4月3日 AM6:00
サイクリストの朝は早い。
おはよう太陽くん・・・はこの日は雲に姿を隠していた。
九州入りしてから二日間、幸運な事に快晴が続いていたが、
三日目にしてついに午後から雨の予報となってしまった。
いや、変わりやすい天気の中よくもってくれたと言うべきだろう。
6:30開始の朝食バイキングをモリモリ食べて、7時すぎに宿を発つ。
今日は旅の最終日だ。
阿蘇ではまだまだ行きたい場所やお店があったのだが、それらを止めてでもこちらに足を延ばしたのは、
この高千穂が「神話の地」であり、「天孫降臨の地」だからだ。
天孫降臨 = 天の孫(まご)が降り立つ。
ここで言う「天」とは、「天照大御神(アマテラスオオミカミ)」をさす。
祖父母の家の床の間にはこの文字が書かれた掛軸が掛かっていたので、小さい頃から文字だけは知っていた。
もっとも、文字しか知らないから小さい頃は「てんしょうだいごじん」と読んでたのだけどw
キリストやイスラムの教えは、一神教 = 唯一絶対の神は一人だ。
比べて、日本の神道では人は死んだら皆神様になる。
それだけでなく、海にも空にも山にも川にも、さらにその地域に、もっては石ころにまで神が宿る。
それぞれを「氏神」といい、全てに宿る神を「八百万(やおよろず)の神」という。
(完全独自解釈で書いてますので、所々間違ってる恐れありw)
特に信仰している宗教があるわけではないが、自分はこの八百万の神という考え方が好きだ。
なぜなら、巡った先々で「ここに神はいる・・・」と思わずにいられない場所がいくつもあったから。
天照大御神とは、日本の氏神の最も上に立つ「総氏神」であり、日本民族の祖先なのである。
ちなみにそれが祭られているのが伊勢神宮だ。
その天照の孫であるニニギノミコト(邇邇藝命)が降り立った、との神話が伝えられるのがこの高千穂なのだが、
その由来はこの場所があるからだろう・・・というか、もしかしたら本当に降り立ったのかもしれない、
ここならありえる・・・
そんな風に思えてならない場所が、この 高千穂峡 である。
宮崎県の北部を流れる一級河川、五ヶ瀬川にある高千穂峡。五箇瀬川渓谷とも言われる。
ここも是非とも訪れたかった場所だ。
先日まで圧倒的な光景の数々を見せてくれた阿蘇カルデラ、それは27万年~9万年前という太古の昔におきた大規模火山活動によって創られた。
その時の火砕流は半径160kmの範囲にまで放出され、海を隔てた山口県は秋吉台まで達したと言われるほどであるが、
この高千穂峡もまた、阿蘇の火山活動によって創られたのである。
ここだけ明らかに水の色が違うし、何より空気が違う。
朝一番というのもあって、静寂で、厳かで、まさに天孫が降り立っても不思議ではない。
これも写真に納めたいと思っていた。
年代の違う橋が三本もかかる場所は、日本広しといえどもそうはあるまい。
この渓谷の中にはボートで入る事が出来る。
だけど30分2,000円って高いよ!高いってば!
でも乗るよ!乗るってば!
真名井の滝を下から眺める為には、それなりの代償が必要なのだ。
ボートに乗れるっていうから、てっきりモーターボートで遊覧なのかと思ってたら、
手漕ぎボートに乗せられて「はい行ってらっしゃい!30分で帰ってきてね」てなもんだw
ボートを漕いだ事ない人はちょっと戸惑うだろう。
自分は船舶免許保持者だし、西表島では荒れる海のなか10kmの距離をシーカヤックで進んだほどの腕前だから問題ない。
あれ? 意外と難しいな・・・w
これを創りあげたのは自然の力のみというから驚きである。
大自然こそ最高にして究極のアーティスト。
青空でなかったのだけが残念ではあるが、
日本にはこんなに美しい場所がある・・・と嬉しくなった。
高千穂を後にする。
ちなみに、この渓谷はとっても深いんで、こんな道を経てやってきます。
当然登らないと帰れません。油断したらあきません。
まずは、昨日やってきた道のR325号を北上していく。
さすがに雨に変わる予報なので、これから向かう山の上には雲がかかっている。
雨が降る前にあの山の向こう側まで行きたいところだ。
県境手前でK8号に移って北上する。
ここから崩野峠で山越えだ。
だがこの崩野峠・・・予想以上にガチだった。
4kmで400m登る = 平均勾配10%!
