あけましておめでとうございます!
今年もどうぞよろしく。すばらしい年になりますように!!
さて、朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」2008年最初にして第95回目の今日は、「ルーヴル、城砦から美術館へ」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2008/01/post_df41.html#more
もともとは城砦として建設されたルーヴルの、長い歴史についてざっと書きました。
第二次世界大戦中、パリはナチス・ドイツに占領され、ルーヴル美術館も差し押さえられて一般人の入場は禁止された。そのころを舞台とした英仏合作映画『将軍たちの夜』(1966年製作、アナトール・リトバク監督)がすこぶる面白い。
一見、ワーカホリックの完璧主義者と見えて、実はサイコ殺人鬼のナチス将軍(去年『ヴィーナス』に主演したピーター・オトゥールが鬼気迫る演技)が、ルーヴルに絵を見に行くシーンがあった。
彼はほとんど美術に関心がないので、部下の説明などろくに聞きもせず、どの絵の前も足早に通り過ぎるだけなのだが、ふとゴッホ自画像(耳を切り落とした直後の作品)の前で足を止める。
険しく鋭い眼つき、とがった頬骨、猛々しい髪と髭、妙に歪んだ肩、背景の渦巻く不安の青、どれも尋常ならざる負のエネルギーを放射するこの自画像に、将軍は自己を投影し、呪縛されたように動けなくなってしまうのだ。
このシーンの強烈さは忘れられるものではない。オトゥールは入魂の演技で、鳥肌がたつくらい凄かった。ゴッホの狂気と彼の狂気がわんわん共鳴して、心底、怖かった。
そもそもゴッホの絵はどれもわたしには不安と不快と恐怖のミックスなのだが、どうしてこれほど人気があるのだろう?色彩がきれいだ、と言う人が多いけれど、ああいう色の選択と重なりは人の心を脅迫すると思えるのだが・・・こればかりは人それぞれの感性なので仕方がないのかな。いつかわたしもゴッホの良さがわかるときがくるのでしょうか・・・
ところで現在ではこのゴッホ、ルーヴルからオルセー美術館へ移されている。
☆『怖い絵』、年末の日経新聞書評委員が選ぶ「2007年わたしのベスト3」に、井上章一氏が選んでくださいました♪
寸評は--「いわゆる泰西名画の背後に、むごい歴史、あるいはいとわしい社会を読み取っている。色と形だけでは語りつくせない、絵画の奥深さを教えてもらえる」
☆マリーもお忘れなく!(ツヴァイク「マリー・アントワネット」(角川文庫、中野京子訳)
今年もどうぞよろしく。すばらしい年になりますように!!
さて、朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」2008年最初にして第95回目の今日は、「ルーヴル、城砦から美術館へ」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2008/01/post_df41.html#more
もともとは城砦として建設されたルーヴルの、長い歴史についてざっと書きました。
第二次世界大戦中、パリはナチス・ドイツに占領され、ルーヴル美術館も差し押さえられて一般人の入場は禁止された。そのころを舞台とした英仏合作映画『将軍たちの夜』(1966年製作、アナトール・リトバク監督)がすこぶる面白い。
一見、ワーカホリックの完璧主義者と見えて、実はサイコ殺人鬼のナチス将軍(去年『ヴィーナス』に主演したピーター・オトゥールが鬼気迫る演技)が、ルーヴルに絵を見に行くシーンがあった。
彼はほとんど美術に関心がないので、部下の説明などろくに聞きもせず、どの絵の前も足早に通り過ぎるだけなのだが、ふとゴッホ自画像(耳を切り落とした直後の作品)の前で足を止める。
険しく鋭い眼つき、とがった頬骨、猛々しい髪と髭、妙に歪んだ肩、背景の渦巻く不安の青、どれも尋常ならざる負のエネルギーを放射するこの自画像に、将軍は自己を投影し、呪縛されたように動けなくなってしまうのだ。
このシーンの強烈さは忘れられるものではない。オトゥールは入魂の演技で、鳥肌がたつくらい凄かった。ゴッホの狂気と彼の狂気がわんわん共鳴して、心底、怖かった。
そもそもゴッホの絵はどれもわたしには不安と不快と恐怖のミックスなのだが、どうしてこれほど人気があるのだろう?色彩がきれいだ、と言う人が多いけれど、ああいう色の選択と重なりは人の心を脅迫すると思えるのだが・・・こればかりは人それぞれの感性なので仕方がないのかな。いつかわたしもゴッホの良さがわかるときがくるのでしょうか・・・
ところで現在ではこのゴッホ、ルーヴルからオルセー美術館へ移されている。
☆『怖い絵』、年末の日経新聞書評委員が選ぶ「2007年わたしのベスト3」に、井上章一氏が選んでくださいました♪
寸評は--「いわゆる泰西名画の背後に、むごい歴史、あるいはいとわしい社会を読み取っている。色と形だけでは語りつくせない、絵画の奥深さを教えてもらえる」
☆マリーもお忘れなく!(ツヴァイク「マリー・アントワネット」(角川文庫、中野京子訳)
「怖い絵」ならぬ「濃い絵」というテーマでも、ゴッホはたくさん選ばれそうです。ムンクとかカラバッジョとか。
今年もどうぞよろしくお願いします。
翻訳が出ていたとは知りませんでした。昔、原書は手に入れたのですけど、読まずに放っているうち、家のどこかにはあるはず・・・という状態になってしまいました。映画はどのていど原作に忠実なのでしょうね。数年前、テレビ放映のものをダビングして、ヒトラー暗殺未遂事件のシーンだけ学生に見せたことがあります。
クレムリンのキンキラキンの建築や美術も、それに似たムソルグスキーなども?
確かに、ルネッサンス絵画のような絵解きの楽しみはないけれど、ああいう近代絵画を見ていると、私などは、非日常的な感覚が磨かれるような気がするけれどもなぁ。
いいえ、近代絵画が嫌いなのではなく、ゴッホだけ、見ているとなぜか物凄く不安になるのです。きっと自分でも気づいていない個人的な原因があって、突き詰めるのも嫌なのかも・・・
友人にラファエロの聖母子が「怖い」と言う人もいて、感性って人それぞれで面白いですよね。
ちなみに、「シャガール」と「ダリ」と「ピカノ」のどれが好き? という問いを発して、その答えによって、ひとり納得していることがあります。
わたしはゴッホよりダリのほうが怖いので、残るはシャガールとピカソ、さて、どちらでしょう。
子供の感性の鋭さ!
私は「星月夜」や「星降る夜」を見ると、ドキドキします。
「星月夜」の世界、わたしも怖いです。そして「怖い」と「好き」も両立するでしょうし、「嫌い」はもちろん「気になる」ということですよね~ 不思議なゴッホ。