建前だ。全体のバランスをとらなきゃいけないから。
でも、その建前そのものがフェイクじゃないか。
実際の米国を見れば、たとえば家のまわりに黒人が3人、うろうろしていたら、すぐ手を挙げろ、って話になる。警官の指示に従わないのが黒人だったら撃たれる確率が高くなる。それが米国の実態だ。フェイクはもう蔓延している。
だからトランプも、「俺も対抗して嘘をついてもいいだろう」くらいに思って、政治をやっているわけだ。
(2)2月にトランプが演説で、「昨夜、スウェーデンでテロがあった」の話。あれなんかは、黒い白鳥はいない、という話と一緒だ。黒い白鳥はいない、とどうしていえるのか。お前が探し足りないだけかもしれない、という。悪魔の証明だ。
昨夜、スウェーデンでテロがなかった、とどうしていえるのか。もしかしたら、テロまがいのことや、未遂があったかもしれない。なにもなかった、と断言できるのか、という。
それと、真実相当性、というのがある。仮に報道がフェイクであっても、報道する側がそれを真実だと思っていたら、法的な責任は追及されない。すると、世の中の情報のほとんどが、真実相当性なのだ。
〈例〉仮に、岡山県岡山市で交通事故があって、横断歩道をふつうに渡っていた43歳の人に、右折車が突っ込んできた、という警察発表があったとする。事実かどうかはわからない。現場に行って、目撃者に直接聞いても、答が本当のことかは、結局は判断がつかない。
そうやって考え始めると、世の中はフェイクだらけなのだ。確実に証明できることは、なかなかない。
トランプのスウェーデンに関するテロ発言についていえば、今回はたまたまスウェーデンの首相が、真相を究明してくれ、と言った。
これが、日本の総理だったら言うだろうか。トランプがもし、日本でテロがあった、と発言したとしても、日本との外交交渉で発言したことではないから、日本政府として反応することじゃないとかなんとか、あいまいな態度で、はっきり否定しない。多分、そんなもんだ。すると日本政府が公式に否定していないんだから、テロはあったんじゃないか、ということにされてしまう。そうなっても日本政府は、文句をつけないだろう。とくに首相がクレームをつけるとか、外交ルートで釈明を求めたりはせず、それはなにかのマチガイでしょう、わははは、で終わりだ。
その点、スウェーデンは、そういうことをいい加減ではすませない国。自分の立場をはっきりさせる国なのだ。
(3)そもそも、トランプが「昨夜、スウェーデンでテロが起きた」なんてことを、ひとりで発想するわけがない。なんであんなことをいったのか、といえば、トランプのまわりにはいい加減な情報を平気で囁(ささや)くヤツがいるということなのだ。
そうすると、その程度しか国際問題に関心のなかった人間が、なんで大統領になろうと決心したのか、疑問に思えてくる。
答は、神様に選ばれた、という使命感なのだ。
そりゃ、最初は大統領になれるなんて考えていなかっただろう。ところが、ポンポンと事態が順調に進んでいく。すると、やはり俺は選ばれているんだ、と途中から神懸かりになっていった。そしたらオーラが差してきて、それでぐるぐるまわって大統領になったってことだろう。
□佐藤優・監修『地政学から読み解く米中露の戦略』の「第1章 地政学から読み解く米国の戦略」の「トランプ大統領はなぜ、平気でウソをつけるのか? ~フェイクが蔓延しているアメリカ社会~」
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【参考】
「【佐藤優】2050年までに終末が来ると信じる国民がトランプを生んだ」
「【佐藤優】トランプ政権では少数派が多数派になっても発言権が増えない ~そのカラクリ~」
「【佐藤優】トランプの政策はじつは中道 ~大統領に当選した理由~」
「【佐藤優】商売人トランプは儲かる戦争をする ~軍事費1割増は経済政策~」
「【佐藤優】大使館が引っ越すと第三次世界大戦の引き金になる ~地獄の釜の蓋が開く~」
「【佐藤優】トランプを理解する二つ目のカギ ~「イスラエル中心主義」~」
「【佐藤優】トランプを理解するカギ ~彼の信仰、カルヴァン派~」
「【佐藤優】×宮家邦彦/北朝鮮の核問題、ICBM問題にどう向き合うか」