かなりっていうか、むちゃくちゃきつかったです。正直二度と登りたくないレベルw
息も絶え絶え登りきって、多少アップダウンをこなすと視界が開けて五箇所高原へ。
正面に見えるのは祖母山。
標高1,756mで宮崎県の最高峰であり、日本百名山の一つだ。
特別天然記念物のニホンカモシカの生息南限地帯でもある。
ここからは阿蘇五岳を望むことも出来る。
あのギザギザは釈迦の顔である根子岳だ。
釈迦が「また来いよ」と言ってくれた気がした。
五箇所高原を越えると熊本県に入る。
その後は大分に行くので、この日は一気に三県を移動するのだ。
もっとも熊本は7kmくらいで走りすぎちゃうんだけど・・・w
下り基調のアップダウンのぐりぐり道を走り抜けていく。
道中では、たくさんの満開の桜が楽しませてくれた。
九州では桜はまさに見頃ど真ん中という感じで、今年は地元であまり楽しめなかった分こちらで大いに楽しませて貰った。
桜吹雪舞う中を走る区間もあり、なかなか乙なもんである。
K8号からそれて、少し寄り道をする。
白水ダム
日本一美しいと言われるダムだ。
対岸の道から見るとダムを正面から見れるのだが、残念ながら今回のルートでは叶わなかった。
高千穂から大分に抜けるにはいくつかのルートがあったが、これを見たくてこのK8号ルートを選んだのだ。
日本一美しいダムと日本一美しいバイク(当社比) ※感想には個人差があります。
いや、実はね。
ここけっこう下ったとこにありまして・・・しかもありえないくらい急な坂を・・・
正直自転車持って入った事を後悔したくらいの道だったんで、写真くらい撮りたいとこですよw
再びK8号に戻って大分を目指す。
本当はここから神原渓谷というとこに下って渓谷沿いの道を走りたかったのだが、天気が崩れる前に先に進みたいのでそれも叶わず。
だがK8号にはもう一つ見ておきたい場所があった。
明正井路
古代ローマ建築を思わせる石積みのアーチ橋。これは水路橋だ。
水を引く為にこんなのを造ってしまう。それほど人間の生活にとって水は必要な物なのだ。
完成したのは大正八年。
こんな土木遺産は、自分にとってたまらんです。
入田湧水群
阿蘇カルデラがもたらすのは何も絶景だけではない。
噴火により積もった火山灰は地下まで浸透しやすい層となり、大地に豊富な水の恵みをもたらす。
カルデラの周りはいくつもの湧水箇所があるが、この五ヶ瀬川沿いは特に多く、その箇所60以上、日量は6-7万tに達するのだ。
ボトルにも補給させてもらったが、実は水を目当てで寄ったのではない。
すぐ横のラーメンだ。
なんとまあ、手作り感溢れるラーメンでしょう。
ここ地元の人達が地元の食材のみを使ってやってる店で、なんと麺も自家製で、湧水で回すすぐ横の水車を使って作ってるんですよ。
天気の関係で先を急いできたので、すっかりお昼時を過ぎた空腹状態の補正があったとはいえ、すごく美味しかった。
結果的にこれが九州で最後の食事となったが、今回の旅では食事にハズレが全く無かった。
大変にありがたい事である。
ラーメンをすすってる時に雨が落ちてきた。ほどなくバケツをひっくり返したような土砂降りとなる。
だが心配はしてなかった。もう数キロ走れば大分まで延びる豊肥本線鉄道の竹田駅がある。
万が一を考えて、この日のルートの後半は鉄道沿いを走る道を選んでいたのだ。
小雨になった隙に走り出し、豊後竹田駅へ。
ここから輪行に切り替える。
本当はもう二つほど滝巡りをして大分まで帰るつもりだったし、
「獲得標高2,000m超を三日連続に挑戦」というのも今回の旅のテーマの一つだった。
だが雨では仕方がない。雨の中まで走るつもりはない。
この日は距離62km、1,280m上昇だけとし、九州での自転車区間は終わりとした。
各駅停車でのんびりと走る列車が、旅の最後にはちょうど良かった。
今回の旅であった事、見た景色、出会った人・・・それらが車窓の景色が流れるように次々と思い出される。
長かったし苦しかった、でも圧倒的で感動的だった。
何度も言葉を失ったし、目頭を熱くもした。
この三日間で起こった全てに感謝しながら、窓から流れる雨の大分を眺めていた。
大分駅で乗り換えつつ、フェリー乗り場へ。
あまりにも濃すぎた九州での三日間がついに終わる。
19時の汽笛をもって、船上の人となる。
さようなら&ありがとう九州!
