3月18日(水)、グンと冷え込みが強くなり、前日から降り続けた雪が止み始めた中、3月22日(日)開催の「巨樹マンダの木に会おう」の下見に行ってきました。
イベント当日は、アスピーテラインの蒸ノ湯休憩所からのスタートになりますが、アスピーテラインが開通前なので、秋田八幡平スキー場のリフトを利用して蒸ノ湯に向かいました。
リフトを降りた時点では、日が差していたので大谷地と菰ノ森がハッキリと見えていました。
空が暗いのは、雲が多く、まだ雪がちらついているせい。
日が差したり陰ったり・・・
忙しいお天気の中、ダケカンバの生える斜面を下って蒸ノ湯温泉へと向かいます。
蒸ノ湯では、あちらこちらに噴気が上がっています。
もう、雪なのか噴気なのか判らない・・・
登山道の入口に、真新しいピンクテープが風でひらひらと揺れていました。
が、この先にはトラバースが難しい急斜面が待っているので、右側へと迂回して進みます。
それにしても、どんだけ降ったんだか・・・
スノーシューを履いていても、膝上。
時には太ももまである雪の中を交替でラッセルしながら進みます。
くどーさんは、既に心が折れそうに・・・
川に架かる橋の上には2m程の雪が。
急に日差しが。
オオシラビソの林の中へと入っていきます。
オオシラビソの林の中は、シーンと静まり返っていました。
ここのオオシラビソたちは、八幡平山頂付近のものと違って背が高いのが特徴。
そして、枝打ちしたかのように下枝が無いのも特徴的です。
理由はこれ。
谷あいにあるので日光を求めて背をグングンと伸ばし、日光の当たらなくなった不要な枝を自分で枯らして落としているのです。
不要な枝を落とした分、それらに使うはずだったエネルギーを使って幹を太く、背を高くしていきます。
くどーさんが寝転がった跡。
じゃないよ、木の枝に積もった雪が塊で落ちた跡だよ。
雪が降った後は、木々からの落雪にも注意が必要になります。
大沼、長沼分岐地点の看板もご覧の通り。
大谷地に沿ってブナ林の中を登ります。
ブナに着生した地衣に、なんだか不思議な模様が・・・
ヤマナメクジがゴリゴリ、ゴシゴシしながら地位を食べた食痕でした。
枯れたオオシラビソとダケカンバにツルアジサイがビッシリと。
ツルアジサイは枝先近くまで勢力を拡大しています。
冬のツルアジサイといえばこれですね。
夏に咲き誇った花が、忘れ去られても「まだここにいるよ」って訴えかけてくるみたいで・・・
くどーさんは、なんだかエモいと思ってしまうのです。
汗だくになりながら進み、眼下に長沼が見えました。
雪原と化した長沼の上を風がヒューヒュー?ピューピュー?ビュービュー?と吹き渡ります。
だんだん強くなってるじゃんっ!
雪原を歩き・・・
ダケカンバの下へ。
東屋から正面に見える立派なやつですよ。
ほら、対岸に東屋が見えているでしょ。
長沼横断中。
安全に渡れるか、氷の厚さチェック。
雪を60㎝程掘って氷にぶつかりました。
カリカリと少しだけ氷の手ごたえがありましたが、その後はググググッとドリルが吸い込まれていきます。
かなり締まった感じのシャーベット状で、ドリルを引き抜くのが大変!
結局、この層が厚くて貫通できませんでした。
という事で、そのまま沼の上を横断して東屋まで。
目の前のブナに巻かれた、一番下のピンクテープが去年の今頃の積雪。
それより少ないじゃん。
東屋の屋根の雪も周りと繋がっていないことから、今シーズンの雪が少ないのもそうですが、雪が降る時と降らない時の差が大きかったのが良く分かります。
東屋の中の様子。
そして日が差すと、くどーさんたちが長沼を横断した跡が浮かび上がります。
ん?
なんだか、どこかで見たような・・・
地衣についてたヤマナメクジの食痕だ!
