2月21日、佐世保市上下水道事業経営検討委員会による、
2回目の石木ダム事業の再評価がおこなわれました。
開始直前、水道局職員が配置につきました。
傍聴席に向かって「お静かに願います」という無言のメッセージを発信しながら。
持たされている方も恥ずかしそうでした。
今日は静かでしたよ。
傍聴者も、もうヤジを飛ばす意味さえ感じなくなったからでしょう。
今回、中身に対してきちんと質問や意見を述べていたのは主に3人だけ。
一言も発言されなかった方もいて…。
質問なさった方々も、どれだけ事前に資料を読み込んでおられたか…
疑問です。
例えば、水道局は自ら用意した14の代替案をことごとく「適さない」として却下。
唯一石木ダムと比較検討できるのは海水淡水化施設だけだと断じました。
それに対して、「佐世保はため池が多いと聞きますが、活用できないのですか」
と質した委員がいました。
しかし、水道局が、「集水面積が小さい」とか「貯水量も少ない」ので可能性がないと答えると、
それで了解してしまいました。
しかし、資料の<ため池の一覧>を見てください。
郷美谷池の有効貯水量は、420,000㎥と書かれています。
これで少ないですか?転石ダムの倍近い量ですよ。相当ダムよりも多いです。
そこをどなたも突っ込まないのは、きっとご存知ないからでしょう。
また、佐々川の利水の転用についての質問もありました。
「うわさの範囲ですが、相浦発電所は水利権を持っているがあまり使ってないと聞きます。
ほんとのところはどうなんでしょうか?」と。
それに対し水道局が、
「相浦発電所に確認したところ、一日最大取水量は4,800トンで、
東日本大震災以降、エネルギー転換の影響で使用水量が2倍ほどに増えているとのことであります」
と答えると、委員は納得し、次の質問に移りました。
4,800トンというのは、水利権として持っている一日最大の取水量で、
実際の取水量ではないのです。
実際にどれだけ取っているかを聞くべきで、
そこに大きな余裕があれば転用の余地が生まれるわけですが、
そこの確認が全くなされませんでした。
私たちが以前入手した資料では、ほとんど使われていませんでした。
また、費用対効果の分析においては、
なぜこんなに便益額が大きくなるのかという質問さえありませんでした。
既存水源能力を77,000㎥に設定しているからで、
なぜここを現状の105,500㎥にしないのか?
つまり不安定水源もカウントすれば便益額はどうなるのか?
そうしたら費用便益比はどうなるのか?
追求すべきでしたが、何もなされませんでした。
不安定水源の慣行水利権を石木ダムと引き換えに返上するなら、
それこそ佐世保市民にとって大きな損失です。
ダムは年数が経てば、土砂が堆積して、老朽化して、いつかは使えなくなりますが、
川の水は半永久的に流れ続けます。
せっかく持っている水利権を自ら手放すのは、大きな大きな過ちです。
今回の資料を見て、それに気づく委員が一人もいなかったのは、残念でしかたありません。
それとも、気づいていても黙っていたのでしょうか?
なぜ?
しかし、今回は最後に、評価すべきことがありました。
まず、副委員長の発言です。
「私たち経営検討委員会がみてきたのは、
水道局の事業に関して出されている数字が正しいかどうかということであり、
その数字を承認したとしても、
石木ダムを市としてどうするかというのは、この委員会を超える問題だと思う。
経営検討委員会は水を提供する水道局の側の視点であり、
水を使う側の部署、都市計画とか、観光とか、環境、米軍と自衛隊など、
それらを横断する第三者委員会を設け、そこで審議すべきだと思う」
というような意味の発言をされ、
委員長もこれは重要な意見だとして賛同されました。
また委員長は、ご自身が持参された「水資源の海上備蓄」案を是非検討して欲しい、
漏水の減少にも是非努めてほしいなどとの注文もつけていました。
これらの意見をきっちり意見書としてまとめてくださることを心から願い、
期待しています。