Takekida's log

千里の道も一歩から

人工知能はベーシックインカム導入をもたらすか?

2017-10-14 23:29:58 | Books
人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊 (文春新書)
クリエーター情報なし
文藝春秋


 人工知能に実際かかわる研究者や技術者からは懐疑的な面がありますが人工知能自体は世の中を相当変えていく可能性があると思われます。そのインパクトは予想出されているものが実現できれば産業革命に値するものになるでしょう。ただそれには特定の分野での仁子知能ではなく「汎用人工知能」の実現が必要になります。汎用人工知能が人間を超えるのはさらに後の2045年との予想です(いわゆるシンギュラリティ)。はたしてそれが実現するか否かというのは置いておいて2030年に汎用人工知能にめどが立ったとしてその後の世界がマクロ経済学の立場でどのように変わっていくのかという視点で書かれた本です。
 汎用人工知能が実現した場合、段々と人間でしかできないものというのは少なくなってしまうように思います。もちろんコスト的な問題はありますが大きくは創造系の仕事、マネージメントの仕事、もてなしの仕事を除いては生き残らない可能性が高そうです。ということで機会が労働が担うようになると今までの経済の仕組みが変わってきます。労働+機械の資産投入で生産活動をしていたものが機械だけで済むようになるわけです。とすると機械が自己増殖的に資産を生み出してくことが「理論上は」可能になり、これを利用できるか出来ないかが世界を2分するはずになるはずです。さらにこのAIのプラットフォームを牛耳ったところが世界を覇権する可能性が高いです。これは残された仕事を除いては労働が無くなるということで資本主義が新たなステージに立ったことを意味します。
 ちょっと曲論的な話もあるとは思うのですがこういった世界の変化に対応する一つの提案としてベーシックインカム=BIを導入するというのを著者は注目しています。上記のようなAIが支配する世界では機械の所有権というのがイコール資本力になるわけでそれを政府がコントロールしてBIとして分配しましょうという社会主義的な考え方になります。まあこれがあれば生活保護とかも無くなるのである意味は理想なのでしょう。

当方の感覚で言うと半導体のようなかなり自動化が進んでいる工場でもどうしてもオペレーターというのが必要ですし新たな製品の開発に人がいらなくなるというのは想像しがたいです。なので本当にそこまで機械の寡占が進むのかなあとというのが不思議に感じる点です。ですが労働が機会に奪われることを創造した時、人間の生きがい自体も変わってくるように思います。自由な時間が増えても幸せというのは必ず比例するものではないので… 難しい話ですがそれなりに忙しい方が人間は幸せなんだとは思います。

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