Dancing on the B-Road

サッカー中心だけどスポーツ全般。クルマやバイクも。好奇心の向くがままにツレヅレに、を目標にしております。

速いことと強いこと。

2012-07-30 20:01:05 | レーシング版雑記
難しいところなんですよね。


 速いだけでは強い,と評価されない可能性が高いのだけど,では強さと速さは両立しないのか,となると,そんなこともないのですよね。(どの程度の速さが必要なのか,という難しさがあるのだけど)速さがないと強さを導けない,というのも確かだと思うのです。要はバランスではあるのですが,このバランスをどれだけ高い位置でとり続けられるのか,が強さなのかな,と。


 この難しさを実感させられるのが,7月最終週の鈴鹿なのです。今回は,前回扱ったヤマハの話を書いていこう,と思います。


 今回ヤマハは鈴鹿8耐にあたって,チームを「実質的なファクトリー」に組み替えてきました。速さを絶対的な武器としよう,としたわけです。このアプローチ,決して否定されるべきではない,と思っています。けれど,速さと強さがイコールにはならない,ということが図らずもこのチームに降りかかるのです。


 130Rでのスリップダウン,であります。


 鈴鹿でもかなりの高速コーナ,ここでのスリップダウンですから,マシンへのダメージも相当だったか,と思いますが,何とかマシンはピットへと戻ります。ピットで修復を受けたマシンは再びコースへと戻りますが,残念ながらマシンの状態が戻りきらず,リタイアということになったのです。


 鈴鹿8耐はスプリント色を強めているとはいいながら,やはり耐久としての側面を強く持っています。マージンをギリギリまで削って,というやり方をしてしまうと,マージンを超えてしまう可能性を抱えることにもなる,と思うのです。手堅く,というのもまた難しいのですが,相手との差を冷静に見ながら,どこまでマージンを残す(あるいは削る)のか,ライダーのいきたい気持ちを抑え,あるいは後押しするのか。この部分で,チームとしてのチカラが試されてしまうようには思うのです。


 個人的には,ちょっと期待していたチームだけに,こういうリタイアという結果は残念な思いもするのですが,これも鈴鹿の持っている,厳しい側面なのだと思ってもいます。

体制再強化かも、のヤマハ。

2012-07-24 21:10:29 | レーシング版雑記
ワークス体制で,という時代ではないですけどね。


 でも,ちょっとばかり縮小しすぎたような印象もあるのです。
 せめて,もうちょっと分かりやすい側面支援であったなら,と思うのですね。
 何しろ,いいマシンを持っているわけですから。


 ということをだれあろう,中のひとたちも思っていたのでしょうね。


 ヤマハさんの特設ページをもとに,例年取り扱っております鈴鹿8耐の話などを書いていこう,と思います。


 さて。特設ページで最も扱いが大きいのが,モンスター・エナジーをスポンサーとする,YARTであります。このチーム,ヤマハ・オーストリアがオペレートする,耐久選手権を戦うチームなのであります。ではあるのですが,恐らく「鈴鹿仕様」のチーム編成になっているようです。ライダーを見ると芳賀選手に中須賀選手と,ヤマハ・オーストリアの主戦ライダーとは違います。さらに,トミー・ヒル選手はBSB(英国スーパーバイク選手権)でチャンピオンとなったライダーです。となると,ひさびさに「実質的なファクトリー・マシン」がヤマハのパドックに戻ってきた,ということになりそうです。


 ちょっとばかり,昨年の話をしますと。


 R1はWSBであったり,BSBではかなりの存在感を見せていたように記憶しています。不等間隔爆発のエンジンを搭載することで,使いやすさと高出力を両立させる,ヤマハのアイディアがレーシングな世界でも威力を発揮していたように見ていたわけです。けれど,鈴鹿に関してだけ言えば,思うほどの体制を整えてはいませんでした。いわゆる,経営環境の厳しさが,参戦体制に大きな影を落としてしまっていたわけです。タマとしてはパワフルなタマを持っているはずなのに,そのタマを存分に活かせる体制にしきれなかった。そんな印象があっただけに,今季はその環境を整えられることを望んでいたわけです。


