石木川まもり隊

石木川を守ること  それは里山を守ること  それは海を守ること  それは未来を守ること  
ここにダムは要りません

荒瀬ダムと球磨川

2012年04月05日 | 他ダムのこと

荒瀬ダム撤去記念イベント“荒瀬で遊ぼう”当日。

前日に続きいい天気!

土手の上の桜も満開!

人々は何を見ているのでしょう?

河原でもみんな何かを見つめています。

その視線の先にあるものは…

カヌーレース?

いえいえ、河童レースです。

川面に浮かぶ黄色の小さな点々が見えますか?

あれは河童の人形。

これです。

河童レースのチケットを買うと、そこには番号が印字されていて、

この河童ちゃんたちの足の裏にも番号が貼ってあります。

ゴールインした順番にその番号が記録され、午後からの表彰式で発表。

たくさんの賞品が用意されていました。

河原には、こんな河童さんもいて、子どもたちの人気者。

会場の一角に展示された作品もお見事でした。

 

たくさんの河童たちが、ありがとう!と言ってます。

「荒瀬ダム」ではなく「荒瀬無駄」撤去工事が始まるのを歓迎しています。

一体一体、形も表情も違う河童たち…すごい!可愛い!面白い!

式典が終わると、昨夜に続いて、今日もあちこちから美味しそうな匂いが…

 

河童レース終了後、夫と私は車で上流へ向かいました。

初めて見る球磨川をもっと知りたくて…。

やはり、上流の球磨川は青かった!

それにしても大きいなぁ。佐世保の川とは大違い。

運良く、橋を渡るSLにも遭遇!

流域にはたくさんの桜が、春を謳歌するように咲いていました。

この辺は流れが速いな~と思っていたら、急流下りの船がやってきました。

乗ってみたかったけど時間がなくて・・・残念!

 

急いで会場に戻り、熊本名物の「だご汁」の昼食を食べ、いよいよエコツアーに出発。

「自然観察くまもと」の皆さんのご案内で、瀬戸石ダムから球磨川を下って行きました。

 

これが瀬戸石ダム。

荒瀬ダムの上流7kmほどのところにあるダムで、やはり水力発電用のダムです。

魚がのぼりやすい魚道が整備されていると

「ダム便覧」には書かれていますが、

この魚道が親アユの降下を阻害していると

専門家は指摘しています。

 

 

 

こちらは荒瀬ダム。

ゲートは昨年から全開。水の色が瀬戸石ダムとは全然違います。

 

荒瀬ダムの魚道はこちら。

つづら折りのなんとも長い道のりです。

これらのダムができてから、アユが激減、当然釣り客も激減しました。

ダムができると観光客が増えますよ~との説明を真に受け、

保証金でりっぱな旅館を建てたけれど、実際は真逆。

旅館業は成り立たず、ただの住居になってしまったというお宅です。

 

しばらく下流に向かうと見えてきたのが「遥拝堰」(ようはいぜき)

歴史のあるりっぱな堰ですが、高橋先生によると、ここの魚道は最悪だそうです。

魚が魚道に辿り着けない無意味な魚道だとか。

漁協の人もそう言ってました。

 

こちらは、さらにその下流にある「球磨川堰」

ここの魚道にはアユがたくさん遡上していました。

 

上段の右側黒い部分はアユの稚魚の群れです。

この稚魚をネットの中に誘導し、掬いあげ…

車に乗せて、球磨川上流へ放流するんだそうです。

詳しい作業の様子と、アユたちのその後については、こちらのサイトをご覧ください。

http://kumagawa-yatusirokai.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/1-1ebc.html

 

そういう努力の結果、なんとか今でも球磨川でアユ釣りができるのでしょうが…

でも、それでいいのでしょうか?

稚アユたちは、苦労せずに(楽しまずに)川の上流に辿り着いていいのでしょうか?

人間によって運ばれたり、孵化させられたり、そうして生きているアユが

「天然アユ」なのです。

 

高橋先生がおっしゃっていた「野生のアユ」の意味がやっと理解できました。

 

かつての美しい流れの中で、生まれ育ち、川と海を自力で行き来する…

そんな日が訪れたら、アユたちはどんなに幸せでしょう。

それはまた、人間の幸せにも繋がると思うのですが…