ブログ人気投票にクリックいただけると幸いです!
いよいよ都内中学入試が今朝からスタートしました。本人も父母も緊張した朝を迎えたことでしょう。今までの努力を自信に、力いっぱい頑張ってください。今朝は、公立中学校に出向き、中3受験生の数学指導を2コマ行いました。都立推薦入試の結果発表があり、都立志望の公立中学の生徒たちも、受験に突入した感があります。夕刻から、今日の入試の結果が、ネットを活用して次々と発表されました。今日の教室の中学入試結果は、大変良い出来でした。明日も期待したいと思います。
さて、大変忙しい日々の今日この頃ですが、私のこのブログに「あるコメント」を頂きました。この件に関し、私の考えを述べることにうんざりするほど、もうすでに私の考えを明確にこのブログを使い述べています。興味ある方は、一番下に載せますので御覧ください。今回コメントをされた方は、「子どもを持つ親の立場の者」ということでしたので、このコメントに再び応えたいと思います。
【いただいたコメントの内容】
はじめて書き込みさせていただきます。
子どもを持つ親の立場の者です。
かけ算の順序についてです。
http://blog.goo.ne.jp/hps_tokyo/e/da0ebdcf67d59feaf04391460b1b4f4a
の記事を読ませていただきましたところ、マッキー様は
>「かけ算の順序に拘る教え方をする人、及びそれを擁護する人」という
>対象を示す言い回しは正確ではなく、「考え方を式にしっかりと表すこ
>とを指導する教師」と「答えが出せれば式の表記はどうでも良いと考え
>る教師」との対比で表すべきで、「かけ算の順序」という焦点をぼかし
>た言い回しは避けなければなりません。
と仰っておられますので、
「考え方を式にしっかりと表す → 正しい順序の式を書く」
というお考えなのだと理解しました。
さて、ここで質問がございます。
【質問】
2008年10月06日の記事の中で、
「1.5㎞ を m に直す」という換算を
1.5×1000=1500
としておられます。
ここを、児童が
1000×1.5=1500
と書いたら、そちらの教室では バツ 又は
「考え方を式にしっかりと表わせていない」
と判断されるのでしょうか?
よろしくお願いします。
【コメントに応える】
取り上げているのは、1.5km=( )mという単位変換の問題です。
この単位変換を行う場合、まず1kmが何mかを知らなければなりません。1km=100mと答える児童は、例外的な子どもではありません。「では、運動会で《100m競走》と言う代わりに、《1km競走》と言い換えても言い訳ですね。」そう問われて、ちょっとおかしいなと気付くようなことは、公立小学校では稀なことではありません。7年間複数の公立小学校で指導した経験から、お話ししています。
メートル法は、基本的に3ケタで単位が変わります。1km=1000m、1m=1000mmといった具合です。ですから、km単位の数値を、m単位の数値に変換する場合、1000倍すれば良いことが理解できるでしょう。
ですから、1.5(km)という数値を1000倍して、1500mとする考え方が無難です。式であらわせば、1.5×1000=1500(m)となります。
もう一つの考え方は、1000m=1kmを基準にします。1.5kmは1kmの1.5倍と考えます。すると、1kmと等しい数値の1000mの1.5倍が、1.5kmと均しいことが分かります。そこで、1000(m)×1.5(倍)=1500(m)と変換しても、自分の考え方が説明できるなら、問題なく正解です。
ただし説明を付け加えるなら、1.5kmをmに単位変換する場合は1000倍して1500mと答えを出し、1500mをkmに単位変換する場合は1000で割ってやって1.5kmと答えを出す教え方の方が、理解しやすさからすれば優れた教え方です。
実際に公立学校で教えていると、「150mは何kmですか。」または「0.15kmは何mですか。」という問に対して、1000倍するのか、1000で割るのか、そのことさえなかなか理解していない子どもが多いのです。
kmをmのように、小さな単位にすると、数値は大きくなります。逆にmをkmのように、大きな単位に変換すると、数値は小さくなります。この大原則さえも、分かっていないのです。そこで、こうした生徒に対しては、「君の身長は?」と聞きます。すると児童は、「150cmです。」と応えます。では、君の身長は何mですかという問をすかさずします。「1.5mです。」
