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映画感想ブログです。3周年を迎えました♪
相変わらず、日本映画と香港映画が好きです。

春夏秋冬そして春

2005-07-02 18:32:22 | 映画(さ行)
キム・ジョンホ、ソ・ジェギョン、キム・ヨンミン、オ・ヨンス、ハ・ヨジン出演。キム・ギドク監督作品。

深い山間の湖に浮かぶ小さな庵。穏やかに年月を過ごす幼子と彼を見守る老僧が二人で暮らしている。無邪気な子供が成長し、少年から青年、中年そして壮年期へといたる波瀾に富んだ人生の旅程が、水上の庵の美しい季節のなかに描かれる。(公式サイトより)

公式サイトがあったのですが、これを含めたキム・ギドク監督の作品を集めた公式サイトもありました。

場所は湖のに浮かんでいるお寺のような所。監督は「魚と寝る女」でも、同じような湖に浮かんでいる宿みたいなシチュエーションを使っていました。
好きなんでしょうかね。
映像的には、この映画の方が美しいです。
四季の移り変わりと共に、人の一生を描いています。

以下、ネタばれというか、ストーリーを紹介してます(笑)


「春」子どもの無邪気さと残酷さを描きます。魚、蛙、蛇に小石を糸でくくりつけ、苦しむ様子を見て笑う子ども。そして、子どもの所行を知った和尚は言葉で諭すのではなく、子どもに石をつけて、魚、蛙、蛇がその後どうなったのか見てくるように言います。もし、そのどれかが死んでいたら、おまえは一生、心に石を背負うのだと。

「夏」子どもが青年になっており、庵には年頃の娘を連れた母親がやってきます。娘の心の病気を治したいと願う母は、娘を庵に置いて、帰って行きます。やがて青年は娘に恋をして、二人は結ばれます。欲望は執着を生み、執着は殺意を生むという和尚を残し、帰っていった娘を追って、青年は庵を出て行きます。

「秋」は、青年が大人の男になっています。庵にいる和尚は、たまたま目にした新聞記事で、青年が事件を起こした事を知ります。青年は庵に逃げて来ます。持っているナイフには血がついており、どんな事件を起こしたのは、観ている側に想像させます。和尚は猫のしっぽで般若心経を書き、男にそれをナイフで掘らせます。
刑事が男を追って来ますが、掘り終わるまで待つように伝える和尚。和尚は掘られた般若心経に色をいれ始めます。ボケっと見ていた刑事もなんとなく手伝い始めます。
刑事と共に去っていく男を見届けた和尚は舟に乗り、命を断ちます。

「冬」湖の水は氷っています。刑務所から出たと思われる男はその湖の上を歩き、庵に辿り着きます。和尚の骨を拾い、氷の仏像を掘る男。
やがて赤ん坊を連れた女がやってきます。顔を隠しています。女は子どもを置いて、去りますが、氷の間に落ちてしまいます。
男は仏像を抱いて、石を引きずって山を彷徨い、庵を見下ろせる山の山頂に仏像を置いて来ます。

そして再び「春」
庵には男と成長した子どもがいます。再び繰り返されるであろう物語を予感させます。

仏教的な思想が入っているストーリーですが、難解という感じではありませんでした。いろいろ考えさせられます。そして映像が美しい。

キム監督作品の記事はフェイユイさんの「藍空」がお薦めです。とても詳しく解釈されています。ネタばれな記事なので、未見の方は見てからがいいと思います。