経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

ビジネス

2007-05-17 | 知財業界
 知財業界(特に弁理士業界)では、近年「ビジネス」の語を見かける機会が多くなっています。「知財ビジネス」、「ビジネスを意識した知財業務」、「知財人もビジネスセンスを身につけよう」などなど・・・
 ところで、ここでいう「ビジネス」とはどういう意味なのでしょうか? 「ビジネス」というのは何とも曖昧で便利な言葉なので、無造作に使われていることが少なくないように思います(斯く言う私も、このブログは「ビジネスと知財との融合」を目指すなどと、曖昧な目的を掲げていますが・・・)。
 辞書には「事業」「商売」などの意味が定義されているので、おそらく知財の世界で「ビジネス」という場合には、「研究開発」とか「(従来型の)権利化実務」みたいな業務とは異なる事業寄りの業務を指していることが多いのでしょう。しかしながら、そもそも研究開発等の成果物を「財産」と認識し、その領域を知的財産権で固めようとすることは、その成果物を事業=ビジネスに活かそうという意図があるからに他なりません。研究開発の成果を論文発表するというところまではビジネスとは異なる世界かもしれませんが、それを権利化しようとする工程からは何らかの意味でビジネスを意識しているはずだと思います。個人間のトラブル処理などの仕事も行う弁護士の業務であれば、「ビジネス系」か否かという区分もあるのでしょうが、知財に携わる弁理士の仕事は必ず何らかのビジネス目的と関係しているはずであり(個人からの依頼であっても同様です)、本来「ビジネス」は知財業務の中に当然に内包されているはずの概念です(例えば、会計士や社労士の人達が「ビジネス」云々を強調しているという話はあまり耳にしません)。
 結局のところ、今の知財業界の問題点として、事業サイドとの連携が不足しているという事実の端的な表現として、「ビジネス」の語が使われる機会が増えているのだと思いますが、その問題点が解決された暁には、知財業界で「ビジネス」の語をあまり耳にしなくなる、という逆説的な現象が起きるのかもしれません。


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