世の中の二乗>75の二乗

話せば長くなる話をする。知っても特にならない話をする。

映画をみたよ

2009年01月17日 20時12分25秒 | Weblog
レンタルで映画をみる。
「迷子の警察音楽隊」は公開当初からみたかったやつだ。
これは演奏の依頼を受けたエジプトの警察音楽隊が手違いでイスラエルの全然知らない街についてしまうというところからスタートする。
もちろん、火星に取り残されたわけではないので一晩やり過ごせばバスもあるし、演奏会にも間に合う。
その一晩の話。
さて、
おおむね映画というものはなにか劇的なことが起きるもので、
この音楽隊の面々にも一晩で様々な劇的なことが起きる。
熱い恋をしたり、
友情が芽生えたり、
音楽で国境を越えたり、
不仲なものを仲直りさせたり、
ちょっとしたハートウォームな奇跡が起きる。
と、思うでしょ。
起きません。
美女がワインを勧めても「明日早いから」と言ってさっさと寝ます。
音楽奏でてもあんまり盛り上がりません。
友情?
芽生えそうですが、なにせ一晩限りですから。
そう、
一晩で、そうそう人は変われない。
一晩で、そうそう人は繋がれない。
それでもすごく丁寧に心理の細かな揺れが伝わる。
結果だけみれば当然、というか、なにもなかったに等しい一晩で、
それでも池に石を投げたみたいに静かに波紋が広がっていくような、
そんな一晩を描いた映画でした。
よかった。
悲しいし、さびしい気持ちと、
すっきりした晴れやかな気持ちが同時にやってきた。
それで、小学生の時に従姉妹とふたりで信州に自然教室に行ったときのことを思い出した。
それは初めての子供だけの旅行で、
高速バスに乗ったのも子供だけだったし、
知らない大人や子供の中で寝たりするのも初めてだった。
やったことは、蛍を見たり、岩魚を取ったり、ローソクを作ったりたわいないことで、
そこで知り合った子たちともその一泊二日の間だけの出会いで、
当時は何かしらいたく感じたりしただろうけど、
本当にこの映画を見るまでは思い出さない類の記憶でしかなかった。
そういえばあんなこともあったな、程度の思い出。
でも、
そういえばあんなこともあったなってことで結局自分はできているなと思った。
言葉にすると大したことないんだけど、
実感をともなって感じた。
この映画をみてそう感じたんだと思う。
決してハートウォームな奇跡は起きないけど、
随分経ってからそういえばあんなこともあったなと思い出す一晩。
思い出せるってことはやっぱり、その人にとってはちょっとした出来事だったからだ。