「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの算数指導法『特殊算』…『時計算…その1・中学入試問題《跡見学園中学校》』

2009年09月17日 | 学習指導法
速さの特殊算として、旅人算・通過算・流水算の考え方とその教え方を、このブログで以下のように伝授しました。

『特殊算とは』

『旅人算』その1その6

『通過算』その1その5

『流水算』その1その4


今回は速さの特殊算の最後として、「時計算」を数回にわたってその指導法を伝授しましょう。


《時計算とは》

時計算は、時計に関わる全般的な文章題のことで、特に旅人算の考え方を使って解く時計に関する問題を中心に、中学入試問題では、最初の小問として出題されることが多い文章題です。

入試問題では、角速度を使った速さの考え方、分数計算力、時間の単位変換などの学力を、この出題で確認することができます。

「時計算」は、速さの文章題の一つですから、他の速さの文章題と同じく、『旅人算」の考え方を基本に問題を解くことになります。

できることなら、与えられた条件の時計をアバウトに図示して、おおよその数値を理解してから解きます。

時計算の多くは、答えが5分未満の誤差の範囲で、問題を見ただけでおよその答えの範囲が出てきますから、まずそこを押さえておきます。


時計算を解くに当たって押さえておかなければならないポイントは、この文章題が速さの文章題ではあるけれども、速さの表し方が他の問題とは異なるということです。

速さを表す方法として、一般的には単位時間あたりに進む道のりで表しますが、時計の針のような回転する物の速さを表す場合、単位時間あたりに回転する角度でその速さを表します。

そうした表し方を、角速度と言います。

たとえば、時計の長針(分針)は、1時間で360度回転しますから、その分速は、
360(度)÷60=6(度/分)

また、短針(時針)は、1時間で30度回転しますので、その分速は、
360(度)÷60=0.5(度/分)

この角速度は、覚えておきますが、もしも忘れても上の式を使って出せるようにしておきます。

時計算の多くは、この長針と短針の角速度を使い求めます。

では今日は、時計算の初回ですので、その基本的な出題パターンを分類して、指導法を伝授しましょう。



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《時計算の出題パターン》

その1.ある時刻の長針と短針の作る角度を求める。

その2.長針と短針の作る角度を指定して、その角度を作る時刻を求める。

この代表的な出題は、以下のような角度になる場合です。

(1)長針と短針が重なる時刻(両針が作る角度0度)

(2)長針と短針が90度を作る時刻

(3)長針と短針が反対方向に一直線(180度)を作る時刻

その3.時計の進み・遅れに関する問題


では、時計算の出題パターンのその1とその2を含んでいる、この春の跡見学園中学校の入試問題を例に挙げて、家庭で教える問題解法のポイントを伝授しましょう。



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【問題1】跡見学園中学校【5】

時計の針が9時40分をさしています。このとき、次の問いに答えなさい。式または考え方も書きなさい。

(1)長針と短針の作る角のうち、小さい方の角は何度ですか。

(2)9時40分をすぎて、最初に長針と短針がピッタリ重なる時刻は、何時何分ですか。


【ヒント】

(1)は、最も基本的な時刻を指定したときの、長針と短針の作る角度を求める問題です。

きわめて「た~んじゅん」な生徒は、「先生簡単すぎるよ!」

「長い針は40分だから、時計の8のところを指しているし、短い針は9時だから9のところを指しているはずだから、求める答えは、30度!」

「おいおい、君のうちの時計は、9時台の時刻の時に、いつも短針が9の位置を指していて、10時になると、ポ~ンと10の位置に変わる、デジタル時計のような珍しいアナログ時計なのか?」

この問題は、長針の位置が特定できますので、短針の位置だけ計算で求め答えを出します。


(2)は、9時の時刻の時、短針と長針の作る角度は、30×9=270度です。

旅人算で考えれば、速さの遅い短針を、速さの速い長針が追いかけて、追いつく時刻を求める考え方で解きます。

『時計算は、旅人算である』…この考え方が重要!

また、重なる時刻は、短針が9から10の間だけしか動きませんので、9時45分から50分の間の時刻となります。

この様に、時計算では、おおよその答えの時刻をすぐに判定できますので、出てきた答えが正しいかどうかチェックしましょう。



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【問題(1)・解答】

9時40分…長針は8の位置を指しています。

短針は9の位置から、40分だけ幾分回転しています。

この回転した角度は、短針の角速度:毎分0.5度を40倍すれば出ます。

0.5×40=20(度)

よって求める角度は、時計の8と9の間の角度30度に、上で求めた角度をたして求めます。

30+20=50(度)…(1)の答え



ダリアの花


【問題(2)・解答】

時計算の長針と短針の重なる時刻を求める問題は、旅人算の追いつきにかかる時間を求める考え方を使います。

旅人算の追いつきにかかる時間を求める公式は、

(2人の隔たり)÷(2人の速さの差)

この公式に当てはめると、2人の隔たりは270度。

2人の毎分の速さの差は、速い人(長針)毎分6度、遅い人(短針)毎分0.5度ですので、6-0.5=5.5度。

よって求める時刻は、

30×9÷(6-0.5)=270/5.5=49と1/11(分)

9時49と1/11分が答え

この様に、時計算の多くは、答えが分数になります。

また、1/11分を秒に単位変換させる問題も、単位の変換を試すため出題されます。

ちなみにその場合、(1/11)×60=60/11=5と5/11秒、となります。



マテバシイのドングリ
今年は、近所のドングリを研究中…その成果はまたいつか改めて


時計算を旅人算で考えると、比較的簡単に解くことができることが分かったと思います。

次回も、入試問題を取り上げて、時計算についてもう少し詳しく考えてみましょう。


『時計算…その2・中学入試問題《立教新座中学校》』

『時計算…その3・中学入試問題《城北中学校》』

『時計算…その4・中学入試問題《青山学院中等部》』

『時計算…その5・中学入試問題《香蘭・共立》』



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