~~~~~~~~
後書き
4回、いや、序章を入れれば5回に渡って書いてきた今回の九州旅。
これだけ長く書いていまさらですが、憧れてた九州は本当に素晴らしく、予想した以上の興奮と感動の連続でした。
今回経験した事は、間違いなく自分の財産となったでしょう。
そして、改めて「旅は素晴らしい!」と感じました。
勿論、自転車の楽しみ方は旅だけではないから、
旅に掛かる金額を機材に投資した方が幸せを感じる人もいるだろうし、
旅をする時間を強くなる為のトレーニングに費やしたい人もいるでしょう。
どちらも魅力的な事です(自分にはなかなか出来ない事なので羨ましくもあります)
旅をする事で、よく「人生観が変わる」と言われます。
確かに、圧倒的な光景を目にしたり、非日常の時間を過ごす事によって価値観が変わったり、燻ってた心が再び燃え出したりする。
でもそれだけでは足りない。
たどり着くまでに苦労したり、頑張った上でその瞬間を迎えるという過程が無ければ、本当の「人生観が変わる」経験は出来ないと思います。
その点自転車はいい。否応なく苦労させられるからw
いつもの愛車と、リュック一つ分の荷物だけあれば、時間の許す限りどこまでも行ける。
縁あって自転車に乗ってるなら、是非旅をして欲しいと僕は思います。
あまりにも素晴らしかった九州を伝える為に、今回は一切手抜きなしで全力で記事を書きました。
(え?今までは? とか、全力でこれ? なんて意見は一切受け付けません!w)
感じた世界観を切り取るのは難しいけど、写真単体で見れば、「よく撮れてるな」とか、「いい写真だな」と思うのも幾つかある。
だからそれを褒めてくれると嬉しいし、これからも更新する励みになります。
でも、もっと嬉しいのは、今回の記事を読んで「旅をしたい」とか「九州を走りたい」と思ってくれる事。
さらにもっともっと嬉しいのは、この地を実際に走り、自分が感じた圧倒的な景色をその目で感じてくれる事だと思うんです。
簡単ではないでしょう。色んな制約の中で生きてますから。
それは自分も同じですし、今回はたまたまチャンスが訪れただけなのかもしれません。
でも願っていたからこそ叶ったとも言えます。
実現できるのは来年かもしれないし、5年後、10年後、もしかしたらもっともっと先かもしれません。
でも願い続ければ叶う日がくるし、ここを実際に見たら、心から「来て良かった」と感じてくれる自信があります。
いつの日か、誰かの九州旅のエントリーが読めるのを楽しみにしてます。
その上で、「あの時ぐりおがこんな風に言ってたな」とか「あいつが言ってたのはこれか!」なんてのを一瞬でも思ってくれたらなお嬉しいです。
最後まで読んでくれてありがとう!
