経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

本当に必要な知財業務を探る

2009-02-21 | 企業経営と知的財産
 日経ビジネスの前号に「『引き算』のヒット術」が特集されていたように、高付加価値製品が苦戦する一方で、必要な機能を絞り込んだ製品が売れている。「本当に必要なもの」が生き残る時代がやってきており、知財業務にも「本当に必要か」がより厳しく問われることになってくると思います。
 企業活動に本当に必要とされるような知財の‘実需’とは何であり、どのような形態をとり得るのか。そこが個人的には最も関心の高い領域であり、今年度は特許庁の「地域における知財戦略支援人材の育成事業」で、*先進的な中小企業へのヒアリングとそのエッセンスの抽出に力を入れてきました。知財人が進化する方向性として、技術や法律の理解を深める、語学に堪能になる、といったことがよく言われますが、企業経営に貢献して本当に必要とされる知財業務の基本設計がしっかりできていないと、こうしたスキルも有効に活かすことができません。その部分の思考を停止して「知財は独占権だから重要なんだ!」で済ませてしまっていては、ビジネスパーソンとしては?であると思います。
 このテーマについては、おそらく共通の解があるというものではなく、それぞれの企業の強み、事業環境などから、知財が現実的にどのように機能し得るのかを個別に考えていくしかない。結局のところ、知財業務の成果というのは、事業を何らかの形で支えたり押し上げたりという、事業全体の中でしか測れないものだと思います。知財を担う者もできるだけ事業活動の中に深く浸透し、事業の課題、事業の成果を共有する、そういう方向に進んでいかないと、本当に必要な知財業務にはなかなか辿りつくことができない。では、具体的にどうすればいいのか。「与えられた環境の中で発揮できるだけの才能でなく、自らを活かすポジションを作ることも才能のうち」というある人の言を思い出すに、そこを模索していくことが大事なんです。たぶん。

* この成果を、中小企業の知財活動支援者向けの冊子「ココがポイント!知財戦略コンサルティング ~中小企業経営に役立つ10の視点」として、年度末までに公表する予定です。その報告会を兼ねたセミナーが3月に開催されますが、札幌、福岡、広島はまだ申込可能とのことですので、お近くの方はご参加いただけると幸いです。
 また、知財戦略コンサルティングシンポジウム2009の基調講演でも、「中小企業の“経営課題”を起点とした知財戦略支援」と題して、上記冊子のエッセンスについてもお話させていただく予定です。


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