語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】対中国、対イスラーム過激派の論理 ~バチカン世界戦略(3)~

2017年04月16日 | ●佐藤優
 (イスラーム過激派の訴えを見ていると、イスラエルという国は十字軍の再来だという。十字軍の遠征で中東はむちゃくちゃに虐げられた。今こそイスラームの声を上げよう、という勢力が存在する。)
 それは、社会的、経済的な矛盾をそういう壮大な物語によって吸収させてしまおうとするわけだ。その人たちから見ると、イスラエルは最後の十字軍、最後の植民地に見える。だから地上からイスラエルを抹殺する、という論理になっていく。イランのアフマディネジャド大統領は、それを公約にしている。
 これからの国際秩序は、暴力によって物事を変えていくという方向に変わる可能性が非常に高い。それを抑えるために、いろいろな工作をしなければならない。
 〈例〉中国も国際秩序を一方向に変えていこうとしている。中国の論理とイスラーム過激派の論理は似ているところがあるわけだ。尖閣だって、「先に見つけたほうの領土になるというのは帝国主義の論理だーっ。だから日本による尖閣奪取は中国侵略の第一歩だ。だから中国は力でこの状況を変えても構わない」なんていう論理は、イスラームの過激な考えの人と似ている。
 中国の過激な考えの人たちは、「レーザー照射はしていない。(軍艦でレーザー照射をしておいて)照射されたというのは日本がウソをついているのだ、こいつらは昔からウソつきの傾向があるからな」と、盧溝橋とか柳条湖とかそんな話まで持ち出して世界でプロパガンダをやっている。この面倒臭い中国をどうやって封じ込めていくか。これは、イスラームの過激な勢力を封じ込めていくということと同じ課題なのだ。今、世界はそっちに向かって動いている。

□佐藤優「イスラーム過激派に対抗する「バチカン世界戦略」」『佐藤優の10分で読む未来 ~新帝国主義編~』(講談社、2014)
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 【参考】
【佐藤優】教皇の若返りが必要な理由 ~バチカン世界戦略(2)~
【佐藤優】改革派の教皇、保守派の教皇 ~バチカン世界戦略(1)~
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【佐藤優】教皇の若返りが必要な理由 ~バチカン世界戦略(2)~

2017年04月16日 | ●佐藤優
 今の枢機卿のなかから教皇に誰が選ばれるかということについても、実際は誰が選ばれてもあまり変わらない。要するに、ローマ教会というのは代表権を持っている代表取締役社長を兼任している人が一人だけいる。それ以外の執行役員が枢機卿の人たちだが、この人たちに議決権があるわけじゃない。だから、この会長兼社長が年齢とともに弱っていくと活躍できない。すると会社の活動が停滞しちゃう。だから若返りが昼等になるのだ。しかし、ボードはすでに全員が前のローマ教皇系で占められているわけだ。だから誰がなっても一緒なのだ。路線は変わらない。
 それではなぜ、若返りによる組織の引き締めが必要かというと、今、世界でイスラームの力が強くなり過ぎているからだ。ベネディクト16世がローマ教皇になる1年3ヵ月前の2004年に、有名な独逸の社会哲学者ユルゲン・ハーバーマスと討論会をやっている。そこでも、ビン・ラディン以降、神様を信じている人も信じてない人も、ああいう勢力に対して戦っていかねばいけない。その戦い方は、上手にやる。イスラームのなかで対話ができる人たちと対話して、イスラームのなかに亀裂をつくり、われわれ西側文明の影響力を強化していこうと言っている。こうした路線を今後も続ける。そのための若返りだ。それは同時に、西側的な価値観を受け入れない中国に対しても圧力を強めていくということだ。

□佐藤優「イスラーム過激派に対抗する「バチカン世界戦略」」『佐藤優の10分で読む未来 ~新帝国主義編~』(講談社、2014)
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 【参考】
【佐藤優】改革派の教皇、保守派の教皇 ~バチカン世界戦略(1)~

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