にほんブログ村
サイクリストの朝は早い。
おはよう太陽くん・・・はこの日は雲に姿を隠していた。
九州入りしてから二日間、幸運な事に快晴が続いていたが、
三日目にしてついに午後から雨の予報となってしまった。
いや、変わりやすい天気の中よくもってくれたと言うべきだろう。
6:30開始の朝食バイキングをモリモリ食べて、7時すぎに宿を発つ。
今日は旅の最終日だ。
阿蘇ではまだまだ行きたい場所やお店があったのだが、それらを止めてでもこちらに足を延ばしたのは、
この高千穂が「神話の地」であり、「天孫降臨の地」だからだ。
天孫降臨 = 天の孫(まご)が降り立つ。
ここで言う「天」とは、「天照大御神(アマテラスオオミカミ)」をさす。
祖父母の家の床の間にはこの文字が書かれた掛軸が掛かっていたので、小さい頃から文字だけは知っていた。
もっとも、文字しか知らないから小さい頃は「てんしょうだいごじん」と読んでたのだけどw
キリストやイスラムの教えは、一神教 = 唯一絶対の神は一人だ。
比べて、日本の神道では人は死んだら皆神様になる。
それだけでなく、海にも空にも山にも川にも、さらにその地域に、もっては石ころにまで神が宿る。
それぞれを「氏神」といい、全てに宿る神を「八百万(やおよろず)の神」という。
(完全独自解釈で書いてますので、所々間違ってる恐れありw)
特に信仰している宗教があるわけではないが、自分はこの八百万の神という考え方が好きだ。
なぜなら、巡った先々で「ここに神はいる・・・」と思わずにいられない場所がいくつもあったから。
天照大御神とは、日本の氏神の最も上に立つ「総氏神」であり、日本民族の祖先なのである。
ちなみにそれが祭られているのが伊勢神宮だ。
その天照の孫であるニニギノミコト(邇邇藝命)が降り立った、との神話が伝えられるのがこの高千穂なのだが、
その由来はこの場所があるからだろう・・・というか、もしかしたら本当に降り立ったのかもしれない、
ここならありえる・・・
そんな風に思えてならない場所が、この 高千穂峡 である。
宮崎県の北部を流れる一級河川、五ヶ瀬川にある高千穂峡。五箇瀬川渓谷とも言われる。
ここも是非とも訪れたかった場所だ。
先日まで圧倒的な光景の数々を見せてくれた阿蘇カルデラ、それは27万年~9万年前という太古の昔におきた大規模火山活動によって創られた。
その時の火砕流は半径160kmの範囲にまで放出され、海を隔てた山口県は秋吉台まで達したと言われるほどであるが、
この高千穂峡もまた、阿蘇の火山活動によって創られたのである。
ここだけ明らかに水の色が違うし、何より空気が違う。
朝一番というのもあって、静寂で、厳かで、まさに天孫が降り立っても不思議ではない。
これも写真に納めたいと思っていた。
年代の違う橋が三本もかかる場所は、日本広しといえどもそうはあるまい。
この渓谷の中にはボートで入る事が出来る。
だけど30分2,000円って高いよ!高いってば!
でも乗るよ!乗るってば!
真名井の滝を下から眺める為には、それなりの代償が必要なのだ。
ボートに乗れるっていうから、てっきりモーターボートで遊覧なのかと思ってたら、
手漕ぎボートに乗せられて「はい行ってらっしゃい!30分で帰ってきてね」てなもんだw
ボートを漕いだ事ない人はちょっと戸惑うだろう。
自分は船舶免許保持者だし、西表島では荒れる海のなか10kmの距離をシーカヤックで進んだほどの腕前だから問題ない。
あれ? 意外と難しいな・・・w
これを創りあげたのは自然の力のみというから驚きである。
大自然こそ最高にして究極のアーティスト。
青空でなかったのだけが残念ではあるが、
日本にはこんなに美しい場所がある・・・と嬉しくなった。
高千穂を後にする。
ちなみに、この渓谷はとっても深いんで、こんな道を経てやってきます。
当然登らないと帰れません。油断したらあきません。
まずは、昨日やってきた道のR325号を北上していく。
さすがに雨に変わる予報なので、これから向かう山の上には雲がかかっている。
雨が降る前にあの山の向こう側まで行きたいところだ。
県境手前でK8号に移って北上する。
ここから崩野峠で山越えだ。
だがこの崩野峠・・・予想以上にガチだった。
4kmで400m登る = 平均勾配10%!
