「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの一問必答(8):慶應中等部の図形問題

2015年01月20日 | 学習指導法



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 「一問必答」は、「一問一答」に掛けた造語として、今回のシリーズで用います。中学受験した学校に合格するために、ぜひ正解してほしい問題の中で、特に経験的に修得すべき基礎的知識を含む26年度の問題を取り上げ、ポイントを解説します。

 しばらく数量系の問題を中心にピックアップしてきましたが、図形に関する問題にも、経験的知識を必要とする問題がいくつか存在します。そうした問題を中心に、今度は図形関連問題を取り上げ解説していきましょう。


【今春の入試問題】 (分数の表記は、実際の入試問題と異なります。)

 慶応中等部の問題は、学校の難易度に比べ解き易い問題が多いので、慶応中等部に合格するためには、点数差が少ない分、その後の面接が重要となると言えるでしょう。慶応中等部を受験した子どもたちの多くは、テスト後、その出来を自己採点して、「先生、合格したよ!」といった反応を示すほど、比較的出来の良い答案を書くことができます。

 慶応中等部の26年度の算数は、問1が計算4題、問2が小問4題、問3は図形の小問4題、その後4つの大問4題で構成されています。今日取り上げる図形3題は、問3の小問のうちの3題です。

 これらは、入試問題としては、基本的ワンパターン問題と言えますが、今回のテーマ「経験的知識が必要な問題」でもあり、知らないと解くのに苦しい問題です。この出題内容を勘案すると、この問題の出題者は、比較的若手で、中学入試問題を分析してその奥深さを知り始めた数学教師であると、推測できます。

3.(2)

[図1]は、正方形と半円と、中心角が90°のおうぎ形を組み合わせたものです。角Xの大きさは□°です。


                           [図1]

3.(3)

周りの長さが26cmで、最も長い辺の長さが12cmの同じ直角三角形8つを、[図2]のように並べました。色のついた部分の面積は□平方cmです。


                           [図2]

3.(4)

[図3]のように、半径が18cmの半円を、まっすぐな線で2つの部分に分けました。色のついた部分の面積は□.□平方cmです。



                            [図3]

 このシリーズで取り上げる今春の中学入試問題は、私が作成した解説および解答を見ずに、まずは自力で解いてみることをお勧めします。大人には頭の体操になりますし、また受験生は、算数に対する興味や面白さが、倍増するはずです!


【解答と理解しておくべきポイント】

 この問題は、うまく補助線を引けるかどうかが決め手となります。中学数学でも補助線を引くことにより、解決の糸口とする問題は多いのですが、その線を引けるかどうかは、「図形的センス」と考える教師は多いはずです。しかし、今回のテーマである経験的に修得すべき基礎的知識」が重要であって、日頃の学習経験が活用できる知識にまで高められているかどうかが問題だと私は考えています。教師は体系的に教えること、生徒は分析的に考えることが重要です。

まず3.(2)の解答です。
父母の皆さんで、私のこの解法を見ずに正解した方は、Very Good! まず、この問題は、点Aから点Eと、点Bから点Eに補助線を引きます。すると三角形ABEと三角形AEDができますが、いずれも2辺が同じ円の半径となっていますので二等辺三角形です。

補助線を引くことによって、気付かなかったものが見えてくる!

2つの二等辺三角形の低角を図のように、それぞれa度と
b度とすると、以下のことが分かります。
四角形ABEDの内角の和は360度で、角DABは90度ですので、
a×2+b×2+90=360
a+b)×2=270
a+b=135

また、直径BCの上の角(円周角)は90度ですので、求めるXの角度は、
360-(135+90)=135(度)


                              [図4]

次に、3.(3)の解答です。
この問題は、比較的簡単な問題で、解き方に気付く受験生は多かったと思われます。条件から、下のように長さを表すことができます。すると一番大きな正方形から2番目に大きな正方形を引くと、直角二等辺三角形4つ分の面積を出すことができます。

14×14=196
12×12=144
196-144=52

下の図から、2番目に大きな正方形から4つの直角二等辺三角形を引くことにより、求める一番小さな正方形の面積を求めることができます。

144-52=92(平方cm)


                              [図5]

最後は、3.(4)の解答です。
この問題を出題すると、半円から中心角15度のおうぎ形を引く生徒をよく見かけます。中心角15度のおうぎ形に見える図形は、よく考えるとそうではないことが分かるはず。同じ長さの半径2つと弧に囲まれた図形がおうぎ形なので、この場合2辺の長さが等しくないことは一目瞭然。

この問題は、色を塗った部分(弓形)を含むおうぎ形から、低角15度の二等辺三角形を引くことにより求めます。問題は低角が15度の二等辺三角形の面積を求めることができるかどうかです。これは、実は基本事項です。

下の図の斜線部分の直角三角形は、角が30度・60度・90度の特別な三角形です。三角定規にもなっていて、中3の三平方、高1・2の三角比・三角関数にも登場する三角形です。

この直角三角形の斜辺と一番長い辺の長さの比は、2:1であることは、小学4年で知っていなければなりません。斜辺はこの円の半径18cmですので、最も短い辺の長さは9cmです。

おうぎ形の面積から引く二等辺三角形の高さは、いま求めた直角三角形の一番短い辺の9cmです。よって求める面積は、

18×18×3.14×150/360-18×9÷2
=423.9-81
342.9(平方cm)


                              [図6]

 次回は入試頻出問題であり、学校でも小学4年で学習する二等辺三角形の性質を使って解く問題について取り上げ分析してみましょう。


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