 そして,今季はかなり強力な体制を用意してきたな,と。


 FIM世界耐久選手権を戦うチーム,という意味で言うならば,ヤマハ・フランスのチームも決して勝負権がない,とは言えないチームでしょう。個人的には,ヤマハはこの2つのチームが勝負権を持っている,ような気がします。

水戸岡さんのことなど。

2012-07-19 19:34:31 | ゲージュツ的雑記
デザインにこだわった列車,と言えば。


 恐らく,いろいろな答えが出てくるかな,と思います。
 かつてのロマンスカーもなかなかの好デザインだったように思いますし,「カッコいい」という言葉がそのまま当てはまるかな,となると議論もありましょうが,なラピートもデザインに対するこだわりは相当です。


 しかし。デザインを武器にしている,となるとちょっと見方は違うかな,と思うのです。九州でデザインにこだわった列車を投入している,JR九州であります。このJR九州の列車を担当しておられるのが,水戸岡さんなのであります。今回はそんな話など。


 まず,ちょっとばかりウィキさんを眺めてみました。


 あくまでも個人的な印象ですが,ピニンファリーナさんのようです。扱う範囲がヒジョーに広いのですね。JR九州や両備グループのデザイン顧問をしていたり,電車をメインに扱われるひとなのかな,と思うと,建築デザインも手掛けられています。最も分かりやすかったのが,スーパーアリーナです。あのデザインを担当されていたのが,水戸岡さんだったのです。


 ピニンファリーナ,と聞くと,多くのひとはクルマのデザインを主な業務とする会社,カロッツェリアだとイメージされると思います。確かにその通りで,フェラーリとの関係は一般に知られるところです。でも,クルマのデザイン「だけ」をしているわけではありませんで,たとえばイタリア国鉄の特急列車のデザインをしていたり,文房具などのデザインなども手掛けています。同じ,と言いますか,よく似ているように思うのですね。


 デザインが,大きな武器になる。


 そんな意識を,明確に持っている会社はいまにあってもそんなに多くないかな,と思うところがあります。むしろ,機能面を徹底的にブラッシュアップすることを選ぶ,そんな会社が圧倒的に多かったし,いまもこの考え方を持っている会社が多いのではないでしょうか。技術的な要素に進化の可能性が多かった時期は,確かに機能主義的な発想もあり得ること,だったかも知れません。しかし,技術的に熟成が深まって,なかなか他社製品との差別化が図れない,となったときに,何を訴求要因とするのか,と。


 ここで浮かび上がるのが,デザインではないかな,と思うのですね。


 JR九州は,決してモノをつくる会社ではありません。
 でも,デザインに徹底的にこだわった。
 外側のデザインにもこだわり,そしてお客さまの目に触れ,実際に座ることになる内側のデザインに徹底的にこだわった。いままでの電車なり列車,その内側に使われてきた素材,あるいは生地にしばられるのではなくて,お客さまをもてなす雰囲気をつくる。その流れを決定的にしたのが,水戸岡さんなのかな,と思うのです。


 デザインは添え物ではなくて,やはり武器。そんなことを証明してくれているように思いますし,であるならば,水戸岡さんに続くひとが出てきてほしい,と思っています。

76年ぶりの快挙、ならず。

2012-07-09 22:06:58 | スポーツ版雑記
期待感を持たせる,そんな第1セットでしたけどね。


 その期待感,第2セットの立ち上がりで不安感になったのも確かです。やはり,経験が違うな,と思わせるものがあったし,修正能力も相変わらず,でしたし。


 ウィンブルドン,その決勝戦のお話しであります。


 決勝戦への切符をつかんだのは,ロジャー・フェデラーにアンディ・マレー。76年ぶり,というのは当然,フェデラーではなくてマレーのことであります。確かに言われてみれば,なのですが,なかなかブリティッシュが決勝戦にまで進出することができていなかったのであります。私がロンドンに住んでいたときのブリティッシュ・ナンバーワンはティム・ヘンマンで,彼に対する期待感も相当なものだったのですが,やはりなかなかウィンブルドンでは結果を出せなかった。その壁を破って決勝戦へと上がってきたのが,マレーだったわけです。


 となりますと,センターコートの期待感というのも相当で。


 スペインの方がこの試合の主審をされていたのですが,「ご静粛に願います。」というアナウンスが結構聞こえていましたですな。それだけの期待感だったと思うわけですが,第1セットについてはその期待感に応える戦いぶりだったな,と。とにかく,フェデラーが仕掛けるよりも速く,自分から仕掛けていこうという姿勢がしっかりと見えて,その姿勢が結果につながったように見えます。