かなりっていうか、むちゃくちゃきつかったです。正直二度と登りたくないレベルw
息も絶え絶え登りきって、多少アップダウンをこなすと視界が開けて五箇所高原へ。
正面に見えるのは祖母山。
標高1,756mで宮崎県の最高峰であり、日本百名山の一つだ。
特別天然記念物のニホンカモシカの生息南限地帯でもある。
ここからは阿蘇五岳を望むことも出来る。
あのギザギザは釈迦の顔である根子岳だ。
釈迦が「また来いよ」と言ってくれた気がした。
五箇所高原を越えると熊本県に入る。
その後は大分に行くので、この日は一気に三県を移動するのだ。
もっとも熊本は7kmくらいで走りすぎちゃうんだけど・・・w
下り基調のアップダウンのぐりぐり道を走り抜けていく。
道中では、たくさんの満開の桜が楽しませてくれた。
九州では桜はまさに見頃ど真ん中という感じで、今年は地元であまり楽しめなかった分こちらで大いに楽しませて貰った。
桜吹雪舞う中を走る区間もあり、なかなか乙なもんである。
K8号からそれて、少し寄り道をする。
白水ダム
日本一美しいと言われるダムだ。
対岸の道から見るとダムを正面から見れるのだが、残念ながら今回のルートでは叶わなかった。
高千穂から大分に抜けるにはいくつかのルートがあったが、これを見たくてこのK8号ルートを選んだのだ。
日本一美しいダムと日本一美しいバイク(当社比) ※感想には個人差があります。
いや、実はね。
ここけっこう下ったとこにありまして・・・しかもありえないくらい急な坂を・・・
正直自転車持って入った事を後悔したくらいの道だったんで、写真くらい撮りたいとこですよw
再びK8号に戻って大分を目指す。
本当はここから神原渓谷というとこに下って渓谷沿いの道を走りたかったのだが、天気が崩れる前に先に進みたいのでそれも叶わず。
だがK8号にはもう一つ見ておきたい場所があった。
明正井路
古代ローマ建築を思わせる石積みのアーチ橋。これは水路橋だ。
水を引く為にこんなのを造ってしまう。それほど人間の生活にとって水は必要な物なのだ。
完成したのは大正八年。
こんな土木遺産は、自分にとってたまらんです。
入田湧水群
阿蘇カルデラがもたらすのは何も絶景だけではない。
噴火により積もった火山灰は地下まで浸透しやすい層となり、大地に豊富な水の恵みをもたらす。
カルデラの周りはいくつもの湧水箇所があるが、この五ヶ瀬川沿いは特に多く、その箇所60以上、日量は6-7万tに達するのだ。
ボトルにも補給させてもらったが、実は水を目当てで寄ったのではない。
すぐ横のラーメンだ。
なんとまあ、手作り感溢れるラーメンでしょう。
ここ地元の人達が地元の食材のみを使ってやってる店で、なんと麺も自家製で、湧水で回すすぐ横の水車を使って作ってるんですよ。
天気の関係で先を急いできたので、すっかりお昼時を過ぎた空腹状態の補正があったとはいえ、すごく美味しかった。
結果的にこれが九州で最後の食事となったが、今回の旅では食事にハズレが全く無かった。
大変にありがたい事である。
ラーメンをすすってる時に雨が落ちてきた。ほどなくバケツをひっくり返したような土砂降りとなる。
だが心配はしてなかった。もう数キロ走れば大分まで延びる豊肥本線鉄道の竹田駅がある。
万が一を考えて、この日のルートの後半は鉄道沿いを走る道を選んでいたのだ。
小雨になった隙に走り出し、豊後竹田駅へ。
ここから輪行に切り替える。
本当はもう二つほど滝巡りをして大分まで帰るつもりだったし、
「獲得標高2,000m超を三日連続に挑戦」というのも今回の旅のテーマの一つだった。
だが雨では仕方がない。雨の中まで走るつもりはない。
この日は距離62km、1,280m上昇だけとし、九州での自転車区間は終わりとした。
各駅停車でのんびりと走る列車が、旅の最後にはちょうど良かった。
今回の旅であった事、見た景色、出会った人・・・それらが車窓の景色が流れるように次々と思い出される。
長かったし苦しかった、でも圧倒的で感動的だった。
何度も言葉を失ったし、目頭を熱くもした。
この三日間で起こった全てに感謝しながら、窓から流れる雨の大分を眺めていた。
大分駅で乗り換えつつ、フェリー乗り場へ。
あまりにも濃すぎた九州での三日間がついに終わる。
19時の汽笛をもって、船上の人となる。
さようなら&ありがとう九州!
