無頓着の俳句入門

歴史に残る著名な先生方の教えを無頓着が入門書として初心者向けにわかりやすくまとめました

第3章 俳句の文法 3-3 俳句の言葉(2)

2008-07-15 15:14:22 | 文法編
(4)枕詞(下図HIK-ZU003を参照)

枕詞には和歌や昔の文に見られる修辞用語で、五音より構成され一定の言葉
にかかって修飾したり語調をととのえたりする。
*枕詞の例句*
(例1)たまの緒の絶えし玉虫美しき (村上鬼城)
(例2)紅梅の家ぬばたまの闇に入る (飯田龍太)
(例3)むらぎもの心牡丹に似たるかな (松瀬青々)
(例4)みすずかる信濃は句碑に黒つぐみ(水原秋櫻子)

(図HIK-ZU003)
主な枕詞

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(5)ふり仮名

漢字には音読みと訓読みがあるため、区別しにくい場合はふりがなを付ける必要が
ある。また特別の読み方として公認されているものや熟語の当て字にはふり仮名を
つけねばならない。

①特別の読み方(公認されている)
イ.漁師言葉
北風(きた)、南風(はえ)、東北風(ならひ)、東風(こち)、延縄(はえなは)、
群来(くき)、礁(いくり)、舳(みよし)、艫(とも)
ロ.登山家言葉
杣(そま)、岨(そま)、尾の上(をのへ)、山峡(やまがひ)、茅原(かやと)、
藪(ぼさ)、頂上(かしら)、鞍部(こる)、絶壁(かべ)、合流点(であひ)、
鉱山(やま)

②当て字(いたずらに使用しない)
亡父(ちち)、亡母(はは)、亡友(とも)、嫁(こ)、恩師(し)、蛍光灯(あかり)、
郷里(くに)、故郷(さと)、農村(むら)、校庭(には)、宙(そら)、電球(たま)、
車椅子(いす)、老楽(おいらく)、聖夜(イブ)、口栓(コルク)、骸(なきがら)、
航空便(エアメール)、看護婦(ナース)、狩夫(ハンター)、枝垂梅(しだれ)、
最終走者(アンカー)、

  以上

第3章 俳句の文法 3-2 俳句の言葉(1)

2008-07-02 07:39:07 | 文法編
(1)漢語と和語

漢語は音読する熟語で、漢字を組み合わせて作られた言葉。少ない文字で一定
の意味をあらわし、語調が強いのでよく使用される。和語は「やまとことば」といい、
「かな」を用いていたが漢字に和語をあてて読む訓読が発達し、かな文字と漢字が
併用された。

(2)畳語(じょうご)

同じ単語を重ねてできた複合語を畳語という。畳語は意味を強めたり動作・状態
の反復や継続を表わす。
(例)見る見る、思ひ思ひ、冷え冷え、時時、所所、行く行く

(3)接頭語と接尾語

接頭語・接尾語のことを接辞といい単独に用いられることはなく必ず他の単語に付
いて語調を強めたりある意味を添える。

①主な接頭語(下図HIK-ZU001を参照)
接頭語は名詞、動詞、形容詞の単語の上に付きある意味を添えたり語調を整える。
*接頭語の例句*
(例1)暑き夜や百姓町のくらがり (村上鬼城)
(例2)みじか夜や見世明たる町はづれ (与謝蕪村)
(例3)傘(からかさ)に押しわけみたる柳かな (松尾芭蕉)
(例4)さざ波にさざれ石あり浜千鳥 (松本たかし)

②主な接尾語(下図HIK-ZU002を参照)
接尾語は名詞、動詞、形容詞の単語の下に付いてそれらにある意味を添える。
接尾語の付いた単語は品詞が変わることが多い。
*接尾語の例句*
(例1)海より日は照つけて山ざくら (与謝蕪村)
(例2)秋涼し手にむけや瓜茄子 (松尾芭蕉)
(例3)二ひらの花びら立てて螢草 (松本たかし)
(例4)露の朝虫は虫どち闘へり(加藤楸邨)

(図HIK-ZU001)       (図HIK-ZU002)
接頭語    接尾語

(注意)図をクリックすると拡大します