 けれど,フェデラーはやはりフェデラーでした。


 第2セットの立ち上がり,第1セットではズレがなかなか解消できなかったり,ちょっとらしくないミス(いわゆる,アンフォースト・エラーというものですな。)が誘発されていたり,とちょっとばかり雰囲気にやられている部分もあるのかな,と感じていたところがあるのですが,その雰囲気をしっかりと吹き飛ばしていたように思います。冷静さを取り戻したと言いますか,戦いのリズムを,相手のリズムで動かされている局面が多かったものが,自分のリズムで動かす局面をつくれるようになった,と言いますか。いずれにしても,マレーが後手に回り始めたな,と感じたわけです。


 76年ぶりの快挙,という意味では,確かに残念な話ですし,個人的にもフレッド・ペリー以来,カップを掲げるブリティッシュというのを見てみたかった,という思いがあるのは確かです。でも,フェデラーが成し遂げたことも大きなことだと思います。今回の優勝によって,歴代最多優勝回数に並んだわけです。確か,ラファエル・ナダルに記録を止められるまでウィンブルドンの連続優勝を記録していた,「芝の王者」でありますが,やはりこの称号はいまも生きているな,と。そういう姿を見られたことも,ちょっとうれしかったりするわけです。

ケネス・グランジ。

2012-07-03 22:15:26 | ゲージュツ的雑記
グランジ・ヒルなら知ってるけれど。


 なんてひともおられるかな,と思います。
 BBC1で放映されていたドラマ,ですね。
 最初は私も,そんな反応をしかけたのです。で,代表作を聞いて「ああ!」,と。


 工業製品をつかまえて,ゲージュツとするのはちょっと躊躇するところもありますが,機能美だって美ですよね,ということでのカテゴリ分けであります。


 ケネス・グランジさん。UKを代表する工業デザイナーです。


 彼が手掛けた作品はコンパクト・カメラであったり剃刀であったり,それこそ多岐にわたるのだそうですが,UKを旅されたことのある方に彼の代表作を説明するのであれば,“インターシティ”,あるいは“TX1”ですよ,というのが最も分かりやすいかな,と思います。


 では,ちょっと場面設定をしてみましょうか。


 あなたはいま,LHRからヒースロー・エクスプレスに乗っているとしましょう。となると,降り立つ駅はロンドン・パディントン駅であります。ヒースロー・エクスプレスに乗るのははじめて,それともリピーターさんでしょうか。車窓を流れる風景に興味津々,なひとですと,ひょっとするとすでにコンタクトしているかも知れません。そう,同じ路線を使う,たとえばカーディフ・セントラル駅だったりスウォンジー,あるいはバースなどに向かう特急列車,あのデザインがグランジさんの手になるもの,なのです。確か,この特急列車はディーゼル・エンジンを搭載していて,であればそんなに速度も出なかろう,なんて思ってしまいがちなのですが,意外に速いんであります。それまで,直線基調が多かった列車のデザインに,曲線を明確に持ち込んだのがグランジさん,という評価のようであります。


 さて。そんな蘊蓄にも負けずに(!)パディントン駅に到着,今度はタクシーでホテル,あるいはご友人だったりのフラットに向かおう,としましょう。そこでもグランジさんの作品に出くわす,ことになると思います。それがTX1です。


 いわゆるブラック・キャブのイメージを決定付けたのはオースティンFX4であります。ありますが,さすがに生産開始からの時間が長く,後継車種の必要性が高まっておりました。そのときに,次期タクシー車両のデザインを託されたのがグランジさんだったのです。現物を見た方ですと直感的にお分かりかな,と思いますが,要は現代的な解釈を加えたFX4,というイメージもしっかり持っているのです。そして,インターシティと同じく,上手に曲線を使ってもいます。


 UKのデザイン,となると,恐らく建築方面が思い浮かぶひとが多いかな,と思います。フォスター卿だったりロジャースさん,あるいはグリムショーさんだったり。確かに彼らの存在感は大きなものがあるのですが,UKのひとたちにとって最も身近なデザイナー,そのひとりがグランジさん,であるように思います。