~~~~~~~~
後書き
4回、いや、序章を入れれば5回に渡って書いてきた今回の九州旅。
これだけ長く書いていまさらですが、憧れてた九州は本当に素晴らしく、予想した以上の興奮と感動の連続でした。
今回経験した事は、間違いなく自分の財産となったでしょう。
そして、改めて「旅は素晴らしい!」と感じました。
勿論、自転車の楽しみ方は旅だけではないから、
旅に掛かる金額を機材に投資した方が幸せを感じる人もいるだろうし、
旅をする時間を強くなる為のトレーニングに費やしたい人もいるでしょう。
どちらも魅力的な事です(自分にはなかなか出来ない事なので羨ましくもあります)
旅をする事で、よく「人生観が変わる」と言われます。
確かに、圧倒的な光景を目にしたり、非日常の時間を過ごす事によって価値観が変わったり、燻ってた心が再び燃え出したりする。
でもそれだけでは足りない。
たどり着くまでに苦労したり、頑張った上でその瞬間を迎えるという過程が無ければ、本当の「人生観が変わる」経験は出来ないと思います。
その点自転車はいい。否応なく苦労させられるからw
いつもの愛車と、リュック一つ分の荷物だけあれば、時間の許す限りどこまでも行ける。
縁あって自転車に乗ってるなら、是非旅をして欲しいと僕は思います。
あまりにも素晴らしかった九州を伝える為に、今回は一切手抜きなしで全力で記事を書きました。
(え?今までは? とか、全力でこれ? なんて意見は一切受け付けません!w)
感じた世界観を切り取るのは難しいけど、写真単体で見れば、「よく撮れてるな」とか、「いい写真だな」と思うのも幾つかある。
だからそれを褒めてくれると嬉しいし、これからも更新する励みになります。
でも、もっと嬉しいのは、今回の記事を読んで「旅をしたい」とか「九州を走りたい」と思ってくれる事。
さらにもっともっと嬉しいのは、この地を実際に走り、自分が感じた圧倒的な景色をその目で感じてくれる事だと思うんです。
簡単ではないでしょう。色んな制約の中で生きてますから。
それは自分も同じですし、今回はたまたまチャンスが訪れただけなのかもしれません。
でも願っていたからこそ叶ったとも言えます。
実現できるのは来年かもしれないし、5年後、10年後、もしかしたらもっともっと先かもしれません。
でも願い続ければ叶う日がくるし、ここを実際に見たら、心から「来て良かった」と感じてくれる自信があります。
いつの日か、誰かの九州旅のエントリーが読めるのを楽しみにしてます。
その上で、「あの時ぐりおがこんな風に言ってたな」とか「あいつが言ってたのはこれか!」なんてのを一瞬でも思ってくれたらなお嬉しいです。
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仕事をリタイヤor倒産したときは
四国へお遍路サイクリングへ行こうと決めてましたが
九州も追加するしかないですな
ラピュタロードと高千穂峡はどうしても自分の目で見てみたいです!
しばらくは旅できそうにないのでまたぐりおさんの旅行記楽しみにしとりますね
うごごご、と感服仕り候。
やはり車の目線ではわからない事沢山ありますね。
九州ライドエントリ本当にお疲れ様でした。
この数日は特に楽しませていただきました。今回の九州はどこも素晴らしいところばかりでしたね。地獄めぐりや阿蘇周辺などは高校の修学旅行で行った時のことを思い出し、見憶えの有る風景には感動しました。
いつもの事ですが行きたい所がまた一つ増えました。(^_^)
にーさんが伝えたかったもの
「自転車で得られる不変的な感動、原点」
しっかりと伝わりました。ありがとう
夢は叶える為にある
サンゲツのCMに採用されそうすね!!
輪行の準備まで…
景色もすごいですが、やはりぐりおさんの行動力に感服でごさいます!!
またいろいろと参考にさせて頂きます♪
お疲れ様でした(^_^)ノ
自転車でなければ出会えない光景や時間、そして匂い、そういうものに気づいてしまったら、"自転車"は旅のツールのトップになりました。
九州の写真も魅力的ですが、撮影したときの等身大の感動が伝わってきますね。
行ってやると思っていたのですが・・・
九州にも行ってみたくなりましたw
文中にも書かれていますが「旅をしたい」と思うような
圧倒的な旅行記でした。
リタイヤor倒産したら九州四国だけじゃなく日本一週しちゃいましょう!
縁起でもない話ですが・・・w
「いつ行くのか」はあまり重要じゃない気がします。
何年かかっても「どうしても自分の目で見たい」と思った場所へ行ける事が幸せですよね。
もしそこが凄い坂の上にあったら??
・・・半べそかきながらでも登りますよねw
今回の景色の数々は自分にとってそういう事でした。
自転車の速度だからより沢山の事が見えたんですよね。
旅の達成感も凄かったですが、この長い記事を書き終えた達成感も相当なもんですw
高校生の頃より大人になった今では感じ方も違うだろうし、より沢山の物が見えるのかもしれません。
行きたいとこがたくさんありすぎて困りますが、それって嬉しい悲鳴なんでしょうね。