hiroMAXのフォトダイアリー

hiroMAXが、毎日写真を撮りながら思ったことを発信する日記です。

7/8 『火車』

2006-07-08 20:32:00 | BOOK
宮部みゆきの『火車』を読んだ。

以前から、いろいろな友人に
「イチ押しの本って何?」
と聞くと、かなりの確率で帰って来る
「やっぱり火車だよ」
という答え。

かなりの期待を持って読んだ。

読み進めて行けば行くほど、悲しい本だった。

そしてそれは、誰の身にも降りかかるかも知れない禍いだと思った。

人が一人生きて行く背景には、複雑な環境や事情があり、
そこから生み出された人間性も本当に複雑だ。

ある一方では、とても知的で慎ましく、一緒に居て安らげる一面を持ちながら、
ある一方では、ゾッとするような残酷さを持ち合わせる…。

自分の置かれた過酷な運命を生き抜くために、そんな人格が形成される。

誰が悪い…そんなレベルの話ではない。

「『普通の生活』がしたいだけ…別にそれ以上を望んでいるわけではないのに…。」
そんな声が聞こえてきそうだった。

「決して許されないこと」を普通の生活を手に入れるために…。

「救いのない悲しみ」という文字が胸いっぱいに広がってくる…そんな本だった。



最新の画像もっと見る