伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

いわき市立美術館のゲゲゲの鬼太郎を見てきた

2022年08月21日 | イベント
 水木しげるというと、NHKの連続ドラマの「ゲゲゲの女房」を思い出す。
 子どもの頃から絵画に才能を発揮しながら、出征で南方戦線に派遣され敵軍の攻撃で左腕を失い、復員後に神戸で紙芝居の絵を描き、その後、東京に出て貸本で漫画を描きながら、やがて人気作家になっていった。ゲゲゲの鬼太郎は、子どもの頃・・どの程度の年齢だったかは定かではないが、テレビで見た記憶がうっすらとある。

 また、NHK連続テレビ小説の「ゲゲゲの女房」で、奥様の視点からであるがその生き様が描かれていた。ドラマに描かれた範囲ではあるが、水木氏の人となりは少し知識があったが、展示を通じて、その人となりの理解を広げることができたような気がする。

 展示会場入り口のロビーでは、ゲゲゲの鬼太郎の仲間の像が出迎える。中に入ると、水木氏の絵との出会いや戦争体験、日本に帰って紙芝居を書き後に貸本漫画家になったものの極貧生活が続き、「テレビ君」で人気作家に仲間入りして、ゲゲゲの鬼太郎や河童の三平、また戦記物の作品の原画の作品が次々と紹介されていた。

 水木氏の作品では背景が細かく丁寧に書かれているが、制作過程の紹介で、それらの背景は時間があるときに描いておき、切り取ってコマに貼り付けて使用していたと紹介されていた。その制作課程には少し驚きを感じた。また、漫画等の作品では、よくスクリーントーンが使われている。しかし、水木氏の作品では影などにつける線はスクリーントーンではなく手書きで、点描も手書きで描かれているようだった。たぶん後期の作品だろうが、原画にスクリーントーンと思しき描写もあったが、大概の作品は全て手書きのようだった。その描写力と技術は感動的ですらあった。

 水木氏と言えばゲゲゲの鬼太郎など妖怪物を思い起こすが、戦記物もいくつか読んだことがある。戦争という悲惨な体験を描いている。「総員玉砕せよ」という作品は、自分の従軍体験をもとに部隊の戦友の死や生き残った者に対する非常な軍の対応が描かれている。現実の戦争のむちゃくちゃさが伝わってくるが、同時に、キャラクターのせいもあるのかもしれないが、どこかひょうひょうとしたユニークな印象も漂ってくるのは不思議だった。

 会場の入り口では、ゲゲゲの鬼太郎と仲間達の像が観覧脚を迎え、観覧を終えた客を見送っていた。



 見応えのある作品展だったが、終了した。機会があれば、また観覧したいと思う。 


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