「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの一問必答(3):整数の組合せに注目して解く

2014年10月21日 | 学習指導法



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 「一問必答」は、「一問一答」に掛けた造語として、今回のシリーズで用います。中学受験した学校に合格するために、ぜひ正解してほしい問題の中で、特に経験的に修得すべき基礎的知識を含む問題を取り上げ、ポイントを解説します。

 今日取り上げる問題は、整数の性質や計算をしっかりと学習している受験生にとって、比較的簡単に解ける問題です。けれども、こうした分野の学習を漠然と行っている子どもにとっては、厄介な問題でもあります。出題が減少傾向だった「数の性質」に関わる問題が、近年は多く出題されています。しっかりと学習しておきましょう。



【今春の入試問題】 (分数の表記は、実際の入試問題と異なります。)

 このシリーズで取り上げる今春の中学入試問題は、私の解答・解説を見ずに、まずは自力で解いてみることをお勧めします。大人には頭の体操になりますし、また受験生は、算数に対する興味や面白さが、倍増するはずです!


1.共立女子中学校

1/100,2/100,3/100,・・・・・・99/100,100/100の中で、約分できない分数は何個ありますか。

2.早稲田中学校

次の式を計算したとき、小数第7位の数はいくつですか。

3/16÷(5×5×5×5×5×5×5)


3.青陵中学校

2,4,5を1回ずつ使ってできる3けたのすべての整数の積は、一の位から0が□個続いて並びます。



【解答と理解しておくべきポイント】

 上の三つの問題とも、整数の性質および数の規則を理解していれば、比較的簡単に解ける問題です。その規則とは、10を素因数分解すると、2×5と表すことができるということです。

4×15でも良いんじゃないですか。
4×15=(2×2)×(3×5)=2×3×(2×5)=6×10=6
このように、10すなわち後ろに0が付くのは、2×5という因数の積あるからです。

 では、今春の共立の問題から考えてみましょう。分数を約分するということは、分母・分子を同じ数で割ることです。それは、分母と分子に共通の因数があるということでもあります。

 分母の100を素因数分解すると、100=2×2×5×5となり、分子に2および5の因数がある場合、約分できることを表しています。

 1から100までの整数で、2の倍数および5の倍数を除いた個数が、求める個数となります。こうした問題は、集合の問題として取り扱われる基本問題でもあります。

 よってベン図を描く(小4で学習)と分かりやすいのですが、2の倍数の個数と5の倍数の個数を加えてしまうと、2と5の公倍数、すなわち10の倍数は2度数えてしまうことになります。例えば、10は2の倍数として1回数え、5の倍数として再び数えてしまうことになります。

よって求める個数は、
1から100までの整数の数-(2の倍数の数+5の倍数の数-10の倍数の数)となります。

2の倍数の数、100÷2=50
5の倍数の数、100÷5=20
10の倍数の数、100÷10=10

よって求める分数の個数は、100-(50+20-10)=40(個)


次は、早稲田中の問題です。問題文に、「次の式を計算したとき~」と書いてあるので、このまま計算するのでしょうか?やはり工夫して解かないと、とんでもないことになりそうです。

与えられた3/16÷(5×5×5×5×5×5×5)の式のわり算の部分は、書き換えれば分母16にかけることになります。
よって、3/16÷(5×5×5×5×5×5×5)=3/16×5×5×5×5×5×5×5

ここで16が2を四個かけた数であることに気づく必要があります。そこで分母を整理すると、
16×5×5×5×5×5×5×5=2×2×2×2×5×5×5×5×5×5×5
=(2×5)×(2×5)×(2×5)×(2×5)×5×5×5
=10×10×10×10×125 (2×5=10はしっかり理解しておく!

このまま計算しても良いのですが、もう少し工夫する力が必要です。
3/10×10×10×10×125
=3×8/10×10×10×10×125×8 (分母・分子に8をかける)
=24/10×10×10×10×1000 (125×8=1000は基本的数値関係
=24/10000000
=0.000002

よって求める小数第7位の数値は、筆算することなくとなります。


最後は、青陵の問題です。
2,4,5を1回ずつ使ってできる3けたのすべての整数の積を考えます。順列の問題ですが、すべての場合の数をもとめる必要はありませんが、今回はすべて求めてみましょう。

小学生は、樹形図を使って小さい順に求めます。
245,254,425,452,524,542の6通りとなります。
この三けたの数値をかけて、0が幾つ並ぶか計算するの?
電卓の持ち込みは、無論できません!
最初の一行題に、そんな時間をかけて良いはずはありません。

この6個の数値をすべて素因数分解して、先ほどから指摘している2×5=10が幾つできるかを考えればよいわけです。ところで、素因数分解すると、2という因数はとても多く出てくることは分かるでしょう。

そこで、2はいっぱいあるのだから、5という因数の数で10が何個できるか分かるということに、気づいたでしょうか。

5の因数が入っている数は、245と425です。
245=5×7×7
425=5×5×17

よって、245×254×425×452×524×542を素因数分解すると、その中に5は3つしか存在しません。

よって、求める0は、一の位から3個続いて並んでいることが分かります。



 今日紹介した問題は、いずれも筆算などやっていたら、とんでもない大きな数値になったり、大変な時間を要することになります。入試問題の最初に出てくる一行題に、そんな時間をかける問題を出題するほど嫌みな学校は、そう多くはありません!

 日頃の計算練習は、自分が電卓と化して答えを出すだけでは、問題があります。もう少し論理的な考えを取り入れて、数値の相互関係を理解しながら、工夫して問題を解くことが必要です。そうした練習をしている受験生にとっては、今日の問題は、有り難くゲットできる問題と言えるでしょう。


【画像】
一番上が、拾った落ち葉。偶然にできたのか、あるいは誰かの作品か?
二番目は、コスモス。
三番目は、セイタカアワダチソウです。どんな場所にも繁茂し、問題ある帰化植物です。

【セイタカアワダチソウ】
 セイタカアワダチソウ(背高泡立草)は、キク科アキノキリンソウ属の多年草である。北アメリカ原産で、日本では切り花用の観賞植物として導入された帰化植物(外来種)であり、ススキなどの在来種と競合する。外来生物法により要注意外来生物に指定されているほか、日本生態学会によって日本の侵略的外来種ワースト100にも選ばれている。


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