無頓着の俳句入門

歴史に残る著名な先生方の教えを無頓着が入門書として初心者向けにわかりやすくまとめました

第2章 俳句の活用 2-12 表現力を養う(2)

2007-11-05 14:27:44 | 活用編
(5)風土を考える

「ゴム霧」のように関連性のない言葉をくっつけても連想により
物の姿を掴めない文は伝達力がなく読者に理解されない。
→熟語は2つ以上の単語が結合して意味をなす言葉をいうが、
熟さぬ言葉では意味がない。

<原句>ゴム霧の匂い立ち込め秋深し
<改善>北海道では霜から稲を守る為夜通し古タイヤを燃やす
<添削>霜除のゴム焼く匂ひ夜の深し

(6)格助詞は性急に使わない

「に」や「で」の格助詞は場所・動作の対象や変化の結果を表す。
この格助詞を上5句で性急に使用してはならない。
→次の中7句以降に無理が生じ、リズムに乗らなくなる。

<原句>贖罪に一人祈りぬ秋の薔薇
<改善>格助詞「に」と完了助動詞「ぬ」でリズムに乗らない
<添削>贖罪の一人の祈り秋の薔薇


(7)漢字と仮名のバランスをとる

俳句は日本の風土で育った日本の文学。日本語特有の漢字と
仮名の程よい組み合せで微妙な味わいを生み出す文学です。
→文字の斡旋は言葉同様細心の注意が必要。漢字の割合は
30~40%が理想です。

<原句>強きこと言ひたき故のサングラス
<改善>「言ひたき故」の「故」の文字が詩のイメージでない
<添削>強きこと言ひたきゆゑのサングラス

(8)俳句は1行詩である

韻文である俳句は「句読点」を用いたり「分ち書き」したりすると
詩文が散漫になる為、「切れ字」による間の取り方を用いる。
→俳句の本質は1行詩であり、1句の中で1回だけ息をついで
読む詩です。

<原句>窓ひとつ 開けて秋署の 尼僧院
<改善>五七五の分節毎に「分ち書き」するのは「三段切れ」
<添削>窓ひとつ開けて秋署の尼僧院 (息継は「て」の後)


          以上