自分の身長は、cm単位で言えば150cmですし、mの単位にすれば1.5mとなります。このような身の回りの例を示して、上で示した単位変換の原則(小さな単位にすると数値は大きくなり、逆に大きな単位に変換すると数値は小さくなる)を教えなければならないのが現状であることを、ご覧の方はご理解いただけるでしょうか。そのことを前提で、私の話をお聞きください。
もう一つ例を挙げると、1ha=10000平方mですが、この変換を子どもに丸暗記させてはいけません。1平方kmは一辺がkmの正方形の面積、1haは一辺が100mの正方形の面積、1aは一辺が10mの正方形の面積、1平方mは一辺が1mの正方形の面積、1平方cmは一辺が1cmの正方形の面積です。すなわち、1haと1aの正方形の一辺を覚えていれば、面積の単位変換が可能であることが分かるでしょう。
私は、単位変換に関しても、その考え方を子どもに言わせて、日頃練習させます。「1haは、(一辺が100mの正方形だから)100×100で、10000平方mです。」……といった風に答えさせます。ですから、自然と「1ha=10000平方m」という式がまず浮かぶはずです。決して「10000平方m=1ha」ではないのです。
この流れから、「1.5haは何平方mですか。」という問に対しては、
1.5×10000=15000平方mが、考え方の流れからすれば自然です。
また、「15000平方mは何haですか。」という問には、
15000÷10000=1.5haと答えを出します。
子どもは、10000倍するのか10000で割るのかに神経を集中できるのです。
かつて、「5箱があって、それぞれに10個のクッキーが入っている。クッキーの総数は?」という問をある方が設定して、「私は5が10個分と自然に思い浮かびます」とおっしゃっていいました。
簡単に言えば、「あなたがこの設問で浮かんがことを、私は聞いているのではない。算数の道具箱の教材を手を使って用いながら、考える力を身に付けようとする小学校低学年の子どもたちに、如何に分かり易く教えるか。そしてどう教えたら考えを深めることができるのか。そこだけが重要なのだ。」……私は、そういう方に対して、このように言いたいのです。常に教えている時に、センサーを最大限活用して、子どもたちの反応を読み取っている教師なら、このように曖昧な考え方でこの問題を捉えることは決してありません。
単位の入った式は、小学生にとって、考え方を整理するのに役立ちますが、5箱×10倍=50個では意味不明です。10個×5箱分(倍)=50個が自然な考え方で、自分で書いた式を他の人に説明できなければ、考えは深まりません。
中学1年では、円周を求める公式を、S=2πr(2パイアール)と教えます。だからといって、小学生に、2を3.14倍してそこに半径をかけると円周が出ますとは教えません。文字式は、途中の考え方を無視して、文字式の決まり、数値・円周率・アルファベットの順に表記します。それをそのまま、上記のようには子どもに決して教えないのです。
それどころか、習熟度の低い中1に対して、小学生の指導に戻って、半径を2倍して直径を出し、その直径を円周率倍して円周を求めることを教えて式を書かせ、その後文字式のルールで表記し直させるといった指導も多いと思われます。
以前私が批判したネット評論家や、好んでこのような話題をネットで論戦している人たちの多くが、実際の児童・生徒を指導した経験を持っていないことが多いようです。現場の真面目な教師の努力を無にするようなクレーマー的な批判が多すぎるように私には思われます。
今回コメントを頂いた「子どもを持つ親の立場の者」に申し上げたいことは、お子さんの算数・数学のノートには、考え方の道筋をしっかりと書くことをアドバイスしてあげてください。日頃の学習は、答えを出すことが目的ではなく、論理的に考えていく訓練であり、それは他の人に自分が書いた式を基に考えを説明できるような学習であることに留意してください。
以下の内容は、今回のブログに関連して、かつて綴った文章です。興味ある方は、ご覧下さい。
マッキーの教育論:ネット評論家の無責任な教育論
マッキーの算数指導法:式のたて方のコメントに応える
マッキーの算数指導法:式のたて方のコメントに応える(2)
マッキーの算数指導法:式のたて方のコメントに応える(3)