経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

それって本当に「あり得ない」?

2006-11-22 | 新聞・雑誌記事を読む
 昨日の日経金融新聞のコラムに、「新興銘柄・意外に悪い決算」として、新興企業について辛辣な批評が掲載されていました。例に挙げられていたのが、携帯電話販売等の営業支援のバックスグループ、ネット卸売りのラクーン、ネット広告のデジタルアドバタイジングコンソーシアム、飲食店の多ブランド経営のクリエイトレストランツなどです。これらの企業の収益の伸び悩みや悪化の主要因が新規参入による競争激化であることから、
「他社の参入が困難で、高水準の利益をもたらしてくれる独自事業などあり得ない。そんな当たり前にことを再認識させられる場面が景気減速下では増えよう。」
とコメントされています。

 それにしても「あり得ない」とは随分極端な、と思ったのですが、ここでいう「独自事業」とは、その独自性が模倣容易なビジネスアイデアにある場合のことをさしているのでしょう。確かに、「ビジネスアイデア」を特許で守ることはできませんし、それは事実なのだろうと思います。一方で、例えばヤフーや楽天は今も高い利益率を維持しながら成長を続けていますし、人材派遣、不動産流動化などの分野でも高水準の利益を続けている企業が少なくありません。こうした企業は、先行者利益をうまく生かしながら、有利なポジションにいるうちにブランド形成や人材育成、ノウハウの蓄積などを進め、実質的な参入障壁を固めることに成功しているのでしょう。そう考えると、「あり得ない」と後ろ向きに切り捨ててしまうのではなく、記事に例示されていた企業は「先行者としての有利なポジションを活かして、その強みを確立できるかどうかの正念場を迎えている」と評価すべきところなのではないでしょうか。


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