大沼のキタゴヨウは”巨木”の称号付き。ビジターセンターから見えるのに、雪のある時にしか行けない日本で二番目に太いキタゴヨウです。
真ん中の真平な雪面は大沼、その前に見えるブナ林の左側の頭一つ出ているのが目的のキタゴヨウの巨木です。スタッフあべは左手に道具を持っています。
大沼の水面に積もった雪を40㎝ほど掘り、シャーベット状の雪をすくって、水の層30㎝下でコツンコツンと氷の層にあたりました。ですが、ドリルはガリガリと氷を削る音がせず、何の抵抗もなく沈んでしまいました。ドリルの全長130㎝では貫通もしていません。
どうやら、私たちは堅い氷の上ではなく、大沼に積もった雪とシャーベット状の氷の上に立っているようです。
天候のせいとはいえ、当日の大沼横断は断念のようです。
当日は夏の歩道をぐるりと移動することになりそうです。
それにしても、沼尻あたりのダケカンバはグリーンシーズンの”朝の大沼”で毎日登場するのですが、、今の時期もやっぱりいい感じです。
いい感じのダケカンバの中を歩いて沼尻方向へ。
途中から見えるこんな景色も今だけの限定。
この景色は”沼尻半島”から見える景色です。
そして”沼尻小島”
じつは、「沼尻半島」も「沼尻小島」も今日、私たちが勝手につけた名前です。安易に過ぎるのでは?と私たちのセンスを疑う方もおられるかもしれませんが、いままで沼尻の・・・という呼び方しかしていなかったのでご容赦を。
沼尻の歩道の上には2m以上の雪が積もっています。
そして、大沼外輪の南側からキタゴヨウへの取付きへ。
後生掛から注ぐ、曲がりくねった澄川。
オオシラビソに残る、ひと際大きくて深いクマの爪痕。
ガ~と木肌に残る爪痕は、古いものですが、1m以上もガ~とあり、かなりの重さがあるヤツだったようです。
これが大沼のキタゴヨウの巨木。
日本一にわずか2㎝届かなかったために一番になれなかった、幹回り4m38㎝の周りの木々から頭一つ飛び出て、ビジターセンターから見えるキタゴヨウです。
長年の風雪に耐えてこんな姿に。
時折日が差して、
ブナが枯れたのか、途中から幹が折れてしまい、ツタウルシが途方に暮れています。
ツタウルシとはいいながらも、まるで木の枝のよう、枝先にはたくさんの花を付けたようです。
秋には、枯れたブナに見事な真っ赤な紅葉姿を見せてくれると思います。
カブレるからと嫌われがちですが、ヤマウルシと並びほれぼれするような真っ赤、紅葉の森に”真っ赤赤”を添えてくれます。
ブナの根元には太さが10㎝もあるようなツタウルシの茎(幹?)何年かけて成長したものなのか、三つ編み状によられた茎が地衣類を身にまとって立派な姿になっています。植物の分類上はツタとはつくものの、木本に属するそうで、自立しないながらも正確には幹でもいいようです。
枝先に雪を乗せたツタウルシの冬の花。
芽鱗の跡が鮮やかな朴木の冬芽、ちょっと寒そう。
オオカメノキも花芽に雪をのっけてオシャレ。
枯れの目立つミズナラも枝先にキタゴヨウをつけてオシャレ?
誰かの仕業なのでしょうが、3本か4本ぐらいキタゴヨウが生えていました。
生きる場所を間違えたようで、ミズナラの枝が落ちたら運命を共に・・・
大沼外輪の北側からは、足元に赤川が見えています。鉄分を多く含んで赤く見えるためについた名前ということが容易に想像できます。
こちらは赤川の向こうに見えるアスピーテライン。
面白いもの見っけ!
正体を知るために周りを見ると・・・
ヤドリギがありました。鳥たちに食べられ、すでに実はほとん残っていません。
オレンジや黄色の実を鳥たちが食べ、フンとして排泄された種が実のネバネバでぶら下がっているものです。
ブナとミズナラ、仲がいいのか、幹がぴったりと寄り添っています。
両者譲らず、互いに日照権を得るため”真っすぐ”に特化したとも映ります。
根元もぴったりと。
ヒトならではの感性でこの姿の解釈もさまざま。
雪が降り、雪が解けの繰り返しの中、雪景色の中にいても、春を感じてしまいます。
湿原のヨシ原にミズバショウやエゾノリュウキンカを目にするのはいつになるのでしょう。
春を待ち遠しく思います。
あべ