すぐ曇る・・・
ホント、忙しいお天気・・・
東屋の中からの景色。
周りの雪の壁の模様が綺麗。
屋根の雪の一番下には氷の層。
小さなつららが可愛い❤
昼食を済ませて、こんもりと雪を被った東屋に別れを告げ、いよいよマンダの木に向かいます。
いや、ここは長沼に別れを告げてでしょー!
昼食直後の登りでお腹が痛くなるくどーさん・・・
なんで、痛くなるんでしょうか?(写真はあべ氏です)
深い雪をかき分けて進み・・・
マンダの木に到着。
ふうー・・・
枝分かれ部分が雪に隠れていますが、相変わらず大きな木です。
菰ノ森へ。
長沼は地滑り湖、地滑りによって出来た窪みに水が溜まって出来た沼です。
菰ノ森は、その地滑りの先端に出来た小離分丘。
その上に大きなコメツガを始め、様々な木々たちが私たちを出迎えようと待っています。
菰ノ森からツボ沼への向かう途中の稜線は、とても風当たりの強い場所。
風に吹かれて木の根元の下草が露出しています。
ツボ沼が見えてきました。
膝上まである雪も、なぜだか下りはちょっとだけ楽に感じます。
ツボ沼に到着。
真っ白です。
下ったら登らないといけない・・・
蒸ノ湯古道、ジープ道に出ました。
歴史を物語る錆び付いた道標が物寂しそう・・・
相変わらず太陽は雲の向こうです。
大きく穴の開いたブナ。
こんな姿でも、まだ頑張って生きています。
ブナの樹皮はワンダーランド。
沢山の地衣たちが樹皮を覆っています。
これはチャシブゴケの仲間。
こちらはブナからのメッセージを伝えるモジゴケの仲間。
全くもって、何を書いているのかが理解できません。
随分と古いものから、最近?のものまで。
クマの爪痕がたくさん残されたブナもいっぱいあります。
見上げていると、「今までどれだけのクマが私の上を通り過ぎていったのかしら・・・」とブナの声・・・
えーーーっ‼💦
サルノコシカケも雪に負けないくらい色白。
雪がこんもり。
樹洞の開いたトチの古木。
表皮にはクマが昇り降りした痕跡が・・・
しかし、残念ながら空き家となっていました。
優良物件だと思うんだけどなぁ・・・
八幡平には、こんな素敵な物件がいっぱいです。
貴方も次の冬に向けてお一ついかがでしょうか?
お安くしておきますよー。
秋には内覧会も実施します。
いや、しないな・・・
半枯れのブナに茶色いつららが下がっています。
いわゆる、ブナのアク(腐植酸)が雪解け水に混じっているために茶色くなっています。
赤川沿いまできました。
大きなコメツガと・・・
大きなキタゴヨウが待ってくれていました。
気が付けば青空が覗いていました。
赤川には、美味しそうなお餅がいっぱい。
ヒューム管の橋を渡ります。
西に傾き始めた太陽が眩しいくらい。
雪面をころころ転がる雪玉。
これもエモいと感じるくどーさん。
エモいって何だろ?
エモーショナル・・・感情に訴えかけてくるものがある、心が動かされるよう、情緒を感じる、趣があるみたいな・・・
アレですよアレ、なんかグッとくる的な、なんか良い・・・的なこと。
「いとをかし」ってやつです。
ビジターセンターが見えてきました。
お疲れ様でした。
帰る頃にお天気が良くなるという・・・
なんという仕打ちなのかしら・・・
今回の下見は、とにかく深雪に苦労させられました。
ビジターセンターにたどり着いた頃には、息も絶え絶えのくどーさん(さすがは、ビジターセンターで体力の無さで一、二を争う人間)でした。
それでもグリーンシーズンには歩けない場所を歩き、綺麗な景色や普段は視界に入らないようなもの、冬ならではのものを見られるのが良いところだと思います。
厳しかったり綺麗だったり、大変だったり楽しかったり・・・
ホント、冬のお山はツンデレです❤
くどう