経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

知的財産の合体

2007-06-04 | 知財一般
 知的財産の魅力により売上を伸ばし、知的財産権による保護によって高利益率を維持する知財による成功モデル(「知的財産のしくみ」p.128~129)の一例として、花王のヘルシア緑茶をよくとりあげる(ex.「知的財産のしくみ」p.134~135)のですが、今朝見ていたテレビで、わかりやすく、このモデルにはまりそうな商品が紹介されていました。
 ライオンの「バルサン飛ぶ虫氷殺ジェット」という商品です。殺虫成分を全く使わない殺虫スプレーということで、売れに売れているそうです(1年に100万本売れればヒット商品という業界で、発売から2ヶ月で200万本出荷したそうです)。
 この商品の売りは、「殺虫成分を使わない」殺虫スプレーということで、熱する、吹き飛ばすなど様々なアイデアの中から、「凍らせる」という方法を選択して商品化したそうです。瞬間で凍らせるという技術に加えて、殺虫剤では有名な「バルサン」ブランドも、売上の伸びに貢献する「知的財産」になっているといえるでしょう。因みに、ライオンは殺虫剤業界では新規参入であり、「バルサン」ブランドは中外製薬から買収したものだそうで、外部から導入した知的財産と自社開発の知的財産が合体して、相乗効果を上げた好例といえそうです。競合品とは明らかに差別化された商品ということで、価格は競合品の2倍程度となっており、利幅も厚い(何との比較かははっきりしませんでしたが、番組では粗利が2倍といったコメントがされていました)ことが推測されます。
 さて、この商品の優位性は今後も維持されていくのか。IPDLで出願人にライオン、キーワードに虫、氷、低温などを指定して検索した限りで該当しそうな特許出願はヒットしませんが、何らかの防衛策は打たれているものと思われます。今後、この商品の価格がどのように推移するのか、要注目です。


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