経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006

2007-03-07 | 知財一般
 統括委員会の一員として参加させていただいた地域中小企業知的財産戦略支援事業において作成した「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006」が公開されました。
 このマニュアルは、2004、2005に続く第3版ですが、前2版と比べると総論編である知財戦略・知財コンサルティングについての解説部分が充実したものになっているのが特徴だと思います。また、過去3年間の支援事例も掲載されているので、これ1冊で3年間の支援事業の成果が一覧できるものとなっており、「マニュアル」といったタイトルとは少々趣の異なる濃い内容となっています。
 「知財コンサルティング」については、以前の記事にもとりあげたとおり、きれいな絵を描けるかどうかよりも、どうやって実現するかという手法が一番難しい部分です。このマニュアルの中では、具体的な方法(結局は調査や教育といったオーソドックスな手法の積み重ねですが)についても様々なケースが取り上げられており、よくある「戦略もの」の本より、かなり現実性のあるものになっているのではないでしょうか。一方で、課題として残ってしまっているのが、コスト面の問題です。個々の支援事例は「あるべき」メニューでのコンサルティングが行われましたが、中小・ベンチャー企業にフルメニューをそのまま適用するのは予算的にも時間的にも難しいのが現実でしょう。
 このマニュアルは特許庁のホームページからダウンロードできますので、興味のある方は是非ご一読ください。


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2 コメント

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Unknown (大阪の弁理士受験生)
2007-03-12 08:56:44
拝見させて頂きました。「すごい」の一言です。
ただ、おしゃれているように「コスト」の問題をどうするのかを考えていくべきのように思います。
この点を考慮しなければ、「手段が目的化」してしまい、「知財戦略を進めたことで逆に経営を圧迫してしまう」おそれがあると思います。
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Unknown (土生)
2007-03-12 22:48:28
大阪の弁理士受験生さん
コメントありがとうございます。
このプロジェクトでは、ここまでの支援は普通は予算的にも時間的にも難しいことはわかったうえで、フルスペックの支援をやってみることで、特に重要な部分・優先順位が落ちる部分などが見えてくるのではないか、ということを狙いました。例えば、137p.などご覧いただければ、その趣旨がおわかりいただけるかと思います。
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