「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの時事問題:刺客とテロリスト

2014年12月17日 | 時事随想



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 学生時代、司馬遷の「史記」の中の「刺客列伝」を読んで、胸を熱くしたことがあった。その中でも秦の始皇帝を暗殺しようとした荊軻が、旅立つときに詠んだ、「風瀟々として易水寒し 壮士ひとたび去って、復た還らず」には、魂を揺さぶられるような感動を覚えた。

 力関係に圧倒的な差がある場合、そのトップをねらって行う暗殺は、極めて大きな効果があったことは確かだ。私利私欲を捨て、義に命を懸けた刺客の生き方に、感じるところがあった。「子連れ狼」の大五郎は、その父親を「ちゃんの仕事は 刺客ぞな」と歌っているが、それは金をもらってする殺し屋であって、私が語る刺客などではない。

 赤穂浪士の討ち入りは、その当時の法に照らしても犯罪行為ではあるが、民衆の感情に訴えかける義が存在する。 匕首や刀を持って行ったその当時の刺客行為は、倒すべき対象が一点に絞られていた。

 こうした刺客行為は、見る立場により、その評価は大きく異なる。安重根は、日本においては、初代韓国統監を務めた伊藤博文を暗殺した凶悪な犯罪者であるが、韓国では、抗日義士として英雄視されている。互いに相手をどれほど非難しようとも、一方が妥協して、その隔たりを埋めることはできない話だ。

 太平洋戦争末期、特攻で散った多くの若者の行為にも、胸が熱くなる心情が存在する。けれども、史記に登場する刺客とは異なり、特攻による相手側のダメージは、敵兵というだけで、何十人・何百人、場合によっては何千人という、途方もない規模となる。戦争という非常時での行為ではあるが、明らかに自爆テロの領域に足を一歩踏み入れてしまっている。



 狂信的イスラム教信者によるテロ行為が、世界中で頻発している。ジハードの名の下に、無差別テロが横行している。爆弾・重火器・小銃・機関銃などを使う手口を考慮すれば、その行為は戦争と呼んでよいだろう。

 抑圧される側が、抑圧する側に行うこうしたテロ行為は、宗教対立を根底に、ますますその激しさを増しているようだ。9・11アメリカ同時多発テロが、匕首や刀を持って行った刺客列伝の時代とは大きくかけ離れた、自爆テロを含む無差別殺戮の時代に入った分水嶺だったことを、私たちは後世に知ることになるのだろうか。

 16日、イスラム過激派組織「パキスタン・タリバン運動」のテロリストが、学校を襲撃し、生徒を含む140人をこえる死者を出した報道に、胸が痛くなった。

 この過激派組織は、今年のノーベル平和賞を受賞したパキスタン出身のマララさんを銃撃したテロ集団だ。今回の事件も、マララさんの事件も、私はとてもやりきれない思いだけではなく、強い怒りさえ覚える。

 子供は、人類の未来だろう! 子供は、私たちの夢であり希望だろう! 

 
その子供に銃口を向けた者は、いかなる理由があろうと許されない。罪もない子供の命を断つような行為を行った者には、未来など存在しない。テロ集団の中で英雄視されようが、その者の魂は死して地獄に落ちることを免れない。そして、未来永劫地獄の苦しみから抜け出すことはできないはずだ。これは聖戦などではなく、卑劣な犯罪行為だ。

 こうした行為を、イスラム教の信者こそ声を大にして非難すべきだ。また、すべての人々は、この事件の背景にある、子供の教育・国家間および各国内の経済格差・民族や宗教対立など、世の中の不条理に立ち向かっていく不断の努力が求められている。





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4 コメント

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信念は新年の夢か (tsuguo-kodera)
2014-12-18 05:52:57
 管理人様を尊敬しています。蛍の光以来、あまり厳しき記事はありませんでしたが、この記事で改めて熱い心を感じました。
 しかし、テロに対応する手法は難しいし、そのような行為をする人を説得することは不可能かもしれません。少なくとも私にはできないし、しようとも思えません。
 その前提で、だからこそ文化の衝突ではなく文明の衝突であり、子供たちに生きる力、金をそのために稼ぐ力を与えたい。目的があり手段としての事業の手法の基礎を身に着けさせてやりたいのです。心身ともに。
 私は無力ですが、夢だけは大きく保っています。良いお年を念じています。
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Unknown (藤村眞樹子)
2014-12-23 21:24:16
寒いときに熱い記事をありがとうございます。

イスラム国に資金を提供したところとか、兵器を提供しているところが気になっております。
イスラムの分断を画策しているのではないか、とか考えてしまいますね。
分断して身内同士の戦争へと誘導しようとする力は常にあちこちにあるようです。
日本も震災復興などを考えると北と南に分断されつつあるのではないか、と思う時があります。
というか明治維新のころの分断のしこりがまだ続いているのかもしれません。
何とか日本および東アジアのしこりをほぐして、イスラム国へのメッセ―ジとしたいものです。
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Unknown (メゾフォルテ)
2015-01-11 11:45:52
昨年12月にフランス空軍が核使用の訓練の様子を公開しているのを知り、フランスにも何か声をあげたいような気がしております。
テロが許せないということで核が使われることが許せるかどうか。

また、フランスがかつてしてきた工作を今はどこかにされている
ということでもあるのかと勘繰ったりしております。
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Unknown (藤村眞樹子)
2015-01-14 19:31:48
また、核ミサイルの訓練ということで、ついつい焦ってメゾフォルテと書いてしまいました(汗

落ちついて考えてみると、フランス空軍のパイロットがはっきり理知的な顔を見せています。
あの顔は、使いたくないという意思が感じられる気がするんですけれどもね。
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